大型液晶による見やすい画面と小さな操作部
大型液晶ディスプレーを搭載したこともあって、従来のCyber-shot Tシリーズ、例えばDSC-T10と比べるとサイズは一回り大きい。高さで約5mm大きいため、ポーチなどに横にして差し込むときは幅をとってしまう。厚みは22.3mmと、ほかのTシリーズとほぼ同等だ。液晶ディスプレーに圧迫されて、操作系が小さくなってしまっている点も気になる。円形ボタンにしても、円の両サイドのない俵型になっているほどだ。HOME/MENUボタンの採用により、露出補正(再生時の削除と兼用)ボタンがなくなってメニューによる操作が一段と増えたにも関わらず、円形ボタンでの操作性が軽視されているのはいただけない。
ズームボタンと円形ボタンの間には、親指をあてがうくぼみはあるものの、前面の指掛かりは右端にあるロゴの入ったグリップ部分だけというのも、持ちやすいとは言いがたいところだ。また、新メニューシステムは起動時に柔らかく浮かび上がり、カーソルの移動やサブ項目の表示が細かくアニメーションするなど非常に凝ったものとなっているのだが、撮影の際に“手早く設定を変えたい”というときには、もたつくような印象が否めない。カーソル移動だけでももう少し速く動いてくれるか、設定でアニメーション処理をオフにするモードも欲しいところだ。
新画像処理エンジンの威力はかなり強力で、ほとんどのシーンで露出を大きく外すことなく撮れ、高感度域でのノイズ感も大きく減少している。彩度強調による発色も鮮やかで、青や緑の被写体が青白~黄緑側に出る傾向はCyber-shotシリーズならではの発色という印象はそのままだが、赤系統の色はかなり濃く見えるようになった。また、屈曲光学系レンズでは周辺で画像が劣化するものが多いが、本機でも広角時の周辺はかなり歪み、色のズレも見られる。ハイライト部分の周囲にも若干の着色が見られるものの、こちらはかなり抑えられている。
屈曲光学系のスリム機にも3倍以上のズームを備える製品が増えてきたが、ポケットに入れやすい手軽さと望遠撮影は確かに手軽だ。Cyber-shotシリーズの新世代モデルだけに、随所に新機軸が盛り込まれているが、従来からのCyber-shot Tシリーズをそのまま継承したボディーへの大画面液晶ディスプレー搭載はやや無理があり、撮影時に露出補正など細かい操作を多用するという人には向いていないだろう。強化された画像処理エンジンにより、スナップ撮影であればオートで撮ってもほとんど問題はでない。より気軽に使えるデジタルカメラとして、新たな世代の製品と言えるだろう。
DSC-T100のスペック | |
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製品名 | Cyber-shot DSC-T100 |
撮像素子 | 1/2.5インチ 有効810万(総830万)画素CCD |
レンズ | 光学5倍ズーム、F値 F3.5-4.4、焦点距離 f=5.8~29mm(35mmフィルムカメラ換算時:35~175mm) |
静止画撮影 | 最大3264×2448ドット |
ISO感度 | オート、ISO80/100/200/400/800/1600/3200 |
動画撮影 | 最大640×480ドット、30fps、MPEG-1形式 |
ディスプレー | 3インチTFT、約23万画素 |
記録メディア | 内蔵 約31MBフラッシュメモリー、メモリースティックDuo/Pro Duo |
インターフェース | USB、AV出力、DC入力 |
電源 | リチウムイオン充電池(NP-BG1) |
撮影可能枚数 | 約340枚 |
本体サイズ | 91.8(W)×22.3(D)×59.2(H)mm |
重さ | 約141g(本体のみ)/約172g(装備重量) |