シャープ(株)は28日、東京・大手町の経団連会館にプレス関係者を集め、Core 2 Duo/Celeron M搭載のコンパクトデスクトップパソコンと32/26/20Vインチの液晶TV“AQUOS Dシリーズ”を組み合わせた、“インターネットAQUOS”新モデルの発表会を開催した。新製品の詳細は別途レポート済み(関連記事1)だが、ここでは発表会で示された開発コンセプトや製品の特徴などを紹介する。
インターネットAQUOSは、2006年4月に同社が“パソコンテレビ”というコンセプトで発表した、大画面液晶TVにパソコンを組み合わせたモデル。同社では従来から、パソコンのディスプレーとして液晶TVを組み合わせたモデルを発売していたが、主客を逆転させて、普段はリビングルームに置かれる大画面TVとして使い、必要に応じてパソコンとしてのウェブブラウザー/メールなどの機能が使える製品としての“パソコンテレビ”をアピールした。
発表会で登壇した情報通信事業本部本部長の大畠昌巳(おおばたけまさみ)氏は、「(インターネットAQUOSで)新規市場開拓を進め、パソコン市場が苦戦する2006年に、同じモデルで10ヵ月に渡って売り上げを伸ばしてきた」と威勢のいい文句で切り出したが、「(店頭では)付加価値の高い大画面TVの売れ行きが好調な中にあっては、パソコンが付属する分だけ価格が上がってしまう」「ユーザーの声を聞くと、“1台3役で使える”、“大画面で楽しめる”、“亀山工場製というブランド”が高く評価されたが、TVとしてよりもパソコンとして検索やメールなどに使われるケースが多い」と実情を示した。
そこで今回発表された“インターネットAQUOS”では、ユーザーの声を反映して2つのポイントを進化させたという。
- AVの基本機能の進化、高画質なまま録画可能に
- リモコンの使い勝手を向上して、キーボードを使わず離れた場所から操作可能に
前者は、パソコン内部にパソコンから独立したHDD(録画ユニット)を内蔵し、AQUOSで見ている番組をすぐにリモコンの1ボタンで録画開始できるようにしたことを指す。この録画ユニットはパソコンが起動していない状態でも録画・再生などの動作が可能という。ただし、パソコン側からHDDを認識・操作することはできず、録画したデータをパソコン経由で編集したり、光ディスクに書き出すことはできない。なお、同社が今月14日に発表した録画も可能な“Blu-ray Discプレーヤー”(関連記事2)との組み合わせについては、現在動作検証を進めているとのことで、ハイビジョン画質のまま書き出せる可能性もある。
後者は、TV CMなどの最後に検索キーワードを表示するパターンが増えてきた状況を踏まえて、パソコン側の同社独自ユーザーインターフェース“PCメニュー”に検索窓を新規追加して、Yahoo!での検索が可能になったことを示す。パソコン側が起動していれば、TVとパソコンの切り替えは、リモコンの“PCメニュー”ボタンでほぼ瞬時に行なわれ、よく使うウェブサイトやアプリケーションのメニューを最大12個表示・選択できる。このメニューの右上に検索窓を用意し、リモコンの1~12のチャンネル選択ボタンを携帯電話機の数字キーに見立てて、1=あ行、2=か行という具合の文字入力インターフェースを装備。画面上にもガイドが表示され、短い単語やメールの返信程度であれば、わざわざ付属キーボード(ワイヤレス)に持ち替えなくても、リモコンだけで手早く入力できる。また、リモコンの信号方式は赤外線(TV操作時)とRF無線(パソコン操作時)の2系統で、パソコン時にはリモコンの向きをさほど気にせずに操作できるなど、細かい使い勝手の面も改善しているという。
同社では本製品を当面国内販売のみとしており、目標販売台数は2007年度で20万台を掲げている。