日本オラクルは、2月5日、統合ERPスイート「Oracle E-Bususiness Suite」のホスティングサービス「EBSO@Oracle」を開始すると発表した。昨年12月にも概要を明らかにしていた(=関連記事)フルマネージド型のホスティングサービス「@Oracle」の第1弾で、オンデマンド事業への取り組みを本格化させる。
アドオンを含めた運用管理を代行、運用コストの最大5割削減を実現
「オラクルは、事業ユニットごとに収益性をキープしながら技術革新を行なってきた。だが、オンデマンド事業は明らかに投資先行型のビジネスで、これまでに多額の投資をしてきた。オラクルのビジネスにおけるプライオリティの高さを理解してほしい」
この日、サービス開始を受けて開かれた記者説明会の冒頭、日本オラクル代表取締役社長の新宅正明氏は、今回のサービス開始に対する意気込みを強く口にした。
オラクルが手がける「Oracle On Demand」は、いわゆる「SaaS(Software as a Service)型」のサービスと、「マネージド・アプリケーションサービス」からなる運用管理サービスだ。SaaSは、初期投資が不要な月額会員制・マルチテナントのASPサービスで、オラクルは昨年「Siebel CRM On Demand」を開始。この分野で先行するセールスフォース・ドットコムを追い、シェア獲得を狙っている。
一方のマネージド・アプリケーションは、「企業ごとにセットアップされたシステム。アプリケーションを運用付きで買っていただくイメージ」(オンデマンド本部長の荻矢隆夫氏)という、柔軟なカスタマイズに対応した運用代行サービス。日本オラクルではすでに、企業内のオラクルアプリケーションやDBの遠隔管理を請け負う「@Customer」を提供しているが、今回は新たに「@Oracle」と呼ばれるフルマネージド型のホスティングサービスを追加する。
@Oracleは、OS・システム管理やハードウェアの管理・運用までをオラクルが請け負う「フルセットのオンデマンドサービス」(荻矢氏)。第1弾として「Oracle E-Business Suite」(EBS)を対象とした「EBSO@Oracle」を開始する。EBSO@Oracleは、EBSの動作環境を米オラクルのデータセンタに用意し、顧客企業が独自に開発したアドオンを含めてオラクルが運用を代行。荻矢氏は「パッケージ製品ではトラブル発生時などに予期せぬ費用が発生することがあった。@Oracleは開発から運用までのライフサイクル全体をカバーし、アプリケーションの価値を最大化できる」とアピールする。
実際の運用を担うのは米オラクルがオースティンに構えるデータセンタで、米国SOX法に対応した監査基準「SAS 70 Type II」をクリアする信頼性と、ITILに準拠した高品質な運用サービスが売りだ。また、東京都内に「RSC(Regional Service Center)」を設置するとともに、24時間365日体制のグローバル・サービスデスクにも日本語対応が可能な人員を配置してサポート体制を構築する。さらに、稼働状況やパフォーマンス状況についてはカスタマーポータルに公開し、顧客自らが確認できるようにする。
料金は、人事・経理・販売管理などの専門部署を対象とした「Professional Application User」が1ユーザーあたり1万8750円/月。一般社員を対象とした「Self Service application User」が2500円/月となる。契約は年単位で、年間の最低利用料金が1687万5000円。オラクルでは「(自社運用に比べて)3~5割のコスト削減を実現する、非常に価格競争力の高いサービス。特に1000名程度の中堅企業ではコストメリットが大きい」(荻矢氏)とコスト面での優位性を強調する。
Oracle On Demandは、「最速成長ビジネス」とオラクルが位置づけるビジネスで、グローバルではすでに2200システムが稼動している。日本オラクルでは、2010年まで年100%の成長を見込んでおり、売上50億円程度までに育てる計画だ。荻矢氏は「日本でもトップレベルの投資をしており、確実に成長させていきたい。来年度は少なくとも10~15社の成約を目指す」と話している。