シマンテックとネットワークアプライアンスは記者説明会を開催し、両社の製品・サービスを組み合わせた電子メールアーカイブソリューションを、法規制によるIT統制の強化を見据えたものとして紹介した。
「証拠」としての重要性が増す企業のメールシステム
シマンテック プロダクトマーケティング部リージョナルプロダクトマーケティングマネージャの堀江徹氏は、「電子メールシステムはビジネスの基盤であるだけでなく、企業の情報資産、証拠としても利用されるようになっている」と語る。その一方で、メールが増加することによる管理コストの上昇や、また保存しているメールの迅速な検索など、システムに求められる要求も高まっていることを指摘。これらの要求を満たすものとして、シマンテックの「Enterprise Vault」とネットワークアプライアンス(NetApp)のストレージ製品を組み合わせたソリューションを紹介した。この組み合わせにより、(1)多層型ストレージおよび、メール容量管理、(2)蓄積した情報に対する優れた検索性、(3)アーカイブされたメールの改ざん、削除の防止――が実現するとした。
両社の協業は、今回新たに始まったものではなく、これまでもEnterprise VaultがNetAppのWORM(Write Once Read Many)ボリュームに対応したり、Enterprise VaultとNetApp製品で使われているOSの「Data ONTAP」間でAPIの統合が行なわれるなど、さまざまなレベルで行なわれ、実績のあるものだ。
Enterprise Vaultは、マイクロソフトのExchangeサーバと連携し、メールデータの多階層管理を実現するシステムで、ユーザーはメールを検索する際に、1次データストレージと、古いメールを記憶しておく2次データストレージのどちらにあるのかを意識せずに利用できるものだ。このシステムにNetAppのストレージを用いることで、Enterprise VaultとNetAppのツール類の緊密な連携が実現可能となる。
続いて、日本ネットワーク・アプライアンス マーケティング本部プロダクトマーケティング担当シニアマネージャの阿部恵史氏が登壇し、同社のストレージ製品の特徴を紹介した。NetAppのストレージはディスク-to-ディスクで、テープドライブのような従来型アーカイブシステムと1次ストレージの中間的位置付けにある。大量のデータを経済的に保存するため、シリアルATAのドライブ利用可能で、さまざまな規格のドライブを同時に扱えるという、エンタープライズ向けストレージ製品としては唯一の特徴を持つ。
メールアーカイブソリューションには、WORMボリューム、すなわち消去や上書きが不可能なストレージが必要となるが、NetApp製品では「SnapLock」というオプションを用いてWORMの管理を行なう。SnapLockには「Compliance」、「Enterprise」という2つのバージョンが存在している。Complianceは、法令遵守に用いられるもので、管理者であってもいったん設定したあとは、何も変更を行なうことができない。一方Enterpriseは、社内のルールにしたがった記録保存に用いられるもので、管理者はボリューム単位での消去のみ行なえるというのものだ。
SnapLockはオープンプロトコルを採用しているため、メールデータを保存する際には必ず起きるハードウェアの更新の際にも、特定のアーキテクチャやベンダーに束縛されることなく、長期間の利用が可能だ。