AMDが“AMD 690”チップセットシリーズの店頭デモイベントをTWOTOP秋葉原本店で開催した。同チップセットの紹介はもちろん、イベント恒例のAMD対インテルの純正チップセット対決が行なわれた。
イベントは、まずチップセットの解説から始まった。“AMD 690”チップセットシリーズは、“RADEON X1250”を内蔵する“AMD 690G”と、“RADEON X1200”を内蔵する“AMD 690V”の2モデルをラインナップ。“AMD 690G”はHDMIコントローラを内蔵している点が他社製チップセットにはない優位性として挙げられる。AMDによると、HDMIコントローラを別チップで搭載している他社製チップセットは、PCから出力された音声をHDMIコントローラに再入力してから出力しているため、今後の著作権保護に対応できない可能性があるという。“AMD 690G”は外部接続が一切ないため、著作権保護された音声でも問題なく出力できるとしている。また、ATIが開発した動画支援技術“Avivo Technology”をサポートしているため、モアレ除去などの処理で画質向上が見込めるとのこと。
ここからはお待ちかねのインテル製チップセット“G965”との比較対決だ。AMDのデモ機は“AMD 690V”チップセット搭載のMSI製マザー「K9AGM2」に「AMD AthlonTM 64 X2 5200+」という構成で、インテルのデモ機は、“965G”チップセット搭載のGigabyte製マザー「GA-965G-DS3」に「Core 2 Duo E6400」を組み合わせた構成だ。
最初に行なわれたのは、動画再生時の画質を見比べるというマルチメディア関連の比較。“AMD 690V”を搭載したデモ機は、“Avivo Technology”でモアレ(縞模様のノイズ)が除去されるのに対し、“Intel G965”を搭載したデモ機はそれが行なわれない。ベンチマークの数値ではなく、観覧者に違いを実際に感じてもらおうというものだ。
次に行なわれたのは「Adobe Reader8」で、地図データの拡大/縮小を行ない再描画の速度を比較するというビジネスシーンで重要視されるデモだ。“AMD 690V”のデモ機は、地図を拡大/縮小すると、それに追従して即座に地図の再描画が始まるのに対し、“Intel G965”では拡大/縮小を行なっている最中は描画がストップしており、拡大/縮小後しばらくしてから描画が始まっていた。
最後はゲームでの比較。FPSゲームの「Half Life2」で、描画性能にどのくらいの差が出るのかを検証した。両者の画質の違いは誰が見ても明らか。“AMD 690V”は、これがオンボードグラフィックなのか?と疑ってしまうほどのクオリティなのに対し、“Intel G965”では、水面が描画されていない寂しい画面となっていた。そして、画質以上に深刻なのが操作性だ。“AMD 690V”では、主人公が移動してもなめらかにスクロールするのに対し、“Intel G965”ではカクカクとした動きで、明らかに処理が重いと感じられた。
比較対決の後は、“AMD 690G”搭載デモ機のHDMIケーブル1本で、HD動画とサウンドを同時出力する、HDMIコンテンツの再生デモが行なわれた。これでイベントは終了だが、本日13時の回のみ、“兄貴"ことAMDの土居憲太郎氏がサプライズゲストで登場。“兄貴”はまず「デュアルコアCPUでTDP45Wモデルを発売する予定がある」と話を切り出した。また、「Quad Core対応Opteronのコードネームは“Barcelona”。周知の通り、OpteronはF1グランプリの開催場所がコードネームの由来。これに対し、デスクトップ向けのコードネームは“Agena”(アジーナ)。これは星の名前に由来する」と、豆知識も披露した。今後のAMDの展開については「現在、デュアルコアCPUのそれぞれのコアは同じクロックでしか動作しないが、今後は各コアで動作周波数を変えられるようになり、より低消費電力化が進む」、「“AMD 690”チップセットは元々ATIが開発してきたもの。今後は、さらにAMDプラットフォームに最適化されたものを提供していく」などと語った。