統合と表現能力の向上がキーとなる
Opera Softwareで、デスクトップ製品のプロダクトマネージャーを務めるJan Standal氏は、今後のOperaブラウザーの進化においては“Convergence”(統合)とともに“Rich Graphics Experience”(ブラウザー上でのリッチなグラフィックス表現)が重要になってくると話す。
前者はひとつのウェブサイトを、パソコンだけではなく、携帯電話機やPDA、ゲーム機などさまざまな機器で、必要に合わせて参照できるようにするというもの。重要となるのは、表示能力や処理能力で劣るモバイル機器や組み込み用途においても、WAPやコンパクトHTMLで書かれた専用のサイトを用意することなく、そのまま参照できるようにするということだ。
この分野に関してモバイル版のOperaブラウザーでは、すでにディスプレーの横幅に合わせてレイアウトを変更する“スモールスクリーンレンダリング”といった機能が実装されている。また、パソコン用に作られたウィジェットも携帯電話の画面上でまったく同じものが動作するようになる予定だ。パソコン向け製品で培った技術をさまざまなデバイス向けのブラウザーに展開していくことで、クロスプラットフォーム化やConvergenceを推し進めていく戦略をOpera Softwareは持っている。
HTML 5でブラウザーは変わるか?
後者に関しては、Flashなどのプラグインなしに、動画や3Dオブジェクトなどを利用したリッチな表現を実現することが狙いだ。
筆者がOpera Softwareを訪れたのは3月中旬のことだったが、それに前後する形で、W3CにHTMLの次世代バージョンHTML 5に関して議論する部会が設立されたという発表があった。HTML 5は現行のHTML 4.xのリリース以来、実に10年ぶりのHTMLのメジャーアップデートである。
Opera Softwareは、このHTML 5の標準化で中心的な役割を果たしており、Rich Graphics Experienceの実現に際してもHTML 5が大きな役割を果たすとOperaでは見ている。
例えば、HTML 5では動画を呼び出すためのタグ<Video>が定義されている。このタグを使うことで、オープンソースのビデオコーデックである“OggTheora”を利用した動画ファイルを呼び出すことが可能だ。また単に、動画ファイルを呼び出せるだけではなく、JavaScriptなどを利用して、動画の上にテキストなどのレイヤーを重ねるといったことも可能になる。
Standal氏は筆者に、OggTheora形式の動画の上にボタンなどを配置したレイヤーを重ね、マウス操作で再生や停止などを行なえるデモンストレーションを見せてくれた。このデモでは、プラグインは一切使われておらず、HTML(またはXHTML)で書かれたページとJavaScriptを組み合わせて実現されたものだという。
なお、このデモで利用された“HTML 5を仮実装したプレビュー版”(experimental version)のOperaブラウザーは、“labs.opera.com”(2007年4月17日のHåkon氏の記事)よりダウンロードできる。