内蔵HDDの交換も容易
前述のとおり、LANDISK HOMEは内蔵HDDのユーザーによる交換を、正式にサポートしている。さすがに“どんなHDDでもOK”というわけにはいかないようで、交換用HDDとしては同社製の『HDI-SA250H7』『HDI-SA500H7』が指定されている。
筐体の箱を開けてHDDを交換する作業には、ドライバーの類は必要ない。筐体やHDDを止めているネジはコインで開けられるようになっていて、簡単に開けられる。HDD自体は底面にある基板に直接装着されているので、コインでネジを外して引き抜くだけで取り外せる。筐体上蓋部分のケーブルを1本外す以外は、ケーブルの抜き差しすら必要ない。
製品付属のDVDには、交換手順を説明するビデオがDVD-Video形式で収録されている。パソコンと離れた場所にLANDISK HOMEが設置されていても、テレビとDVDプレーヤーがあれば作業手順を映像で確認できるわけだ。実際の設置環境を念頭に置いた配慮は評価できる。
コストパフォーマンスと手軽さで、新しいNASの世界を開くか
1000BASE-T同士でLANDISK HOMEとパソコンを接続して、ファイル転送速度や読み込み/書き込み速度を検証してみた。RAID 5状態にジャンボフレームはオフの状態で、Windowsのエクスプローラー上で1GBのファイルの読み書きを行ない速度を測定すると、リード時が約12.9MB/秒、ライト時は約6.5MB/秒となった。HDDの読み書き性能を計測するフリーウェア『CrystalDiskMark』や『FDBENCH』でも計測してみたが、ほぼ同様の結果となった。
ジャンボフレームをオン(7KB)に設定して同様の計測を行なってみた。CrystalDiskMarkでは平均してシーケンシャルリード時が約16.9MB/秒、シーケンシャルライト時は約8.6MB/秒と、顕著な向上を見せた。数値は若干異なるが、FDBENCHの結果からもジャンボフレームによる高速化は見られた。
実際にHDL4-G1.0を自宅の環境に導入してみたが、まず設定の手軽さに感心させられた。つないで電源を入れるだけで、すぐにファイル保存・共有が可能になる手軽さはホームユーザーには嬉しい。REGZA Zシリーズユーザー限定の利点ではあるが、7万円の追加投資でハイエンドのデジタル放送レコーダー並みの録画容量が実現できる点も魅力的だ。
筐体のコンパクトさも、設置場所を選ばない利点がある。動作音も比較的静かだ。パソコンの横に置くと、さすがに冷却ファンの音(電源オン状態では常にファンが回転する)が気になるが、リビングなどで目立たないところに置いてしまえば、音が気になることはない。またその際にも、置き場所を選ばないコンパクトさが生きる。
既存のRAID 5対応TB級NASといえば、ビジネスユース向けに豊富な機能を備えているのが一般的である。しかし、単純に「家庭内でのファイル共有がしたい」という程度の用途にはオーバースペックな面もあり、価格の高さもあって敷居の高いマニア向けの製品という印象がぬぐえなかった。
そこで、ホームユースに必要な機能に絞ることで低価格化を実現し、RAID 5とHDD交換サポートによりデータ保護も提供するなど、LANDISK HOMEはコストパフォーマンスの非常に高い製品となっている。NASに魅力を感じるが、敷居の高さに手が出なかったようなユーザーには特にお勧めしたい製品である。