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ゆうきいーえるでぃすぷれー

有機ELディスプレー

2007年04月19日 21時57分更新

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2007年04月19日 21時57分更新

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有機ELディスプレー

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有機ELディスプレーとは?

ガラス基板の上に有機化合物を塗った膜を電極ではさみ、電圧をかけることで発光するディスプレーで、発光体にジアミン類などの有機化合物を用いることから有機ELと呼ばれる。有機ELディプレイの“EL”とは、Electroluminescence(エレクトロルミネッセンス)の略である。

  • ディスプレー


 

詳細解説

 有機ELディスプレー(organic electroluminescence display)とは、ガラス基板の上に有機化合物を塗った膜を電極ではさみ、電圧をかけることで発光するディスプレーのこと。基本的な有機ELの構造は、有機化合物でできた発光層を陽極と陰極でサンドイッチのようにはさみ、電圧をかけることで発光させる。有機ELディスプレーに使われるパネルは、ガラス基板層、正孔輸送層、発光層、電子輸送層、カソードといった複数の層からできている。発光体にジアミン類などの有機化合物を用いることから“有機EL”と呼ばれる。有機ELでは、発光された光を外部に通すために、陽極か陰極のどちらかは透明な素材が使われる。

有機化合物でできた発光層に電圧をかけて発光させる

 ELディスプレーには、硫化亜鉛などの無機化合物を利用する“無機EL”ディスプレーと、有機化合物を利用する“有機EL”ディスプレーがある。有機ELは、無機ELに比べはるかに低電圧の直流電流でも駆動するため、活用が期待されている。

 有機ELディスプレーは、プラズマディスプレー同様に、電圧をかけると自ら発光するため、一般の液晶ディスプレー(LCD)よりも、視野角が広く視認性にすぐれ、応答速度も速い。また、バックライトも必要ないため、非常に薄く軽量化できる。さらに、プラズマディスプレーと違い、低電力で高い輝度を得ることができるため、消費電力の点でも優れている。このように、さまざまなメリットを持つ有機ELディスプレーだが、有機材料は電気を通し続けると材料が劣化しやすいため、寿命が短いという欠点がある。

●薄型ディスプレーの比較

有機ELディスプレー 液晶ディスプレー プラズマディスプレー
素材の形態 固体 液体 気体
寿命
省エネ
薄型化
大画面化
視野角

上記、表の内容に一部誤りがありました。訂正するとともにお詫び申し上げます(2007年5月1日)

 有機ELディスプレーの駆動方法には、“アクティブマトリックス方式”と“パッシブマトリックス方式”がある。アクティブマトリックス方式では、TFT(Thin Film Transistor)で液晶の画素ごとにトランジスタを含む回路を作り、スイッチングによってELの制御を行なう。この方式では複雑な回路を作る必要があるが、レスポンス時間が短く、解像度も高い。画面が大きくなった場合も、パッシブマトリクス方式よりも駆動電圧が低く、エネルギー消費も小さいという特徴がある。

 一方のパッシブマトリックス方式は、“単純マトリクス駆動”ともよばれ、電極を水平方向と垂直方向に重ねて、縦横ともに電圧がかかった点の画素をオンにして表示する方式である。アクティブマトリックス型の液晶に比べると、製造コストが安い半面、解像度やコントラストが低いといった欠点がある。

 現在のところ、有機ELディスプレーは、製造コストが安い“パッシブマトリックス方式”のものが広く市場に出回っている。解像度が低く、文字や静止画などしか表示できないので、携帯電話のサブディスプレーやポータブルオーディオ、カーナビの表示装置などで実現されている。製造コストが高くかかる“アクティブマトリックス方式”は、まだ製品化がほとんど進んでいないのが現状である。

 今後迎えるユビキタス社会では、コンピュータの表示装置であるディスプレーにも、“軽い” “薄い” “省電力”などが重要視されてくる。そのことからも、薄型ディスプレーの中で有機ELディスプレー、特に解像度が高く対応速度の早い“アクティブマトリックス方式”は、 “次世代ディスプレー”として注目を集めている。

 

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