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世界一より3倍早い専用計算システムを開発

【和光研究所・スパコンレポート】理化学研究所、各研究所で一般公開を実施

2007年04月24日 00時19分更新

文● 編集部 永水和久

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独立行政法人 理化学研究所は今月18日より順次、日本各地の研究所を一般公開している。これは科学技術週間 (2007年4月16日~22日)の標語“科学こそ 世界をつなぐ 共通語”を元にした行事の一環だ。今回は21日に一般公開となった和光研究所で、今月2日に運用を開始した新スーパーコンピューターシステムを覗いてきた。

平成22年には世界1位の汎用スパコン開発も

RSCC(RIKEN Super Combined Cluster System)の概要

RSCC(RIKEN Super Combined Cluster System)の概要

部屋の壁に沿ってスーパーコンピューターのシステムが組み込まれているので、1枚の写真では収めきれない

部屋の壁に沿ってスーパーコンピューターのシステムが組み込まれているので、1枚の写真では収めきれない

ベクトル計算専用に導入した日本電気(株)の“SX-7”

ベクトル計算専用に導入した日本電気(株)の“SX-7”

MDGRAPE-3システム。このラック1つで世界1位の早さを持つスーパーコンピューターの3倍の性能があるという

MDGRAPE-3システム。このラック1つで世界1位の早さを持つスーパーコンピューターの3倍の性能があるという

MDGRAPE-3システムの裏側

MDGRAPE-3システムの裏側。冷却ファンがすごい数設置されている

1.3ペタの容量を持つストレージ

この部屋みたいなものが1.3PB(ペタバイト)の容量を持つストレージ(2つで)。磁気テープを利用したカセットタイプのストレージを、必要に分けてロボットアームが取り出して利用する仕組み。ちなみにロボットアームの動きは速過ぎて写真で抑えられなかった。あの動きはまるでHDDのヘッドのような……

中はこんな感じ

中を撮影するとこんな感じ

理化学研究所のスーパーコンピューター“RSCC(RIKEN Super Combined Cluster System)”は、導入時に世界で第7位、国内では第2位を記録している(2004年6月LINPACKベンチマークによる)。今月2日には、計算能力において導入時に組み込んだ分子動力学の専用計算システム“MDGRAPE-2(エムディーグレープ・ツー)”に代わり、従来の50倍の性能を持つという独自開発(MDGRAPE-2は東京大学が開発)の“MDGRAPE-3(エムディーグレープ・スリー)”を採用して運用を開始している。

このMDGRAPE-3の理論ピーク値は1PFLOPS(ペタフロップス)。世界第1位(2006年6月16日の時点)のスーパーコンピューターである米ローレンスリバモア研究所が保有する“IBM BlueGene/L”の理論ピーク値が360TFLPOS(テラフロップス)なので、約3倍の性能が出ていることになる(MDGRAPE-3は分子動力学の専用計算システムのため、正確な比較はできない)(関連記事)。

同研究所では、平成22年(2010年)の稼動開始を目標に、理論ピーク値10PFLOPS級の世界最速スーパーコンピューターの開発(神戸に専用施設を建設すると決定)にも着手しているという。

今回は新稼動のスーパーコンピューターシステムが一般公開されたほか、計算機の歴史を追った展示も、研究所の有志により行なわれていた。

1956年に米IBM社が開発した世界初のハードディスクの実サイズ

1956年に米IBM社が開発した世界初のハードディスクの実サイズ。直径24インチ(61cm)のこのディスクを50枚利用して容量は合計5MB

(株)東芝の“DynaBook”シリーズ最初の“J-3100SS”

(株)東芝の“DynaBook”シリーズ最初の“J-3100SS”。現在のノートパソコンに一番近いコンセプトで作られたという

日本電器の“PC-8001”

日本電気の“PC-8001”

電卓の歴史も展示

電卓の歴史も展示

パソコンの歴史を展示

パソコンの歴史を展示

紙テープ

磁気メディアが採用される前は紙テープを利用していた。穴が開いている/いないでビットを処理する

研究所の一般公開は、年内ではこのあと6月23日予定の横浜研究所を残すのみとなる。

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