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中国PC小話――検索サイト“百度”が中国でシェアーNo.1になったわけ

2007年04月04日 12時00分更新

文● 山谷剛史

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百度のロゴ

 最近日本語版サービスを開始し、一層日本での知名度をあげた“百度”(Baidu)。検索時に表示される広告の売り上げは、中国においてGoogleの3倍以上にもなり、数年かけてライバルのGoogleを追いつき追い越し、そして今その差を伸ばしている。

 “Yahoo! 中国”や“Google 中国”など、世界的に有名な企業の中国版サービスを追い越し、ニューヨークのNASDAQにも上場した百度。上場初日には最後の大型ネット株として株価は急上昇した。CEOの李彦宏(Robin Li)氏を始めとした役員は巨万の富を手に入れた。ウェブサイトのアクセス解析を行なっている“Alexa”の調査では、最高でYahoo!、MSN、Googleに続く第4位まで踊り出て、アメリカンドリームならぬ、チャイニーズドリームを実現した企業となった。



ライバルがいれば蹴落とす


 とはいえ中国の誰もが百度が好きというわけではない。

 こと昨年の後半から、同社の広告掲載サービス“推広”に関する広告主からの訴訟沙汰は絶えなかった。このトラブルとは、比較的多くの中国人が共有している「ライバルがいれば、(自分を伸ばすのではなく)まず相手を蹴落とす」という習慣も関係しているようだ。

 つまり、ライバル企業の広告を意図的に検索結果に表示させ、広告リンクへのクリックを何度もして、ライバル企業に多額の広告費を支払わせようとする企業が多数登場したのである。結果として百度1社がぼろもうけし、これを不服とする広告主らが訴訟沙汰を起こしたのである。この類の訴訟沙汰が頻繁に起きたため、それを報じたニュースもまた頻繁に登場した。百度は「この問題に対処する」とコメントしていたが、まだ解決には至ってないようだ。そうした状況下“反百度同盟”などアンチ百度を掲げるサイトも登場した。



“中国製だから”好きという意見も多い


 ただし中国人のネット利用者全てがアンチ百度になっているわけではない。一方で百度を称えるサイトも登場する。例えば“百度粉絲網”などだ。また「百度が好きだ」ということを訴えるブログの記事も散見する。さまざまな百度好きのサイトを訪れ、百度好きの理由を語る記事を読むと、(少なくとも)中国のインターネット利用者の多くが持っている百度が好きな理由は以下のようになることが分かった。

 まずは中国製のウェブサービスであること、これは大きい。ほかに百度が好きである理由はなく、登記上の住所が税制面で有利なケイマン諸島にあろうが、百度が“中国人による中国人のための”世界規模のサービスであることに変わりはない、という意見だ。

百度地図
百度地図

 次に多かったのが、検索以外にも使い勝手がいいサービスが多くあるという意見だ。例えばGoogleが“Google Maps”をリリースすれば、その後に“百度地図”。“Google Desktop”が出れば、“百度硬盤(ハードディスク)捜索”。“Google Answers”の次には“百度知道”と、百度はその技術力を駆使して、Googleが米国で新サービスを提供すれば、すぐにその後を追ってきた。さらに中国向けの独自のサービスも開発し、提供している。模倣といってもいいサービスが多くを占めるが実はこれの評判がいい。特に“百度知道”の評価は高い。

百度知道
百度知道


本家より先に、中国でサービス提供


 Googleの新サービスの模倣はあくまでGoogleの本国であるアメリカなどのサービスを追っているという話である。しかしながら、Google 中国が提供する数少ないサービスと比較すると、中国での“百度 vs Google”の争いは百度のほうに随分と分がある。中国国内では、Googleのキャッシュ機能や画像検索が完全に利用できないということもあり、望みどおりの検索結果が得られるかどうかという問題はともかく、本業の検索においても百度のほうが使い勝手が良い。

 日本に置き換えた例を挙げよう。例えば“はてな”や“Yahoo! 知恵袋”がないときに、“Google Answers”を模倣しローカライズされたサイトが立ち上がったらどうだろうか。多くの人は“サービスのコンセプトが面白いかどうか”“役に立つかどうか”だけを気にし、それが模倣(悪く言えばパクリ)だということに気付かないだろう。仮に、気づいたところで、多くの人はそれを気にしないのではないだろうか? 日本でも“eBay”よりも“Yahoo! Auctions”のほうが国内でのサービス提供に先行したぶん、人気が出たという例がある。

 もちろん百度の度重なる模倣サービスにツッコミをいれる中国のブロガーもいるにはいるが、これは少数派だ。

 つまり百度は真っ先に海外で人気を博すサービスを中国向けにアレンジしたことで、サービス面での評価を得たのである。



アジア市場では“ローカル向けサービス”の提供がカギか


 百度の日本語版サービスは現状ではきわめてシンプルな機能しか提供していないが、今後はどうなるのだろうか? 中国での展開と同様、海外でリリースされたサービスが日本人にウケると判断すれば、真っ先に日本向けにローカライズしたサービスを提供するのだろうか? そのあたりは「百度のみぞ知る」ところだ。いずれにしろ日本人の利用者が喜ぶサービスを提供してくれることを期待しよう。

百度日本語版
日本語版の百度。利用できる機能は現状ではほとんどない

山谷剛史(やまやたけし)

フリーランスライター。中国などアジア地域を中心とした海外IT事情に強い。統計に頼らず現地人の目線で取材する手法で,一般ユーザーにもわかりやすいルポが好評。

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