(株)オーセンティックは23日、液晶ディスプレーの前面パネルを振動させて音を発生させるスピーカーシステム“SoundVu(サウンドビュー)”に使用する圧電方式DMアクチュエーターの第2世代となる、より薄型の“超薄型圧電方式DMアクチュエータ”を開発したと発表した。親会社である日本電気(株)の本社で記者向けに開催された内覧会では、このモジュールを使用してステレオ再生のデモが行なわれた。
“SoundVu”は、英New Transducers Limited(NXT)社のフラットパネルスピーカー技術で、オーセンティックがライセンス許諾を受けて、2002年から日本電気がパソコン用液晶ディスプレーに採用している。液晶ディスプレー前面部の保護パネルを振動させることで画面全体から音を発生させるのが特徴。携帯電話などに“SoundVu”を組み込むために圧電方式のアクチュエーターも開発されており、パネル左右にアクチュエーターを装着すればステレオ再生も可能だが、これまではアクチュエーターの大きさの問題で携帯電話機にはアクチュエーター1つを使ったモノラル再生機能しか実装されていなかった。今回、より薄型となった“超薄型圧電方式DMアクチュエータ”の開発により、アクチュエーター2つを使ってステレオ再生機能を実装できるようになったという。構造や共振周波数の見直しにより高音質化も図られている。
製品化された薄型アクチュエーター『DMA-AH35T』の仕様は、本体サイズが幅34.5×奥行き4.7×高さ2.4mmで、重さは1.8g。再生周波数特性は300Hz~3.4kHz。出力音圧は90dB以上(距離10cm)。電源電圧は10V。
また、今回のアクチュエーターの開発には京セラ(株)やダイエー技研(株)が協力したという。なお、オーセンティックは1993年に日本電気の社内ベンチャーとしてオーディオ部門が独立した子会社。
オーセンティックによれば、携帯電話機でデジタル放送“ワンセグ”の視聴や音楽の再生、3G通信を利用した音楽や動画のストリーミング再生が行なわれるようになり、ヘッドホンではなく画面を見ながら臨場感のある再生が行なえる環境が求められるようになってきているという。また、携帯電話機の薄型化が進んでいることから従来の技術ではステレオスピーカーの実装が難しくなってきているという。