独立行政法人 理化学研究所は今月18日より順次、日本各地の研究所を一般公開している。これは科学技術週間 (2007年4月16日~22日)の標語“科学こそ 世界をつなぐ 共通語”を元にした行事の一環だ。今回は21日に一般公開となった和光研究所で、今月2日に運用を開始した新スーパーコンピューターシステムを覗いてきた。
平成22年には世界1位の汎用スパコン開発も
理化学研究所のスーパーコンピューター“RSCC(RIKEN Super Combined Cluster System)”は、導入時に世界で第7位、国内では第2位を記録している(2004年6月LINPACKベンチマークによる)。今月2日には、計算能力において導入時に組み込んだ分子動力学の専用計算システム“MDGRAPE-2(エムディーグレープ・ツー)”に代わり、従来の50倍の性能を持つという独自開発(MDGRAPE-2は東京大学が開発)の“MDGRAPE-3(エムディーグレープ・スリー)”を採用して運用を開始している。
このMDGRAPE-3の理論ピーク値は1PFLOPS(ペタフロップス)。世界第1位(2006年6月16日の時点)のスーパーコンピューターである米ローレンスリバモア研究所が保有する“IBM BlueGene/L”の理論ピーク値が360TFLPOS(テラフロップス)なので、約3倍の性能が出ていることになる(MDGRAPE-3は分子動力学の専用計算システムのため、正確な比較はできない)(関連記事)。
同研究所では、平成22年(2010年)の稼動開始を目標に、理論ピーク値10PFLOPS級の世界最速スーパーコンピューターの開発(神戸に専用施設を建設すると決定)にも着手しているという。
今回は新稼動のスーパーコンピューターシステムが一般公開されたほか、計算機の歴史を追った展示も、研究所の有志により行なわれていた。
研究所の一般公開は、年内ではこのあと6月23日予定の横浜研究所を残すのみとなる。