日本オラクルは3月19日、通信・メディア業界向けのアプリケーション戦略について発表を行なった。Siebel Communications、Oracle Communications Billing and Revenue Managementといった新製品を核とした「Communications Industry Suite」を日本市場向けに本格展開するほか、専任営業組織として「Communications Global Business Unit Japan」も発足させる。
通信・メディア業界向けアプリケーション群を提供
通信・メディア業界を取り巻く経営環境は厳しい一方で、ITシステムの効率化は比較的遅れているという。
同社のJapan Applications Business Group常務執行役員 エンタープライズアプリケーション営業統括本部長の桑原 宏昭氏によると、通信業界のIT投資額は年間でおおよそ1兆2000億円という規模で、内訳はハードウェアが約6000億円、ソフトウェアが約2800億円、サービスが約4600億円程度だという。
この市場に対してオラクルは、15年にわたってデータベース・ビジネスを展開しており、近年ではFusion Middlewareも加わった。また、バックオフィス・アプリケーションとしてERP関連の会計・購買・人事といったアプリケーションもこの2~3年で大きな実績を上げたという。そしてこれらに続くものが、同社が「インダストリー・アプリケーション」と呼ぶ業種特化型のアプリケーションとなる。
従来、通信業界ではインダストリー・アプリケーションがカバーする分野は、ほとんどがユーザー企業による手組みとなっており、パッケージ・アプリケーションの導入例はまだ少ないという。この市場に向けて、オラクルはパッケージ・アプリケーション群「Communications Industry Suite」を投入し、開発期間と開発コストの削減を実現し、より品質の高いサービスを提供できるよう支援していくという。
Communications Industry Suiteには、CRM製品「Siebel」の通信業界向け顧客管理アプリケーションの最新版「Siebel Communications」、旧PORTALの製品で請求/収益管理アプリケーション「Oracle Communications Billing and Revenue Managemnet」、OSS(Operation Support System:通信網運用支援システム)でのサービスフルフィルメントを支援するアプリケーション「MetaSolv」、Oracle E-Business Suiteの通信業界向けソリューション「Network Asset Lifecycle Management」などが組み合わされて提供される。
これらのソフトウェア群によって、ユーザーとなる通信事業者は契約ユーザーに対する「プロダクト企画から資金回収まで」の業務と、「ネットワークの設備設計から廃棄まで」の大きく2つの分野の業務に関して、効率的な運用を実現できるという。
また同社ではCommunications Industry Suiteのような業界特化製品の専任営業組織「Communications Global Business Unit Japan」を発足させ、販売に注力するという。
なお、桑原氏は大まかな目標として、「今後2年程度で市場全体の20%くらいを獲得したい」としている。