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市販のUHF室内アンテナでパーソナル放送ができる?!

慶応大学でワンセグローカル放送の実験を開始

2007年04月16日 20時38分更新

文● 編集部 橋本 優

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慶應義塾大学は16日、神奈川県横浜市の日吉キャンパス内で、エリア限定のワンセグ放送の実験を学生を対象に行なった。

ワンセグのエリア限定配信(ローカル配信)は、微弱の放送波を自前の放送設備などから流すことで、アンテナから半径数メートル程度の距離にいる人のみが放送を受信できる、というもの。3月に富士通(株)が“スポットキャスト”と呼ばれる、ワンセグローカル配信用機器を発表しているが(関連記事)、慶應義塾大学では経済学部武山政直研究室が、地上デジタル放送と通信を利用した移動端末向けエリア型双方向サービスを提供するエリアポータル(株)と共同で独自の設備を構築。同キャンパスの“課外活動棟”や“食堂棟”などで放送実験を行なった。

ワンセグ放送受信の様子
ワンセグ対応ケータイで放送を受信している様子

受信の手順はスポットキャストと同様で、アンテナの近くでワンセグ対応端末を操作して放送局をスキャンし、設定されたチャンネル(実験では15チャンネル)が検出されたら準備完了。あとは、チャンネルを合わせれば視聴できる。実験番組は映像だけでなく、データ放送も配信されていた。

設備としては、同大学の三田キャンパス(東京都港区)で製作した放送コンテンツをIPネットワーク(ASI over IP)で伝送し、日吉キャンパスでワンセグ放送波に変調するものと、パソコンのHDDに保存されたコンテンツをワンセグ放送波として送信するものの2つがあった。

ワンセグアンテナ
アンテナは八木アンテナ(株)の『UWPA』を使用。室内用受信アンテナとして5000円程度で市販されているものだが、これを送信用アンテナとして使用している

どちらも放送に使われているアンテナは、地上デジタル放送の受信用などに使われれる市販のUHF室内アンテナで、これを受信ではなく送信アンテナとして利用している。これで最大半径50mまでの距離をカバーできるという。ネットワーク伝送を行なっている方のアンテナの先は、OFDM変調などを行なう装置に同軸ケーブルで接続されており、さらにその先はIP伝送装置に繋がっている。ちなみに、これらの設備は一式で数百万円になるという。

送信装置
アンテナの周囲には送信設備などは見当たらず、実はその地下に設置されていた。いかにも高価そうな機器が、無関係そうな梯子などと一緒に無造作に置かれているあたりに手作り感がアリアリだ
OFDM変調装置 IP伝送装置
左がOFDM変調などを行なう装置、右がIP伝送装置

一方、パソコン内のコンテンツを放送している方は、アンテナの同軸ケーブルが通常のパソコンに接続されているだけのハードウェア構成で、こちらは100万円以内で構築ができるという。ちなみに今回はワンセグの放送を行なっているが、通常のハイビジョン放送(13セグ)の放送も可能とのことだ。

食堂の隅っこのアンテナ
食堂の隅っこに立っているアンテナ。パソコンのHDDに保存されたコンテンツを放送している
パソコン
パソコンは下の台に隠されていた

今回の実験では、キャンパス内の学生にワンセグ端末を貸し出し、実際に手にとってもらって使い方などの意見を聞いていた。これらの意見を集め、実サービスを検討していく方針で、実サービスでは商店街の地域広告などを視野に入れているという。

ただ、現状では大きな課題があることを慶應義塾大学経済学部助教授の武山政直氏は指摘する。今回の実験では“実験用の放送免許”を取得しているが、現状、放送免許がなければこのようなローカル配信は違法になってしまう。ワンセグのローカル配信を実用化するためには、法整備などの環境整備がまず最初に必要になるわけだ。

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