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日本オラクル、組み立て製造業向けアプリケーションの機能を拡充

2007年04月17日 19時58分更新

文● 渡邉利和

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日本オラクルは4月17日、組み立て製造業向けアプリケーションの拡充を発表し、生産管理実行システム(MES)「Oracle Manufacturing Execution System for Discrete Manufacturing」と“有償支給”をサポートする機能の提供を開始した。


日本のユーザーからの要望を反映


オラクルが発表した製造業向けの取り組みの拡大

オラクルが発表した製造業向けの取り組みの拡大

 今回発表されたのは、同社のERPパッケージ「Oracle E-Business Suite Release 12」に生産管理実行システム(MES)を追加するオプション製品「Oracle Manufacturing Execution System for Discrete Manufacturing」。製造工程管理、現物トラッキング、品質管理、製造支持、進捗管理、構内物流管理を行なうことが可能だ。併せて、E-Business Suite Release 12の「Oracle Dicrete Manufacturing」の標準機能として“有償支給”をサポートする機能が追加された。

「Oracle Manufacturing Execution System for Discrete Manufacturing」がカバーする業務

「Oracle Manufacturing Execution System for Discrete Manufacturing」がカバーする業務

 同機能の追加は、日本OAUG(Oracle Applications User Group、同社のアプリケーション製品のユーザー会)からの要望に応える形で実現したもの。有償支給とは、発注元が材料を製造業者に有償で支給する一方、製品受領時には製造工賃などを上乗せして製造者に支払うという業務プロセス。日本では従来、このプロセスを追加機能として独自開発したり、他社製品を組み合わせて実現したりしていたが、今後は標準機能だけで実現できることになる。

日本オラクル アプリケーションSC本部 インダストリーソリューションアーキテクト部 ディレクター 尾西 克治氏

日本オラクル アプリケーションSC本部 インダストリーソリューションアーキテクト部 ディレクター 尾西 克治氏

 アプリケーションSC本部インダストリーソリューションアーキテクト部ディレクターの尾西 克治氏は、「オラクルの製造業向けアプリケーションのカバー範囲は広範にわたっているが、従来唯一欠けていたMESの分野が今回埋まった」と今回の発表の意義を明確にした。

 また、技術面での優位性の一例として、尾西氏は同社の「Demantra」で使用されているベイズ統計に基づく予測技術などを紹介。Demantraは、2006年6月に買収した企業で、その技術が「自律逆推論型予測(ベイズテクノロジー)」として需要予測機能に組み込まれているという。ベイズ技術はスパム対策のベイジアン・フィルタなどでも利用されており、近代統計学とは異なる体系から生まれた技術。製造業むけアプリケーションで高度な予測や最適化技術が利用できることで、生産計画や在庫量の最適化が可能になるという。

日本オラクル 常務執行役員エンタープライズアプリケーション営業統括本部長 桑原 宏昭氏

日本オラクル 常務執行役員エンタープライズアプリケーション営業統括本部長 桑原 宏昭氏

 常務執行役員エンタープライズアプリケーション営業統括本部長の桑原宏昭氏は、市場調査によるデータとして「製造業の投資額はバブル期以来の大きな伸びが予測されている」と業界の動向を紹介。「オラクルの製造業向けビジネスも、ユーザーのビジネスも好調だが、多くのユーザーが『好調だが厳しい』という」とし、製造業が積極的な投資でさらに競争力を高め続けていく必要に直面している状況だと語った。

 さらに、従来のERPの機能に加え、同社では製造業で必要とされる「生産管理実行システム」「品質管理システム」「設備保全管理システム」生産情報統合・分析」といった領域までをE-Business Suiteでカバーしていく方針を明らかにしている。

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