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方向性を付加した音声ナビゲーションも紹介

YRP/UNL、“東京ユビキタス計画・銀座”でIPマルチキャスト通話機能をデモ

2007年03月09日 18時06分更新

文● 編集部 若林健太

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YRPユビキタス・ネットワーキング研究所は9日、東京大学大学院情報学環の21世紀COE(Center of Excellence)“次世代ユビキタス情報基盤の形成”と技術協力を行なっている実証実験“東京ユビキタス計画・銀座”において、記者向け体験会を開催した。2月9日に続いて行なわれた今回の体験会では、新機能となるVoIPを利用したマルチキャスト通話機能や、画像と音声による目的地へのナビゲーション機能の説明とデモンストレーションが行なわれた。

“東京ユビキタス計画・銀座”で使用される携帯情報端末“ユビキタス・コミュニケータ”

“東京ユビキタス計画・銀座”で使用される携帯情報端末“ユビキタス・コミュニケータ”

“東京ユビキタス計画・銀座”は、東京都と国土交通省が銀座4丁目付近で1月21日から3月10日まで行なっている実証実験。TRONベースの携帯情報端末“ユビキタス・コミュニケータ”と、無線ICタグや2次元バーコードなどで場所に振られたID(ucode)を利用して現在地情報/トイレ・交番・医療施設などの周辺施設情報/観光ガイド/店舗情報/災害時の避難情報/目的地へのナビゲーションなどを提供しようというものだ。ユビキタス・コミュニケータを持ってucodeが振られたICタグ/赤外線マーカー/無線マーカーなどの“ucodeマーカ”(約1000個を設置)の近くに行くと、そのucodeに応じた情報がユビキタス・コミュニケータの有機ELディスプレーに表示されるようになっている。ユビキタス・コミュニケータにはヘッドホンも接続できるようになっており、音声情報も利用できる。

今回デモンストレーションが行なわれた2つの機能は、ユビキタス・コミュニケータに搭載された沖電気工業(株)のソフトウェアエンジン“eおとエンジン”の機能“eおと ポジショニング”を利用している。“eおと ポジショニング”は、音源の方向によって左右の耳に到達する音に生じる特性の微妙な違いに基づく音の方向性を信号処理により仮想的に再現する(音像定位)技術。これにより音声に方向感を加えたり、複数人の話し声が別方向から聞こえるようにしたりできる。

YRPユビキタス・ネットワーキング研究所所長で東京大学教授の坂村 健氏。耳に付けているのは“ユビキタス・コミュニケータ”のヘッドホン

YRPユビキタス・ネットワーキング研究所所長で東京大学教授の坂村 健氏。耳に付けているのは“ユビキタス・コミュニケータ”のヘッドホン

VoIPを利用したマルチキャスト通話機能のデモンストレーションでは、説明を行なったYRPユビキタス・ネットワーキング研究所所長で東京大学教授でもある坂村 健(さかむら けん)氏と、体験会に参加した記者がユビキタス・コミュニケータに搭載されたマイクで会話を行ない、その声が周りの記者すべてのユビキタス・コミュニケータのヘッドホンで聞こえることが確認できた。

続いてデモンストレーションが行なわれた目的地へのナビゲーション機能は、あらかじめ設定された目的地への道順を、画面の地図表示と音声(「右に曲がってください」「この階段を上ってください」など)で案内するもの。道順に従って進んでいくうちにucodeマーカの付近を通過すると、その都度地図や案内の音声が更新されるのが特徴。案内の音声は“eおと ポジショニング”により、進むべき方向から聞こえるようになっている。例えば「右に曲がってください」という音声は右から聞こえ、「この階段を上ってください」という音声は前から聞こえる。

ucodeマーカの付近を通過するたびに、地図や音声案内が更新されていく

ガイドを務めた坂村氏はこれまでの実証実験の手ごたえについても語り、今後の課題として「無線LANの電波の混信。始めのころは本当にひどくて、夜中に設定したときは動いているのに昼間になると動かないということが多発した。しかし実験期間中も改良を行ない、今ではだいぶ改善されている。もうひとつは端末の使いやすさだが、大きさなどは今後確実に小さくできると思う」とした。

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