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特別編 Vistaの知られざる機能を探る――USBメモリーでパフォーマンスが上がる!?“ReadyBoost”とは何か

ReadyBoostの実力を検証

2007年02月15日 11時00分更新

文● 山本雅史

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ReadyBoostの実力を検証

それでは実際にVista上でReadyBoostを設定して、パフォーマンス向上が見られるかを検証してみよう。テスト機材としては、デル(株)のノートパソコン『Inspiron 9400』(※1)を使用。OSにはWindows Vista Ultimateを使用した。フラッシュメモリーとしては、以下の3製品を使用した。

※1 CPU:Core Duo T2600-2.16GHz|メモリー:DDR2-667 1GB|HDD:100GB|グラフィックス:NVIDIA GeForce Go 7800

     
  • USBメモリー“ToteBag”『TB-BH1G』(容量1GB):(株)アイ・オー・データ機器
  •  
  • SDメモリーカード『SDP-1G』(容量1GB):(株)アイ・オー・データ機器
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  • ExpressCardフラッシュメモリ『HEX-S2GJ』(容量2GB):(株)ハギワラシスコム
USBメモリー“ToteBag”『TB-BH1G』 SDメモリーカード『SDP-1G』
USBメモリー“ToteBag”『TB-BH1G』SDメモリーカード『SDP-1G』
ExpressCardフラッシュメモリ『HEX-S2GJ』
ExpressCardフラッシュメモリ『HEX-S2GJ』

ToteBagは“Works with Windows Vista”ロゴを取得している。またSDメモリーカード『SDP-1G』は、“Read時転送速度20MB/秒超”の高速性を特徴とする。ExpressCardフラッシュメモリは、フラッシュメモリーチップを2チップ搭載し、効率的にデータ転送をおこなう“インタリーブ”機能を備えている。これによりRead 32MB/秒(シーケンシャル)、Write 22MB/s(シーケンシャル)という高速なデータ転送を実現している。

まずはディスク性能を図るオンラインソフト“FDBench”で、各メモリーのスピードをチェックした(グラフ1)。テスト結果を見ると、USBメモリーとExpressCardの差はわずかで、SDメモリーカードのみシーケンシャルRead/WriteとランダムReadが遅かった。このテストはインタフェースの差よりも、フラッシュメモリー自体のアクセススピードによるところが大きいと思われる。

グラフ1 FDBenchによるフラッシュメモリーアクセススピードの計測結果(単位KB/秒)。使用エリア100MB、ファイルサイズ40MB
グラフ1 FDBenchによるフラッシュメモリーアクセススピードの計測結果(単位KB/秒)。使用エリア100MB、ファイルサイズ40MB

次に、ReadyBoostの効果が最も現われると期待される“アプリケーションの起動時間”を計測した。コーレル(株)の『Paint Shop Pro Photo XI』を使用し、OS起動後の初回起動にかかる時間と、2回目以降の起動にかかる時間を計測した(グラフ2)。結果を見ると、ReadyBoostがある場合は初回起動にかかる時間が大きく短縮されているほか、2回目以降の起動時間もやや短縮されているのが分かる。ReadyBoostがOS起動直後のパフォーマンス向上に寄与していることがうかがえる。一方でフラッシュメモリーの種類による差はほとんど感じられない。

グラフ2 アプリケーション起動時間の計測結果(単位 秒、数字が小さいほど速い)
グラフ2 アプリケーション起動時間の計測結果(単位 秒、数字が小さいほど速い)

続いて、誤差の出やすい手動計測に変わる測定方法として、Vista対応を表明しているベンチマークソフト“CrystalMark 2004 R2”を使用してのHDDアクセススピード計測を行なった(グラフ3)。

お詫びと訂正:掲載当初、CrystalMark 2004 R2の動作に関する記述がありましたが、同ソフトの動作に関する誤解がありましたので、該当する記述を削除いたしました。ここに訂正するとともに、お詫びいたします。(2007年4月13日)

グラフ3 CrystalMark 2004によるHDDアクセススピードの計測結果(単位MB/秒)
グラフ3 CrystalMark 2004によるHDDアクセススピードの計測結果(単位MB/秒)

結果としては、ReadyBoostを使用した場合“ランダムRead 64K”の値がずば抜けてよくなり、“シーケンシャルWrite”も高速化の傾向が見られる。しかしそれ以外はほとんど差がない。効果はあるが、限定的といったところだろうか。またSDメモリーカードはUSBメモリーやExpressCardに比べると、半分程度のパフォーマンスしか出ていない。もしUSBカードリーダー経由で接続していたら、さらに数値は悪くなっただろう。

いくつかのテストで感じられたのは、ReadyBoostはメインメモリーの容量が大きいとメリットが現われにくい、ということだ。メインメモリーが512MB程度のマシンでReadyBoostに1GBを設定すると、はっきり体感できるぐらいの差を感じた。一方でメインメモリーが1GBあると、今回のテストではそれほどメリットは感じられなかった。

しかし1GBのマシンでも、多数のアプリケーションを起動している状況ではReadyBoostのメリットを感じることはある。実際、筆者の作業マシンは1GBのメインメモリーを搭載しているが、ここではInternet Explorer 7にWindows Media Center、Outlook 2007、ウイルスチェックソフトなどがバックグラウンドで稼働している状態で、さらにWord 2007やPowerPoint 2007で作業をしている。この状況でReadyBoostを使用すると、アプリケーションの起動や切り替えが速くなっているのを感じる。

しかしメインメモリーが1GBでも、複数のソフトを常駐させていて、頻繁にスワップが起こるようになると、ReadyBoostを使用していてもパフォーマンスは上がらない。この場合はメインメモリーを増設した方がよい。

今回のベンチマークでは、ReadyBoostに使うメモリー側の容量差は、結果に現われなかった。しかし、複数のアプリケーションを起動している場合などは、ReadyBoostにもある程度の容量が必要とされるだろう。筆者はReadyBoost用メモリーのベストな容量は、メインメモリーの2倍程度と考える。

テストを繰り返してみると、フラッシュメモリーに対してReadyBoostを使用するよう設定すると、SuperFetchがそれまでに溜めているデータをフラッシュメモリーにロープライオリティI/Oで転送するため、HDDアクセスが頻繁になる様子が見られた。転送が始まって10~15分ほどすると、データ転送が落ち付き、ReadyBoostが動作し始めているのが分かる。また、テスト中にCrystalMark2004 R2を何度か起動したが、起動回数が増えるほど微妙ではあるがReadyBoostの効果がより発揮されているようにも見受けられた。SuperFetchの学習による効果かもしれない。

ReadyBoostに適したフラッシュメモリーは?

ReadyBoostではUSBメモリー、SDメモリーカード、ExpressCardなど、仕様を満たしてさえいれば、さまざまなフラッシュメモリーデバイスが使用できる。ではどのデバイスが、最もReadyBoostに適したデバイスなのだろうか?

ReadyBoostではインタフェースの転送速度よりも、フラッシュメモリー自体のスピードが重要だ。お勧めなのはExpressCardタイプのフラッシュメモリーだろう。基板面積の大きさを生かした2チップ構成によるインタリーブ機能などにより、一般的なUSBメモリーよりもフラッシュメモリーに高速アクセスができる。インタフェースが高速なのも利点だ。もしExpressCardのインタフェースを備えたノートパソコンがあるなら、ExpressCardタイプのフラッシュメモリーがベストだろう。本体側にほぼ完全に内蔵できるので、USBメモリーのように本体から飛び出さないので、持ち運びにも便利だ。

一方で、これから新たにUSBメモリーを利用する場合は、“ReadBoost対応”という記述のある製品を購入すべきだ。記述のないUSBメモリーは、そもそもReadyBoostには使えない可能性がある。またReadyBoostに対応する製品の中でも、ランダムアクセス性能の高い製品がお勧めだ。よりパフォーマンスの向上が期待できる。

ReadyBoostはノートパソコンだけでなくデスクトップパソコンでも有効だ。しかし1万円弱の出費で2GBのUSBメモリーを購入するぐらいなら、割高ではあるがメインメモリーを2GBに増設したほうが、高いパフォーマンスを示すのは確かだ。ReadyBoostはメインメモリーの少ないパソコンのパフォーマンス改善には役立つが、真にメインメモリーの代わりになるわけではないのだから。

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