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インテル、仮想化技術“VT”の最新動向について説明

2007年02月22日 18時17分更新

文● 編集部 小西利明

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インテル(株)は22日、東京都内にて記者説明会を開催し、同社製CPUが備える仮想化技術“インテル バーチャライゼーション・テクノロジー”(以下VT)の最新動向について説明。将来のVTに加えられるI/O仮想化技術“VT-d”についての解説などが行なわれた。

説明会では主に、同社マーケティング本部 テクニカル・マーケティング・エンジニアの岩本成文氏によりVTに関する説明が行なわれる形で進行した。まず冒頭で岩本氏は、VTに対応したプラットフォームを実現するコンポーネントとして、2006年11月に発表されたクアッドコアXeon 5300番台について言及し、“Coreマイクロアーキテクチャー”採用による消費電力当たり性能の高さなど、クアッドコアXeonの利点について説明した。

クアッドコアXeonの特徴についての説明。すでに100万個以上が出荷されたという

クアッドコアXeonの特徴についての説明。すでに100万個以上が出荷されたという

インテルではCoreマイクロアーキテクチャーの利点を、消費電力当たり性能の高さとしている

インテルではCoreマイクロアーキテクチャーの利点を、消費電力当たり性能の高さとしている

続いて(株)IMJネットワーク 代表取締役の山田敏博氏により、IMJネットワークにて行なったクアッドコアXeon搭載システムとヴイエムウェア(株)の仮想化環境ソフト『VMware ESX Server』による性能検証についての説明が行なわれた。山田氏は、コストパフォーマンスを向上させるサーバー集約化に際しては、CPU性能がボトルネックになると語り、同社で行なったシングルコアXeonシステムとクアッドコアXeonシステムの性能検証について披露した。それによるとシングルコアXeon-3.66GHz×4のシステムと、クアッドコアXeon X5355-2.66GHz×2(8CPUコア)のシステム上で、Windows XP 20台分の仮想化環境を提供する検証を行なったところ、クアッドコア環境はシングルコア環境に対して、平均CPU使用率で3.67倍の向上率を実現したという。コア数が2倍に対して、それ以上の性能向上が確認されたのは、クアッドコアXeon自体の演算性能向上によるものではないかと山田氏は述べた。

再び登壇した岩本氏は、次世代のVTの動向について解説した。岩田氏の解説の中心となったのは、2006年5月に発表された、I/O仮想化技術“Directed I/O Architecture”(VT-d)と、メモリー管理技術“Extended Page Tables”(EPT)である。

VTのロードマップ。VT-dとEPTは、第2世代のVTの技術とされている

VTのロードマップ。VT-dとEPTは、第2世代のVTの技術とされている

EPTは主に、仮想マシンマネージャー(VMM)の管理下で動く“ゲストOS”のパフォーマンス向上と使用メモリー低減を目的とした新技術だ。EPTはゲストOSが理解している物理アドレスと、実際のマシン上に存在するメモリーの物理アドレスの変換を行なう。ゲストOSは実際の物理アドレスへの変換を気にすることなく、ページテーブルを操作できるほか、ページ操作にともなう負荷軽減、EPTが複数のゲストOSのメモリー操作に対応できるため、使用するメモリーの低減にもつながるという。

説明会で最も重点が置かれたのがVT-dの解説である。仮想化環境におけるI/Oの仮想化技術には、いくつかの手法がある。現在一般的なのは、VMMが仮想マシンからのI/Oアクセスをソフトウェアでエミュレーションする手法であるが、当然ながらパフォーマンスに悪影響を与える。現在I/O仮想化についてはPCIインターフェースの規格化団体である“PCI-SIG”で、I/O仮想化(IOV)に対応して複数のVMからのI/Oアクセスを共有可能な規格の標準化が行なわれているという。VT-dはそれを実現するプラットフォーム側の機能と言える。

ソフトウェアベースの仮想化の構造と問題点

ソフトウェアベースの仮想化の構造と問題点

VT-dではパス・スルーモデルと呼ばれる手法を取り入れ、対応チップセット内に必要な機能を実装する。IOV対応デバイスは、仮想ファンクションと呼ばれるPCIファンクションのサブセットを用意する。ゲストOSは従来のデバイスドライバーを用いて、対象となるデバイスの仮想ファンクションに接続、操作を行なう。デバイスとプラットフォーム側で複数のVMからのI/O操作を制御してくれるため、ゲストOS側は特別な対応が不要になるというわけだ。

パス・スルーモデルによるI/O仮想化の概念図

パス・スルーモデルによるI/O仮想化の概念図

この仕組みを利用できるのはPCI Express用デバイスのみで、プラットフォームとデバイスのそれぞれが、この機能に対応する必要がある。ハードウェアに対する追加投資が必要になるため、仮想環境にも優れたパフォーマンスを要求するような用途から導入されることになると思われる。

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