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2009年からHD DVD/Blu-rayが増加ペースへ

JEITA、2006年度の情報端末装置に関する市場調査報告書を発表

2007年03月08日 20時10分更新

文● 編集部 佐久間康仁

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JEITAの専務理事の吹譯正憲氏

各委員会からの報告に先立って挨拶したJEITAの専務理事の吹譯正憲(ふきわけまさのり)氏

(社)電子情報技術産業協会(JEITA)は8日、東京・お茶の水の協会内会議室にプレス関係者を集め、光ディスクやHDD、プリンターなどの周辺機器(JEITAでは“情報端末装置”と呼称)の世界/国内需要に関する調査報告書を発表した。この中では、2006年度の実績とともに、2009年~2010年(カテゴリーごとに異なる)にかけての市場規模予測が発表された。

発表された内容は、OCR(光学式文字認識)装置、イメージスキャナー、光ディスク、HDD、プリンター、ディスプレーの6つのカテゴリーに関するもので、詳細なデータは同協会のウェブサイトでも公開される。いずれも、JEITAの各委員会に参加する企業が自主的に出荷台数と金額を申告した内容を合計し、年次での変化や市場動向などをメーカー側の視点で分析して報告書にまとめている。

ここでは特にエンドユーザーにもなじみの深い光ディスクプリンターディスプレープリンターの4カテゴリーについて2006年度の出荷実績と4~5年後の市場規模に関する予測、および分析についてのコメントを紹介する。



2009年には次世代DVDが3000万台近い市場に成長
――光ディスク

2006年度の出荷実績は、世界全体で2億9148万台(前年比9%増)。この内訳を見ると、主流はすでにCD-R/RW&DVD-ROM対応のコンボドライブから記録型DVDドライブへ移っており、半数以上の1億5310万台が出荷されたという。2009年にかけてもこの傾向は続き、総出荷数は3億3270万台、記録型DVDドライブはその7割近くを占める2億3220万台と見込まれる。

光ディスクドライブの2005年から2009年の需要見通し

光ディスクドライブの2005年から2009年の需要見通し

ただ、記録型DVDドライブが増加率も年々下がってきており、代わって2007年からは青紫色レーザーを用いた高密度光ディスク(HD-DVD/Blu-ray Disc)の市場が立ち上がると見られている。具体的には2007年の出荷台数が210万台(前年の11倍)、2008年は950万台(同4.5倍)、2009年には2870万台(同3倍)と急増するという。

これはパソコン内蔵用だけでなく、(ゲーム機を含む)AV機器などにも高い需要が見込まれるためと分析。さらに日本の市場は世界的に見ても増加ペースの速さが顕著で、2009年時点では世界の出荷数の25%を日本市場が占めるだろうと強気の予測を示した。



2.5インチ以下が市場の牽引役に
――HDD

光ディスクと並んで明るい予測が発表されたのはHDDだ。これはパソコン内蔵機器としての需要が堅調に継続するのに加えて、AV機器や車載装置(カーナビなど)、事務機器などHDD搭載装置の幅広い需要が見込まれるため。

HDDの世界的な市場予測

HDDの世界的な市場予測(2005年から2009年)。下の濃い部分が3.5インチ、上の白い部分は2.5インチ以下クラス

JEITAではHDDを3.5インチと2.5インチ以下(1.8/1/0.85インチを含む)に分けて調査・分析しているが、どちらも年率10%前後の堅調な伸びを示す。2006年度の出荷実績は4億1413万台、2009年は5億9852万台と予測。そのうち3.5インチは2006年は2億6201万台、2009年度は3億1950万台で、成長率は5%前後に落ち着く(日本市場に限っては2008年の1886万台をピークに、2009年は1764万台と6%減を予測)。これは、デスクトップからノートパソコンへと世界的にパソコンの需要が変わってきていること、2.5インチ以下ではゲーム機を含むAV機器やポータブルプレーヤー、カーナビなどで高い需要が見込まれること、などが理由だ。ただし、1インチ以下の小型HDDについては、フラッシュメモリーの低価格化によって競合が起こっていることも指摘した。



国内市場も増加に転じ、今後は出荷台数で微増が続く
――ディスプレー

ディスプレーの出荷、および市場動向については、主に液晶ディスプレーの出荷台数とサイズの大型化について取り上げられた(CRTディスプレーについては世界市場でも減少の一途で、日本では2006年実績で1万9000台、2007年はゼロと見られる)。

世界的な市場動向は16~17インチ、18~19インチの2つのボリュームゾーンを中心に増加ペースが続いており、2006年実績で1億2000万台、2009年には1億5540万台を見込んでいる。特に増加ペースが高いのは18~19インチと20インチ以上で、2009年時点ではそれぞれ47%(2006年実績は35%)、19%(同5%)と高い成長が見込まれる。

国内市場は、2005年実績が537万台で前年割れが続いていたが、2006年に551万台と3%増に回復。今後も堅調な推移が予測され、2009年には591万台の出荷を見込む。ただし、国内/海外ともに販売価格の下落傾向は出荷の伸びを上回り、販売価格は年々減少するものと予想している(国内の市場規模で、2006年の2223億円が2009年には1999億円になると予測)。



世界的にはA4カラー複合機のページプリンターの需要が高まっている
――プリンター

プリンターについては、世界の中で唯一日本での売れ行き落ち込みが印象的だ。2006年の世界の地域別出荷台数を比べると、北米と欧州が約3500万台、アジアパシフィック(日本を除く)とその他の地域が23万台で、前年と比べてそれぞれ微増もしくは横ばいだったのに対し、日本は803万台で唯一93%とマイナス成長を記録した。

この要因としてJEITAでは「(商戦期に)カラーページプリンターの新製品が出なかったこと。(家庭向けインクジェットプリンターを中心に)単機能機の落ち込みが大きかったこと」などを挙げた。

2006年のプリンターの地域別出荷実績(左)と2010年までの市場予測

ただし、世界的には年平均3%と堅調に推移しており、特にページプリンターのカラー複合機が年平均50%と高い成長を見せると予測している(金額ベースでは1%の成長で、世界市場で6兆2778億円)。このジャンルは、日本ではA3サイズの製品が多く投入されているが、世界的に見るとA4サイズのニーズが強く、今後は日本でもA4のカラーレーザー複合機が見直されるのではないかと期待しているようだ。

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