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【コラム】

アップルが大胆予告「これまでの30年は始まりに過ぎない」

2007年01月03日 00時00分更新

文● ITジャーナリスト 林信行

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新しいアップルのはじまり

米国時間の元旦、米アップルコンピュータ社は、ホームページにかなり大胆なメッセージを掲載して新年を迎えた。

The first 30 years were just the beginning. Welcome to 2007.
抄訳:(創業後)最初の30年はほんの序章に過ぎなかった。2007年へようこそ。
ウェブサイト
2007年1月2日時点における米アップルのウェブサイトのトップページ

米国ニューヨーク株式市場は、3日までお休み中で、この大胆なメッセージへの反応は株価に現れていない。ただし、2006年12月29日締めの株価は前日比3.97ドル高(4.91%高)の84.84ドルで、年明け早々の新発表の期待感が含まれている。

今から1週間後、米国時間の9日、サンフランシスコで毎年恒例のイベント“Macworld Conference & Expo”が開催され、米アップルCEOのスティーブ・ジョブズ氏が基調講演を行う。

Macworld Conference & Expo 2005年の“Macworld Conference & Expo”における基調講演の様子

一部の情報筋は、今回のMacworld Expo(の基調講演)は、ジョブズ復活以来もっとも重要な講演の1つになると伝えている。昨年のiPod人気も後押しし、今年は日本から過去最多のマスコミが訪れる可能性が高い。

今回のMacworld Expoで紹介される新製品のいくつかは、簡単に予想ができる。1つは米アップルが珍しく製品発表を予告している『iTV』(仮称)──iTunesのコンテンツをテレビにつないで見れるようにする、いわゆるメディアセンター製品だ。

2006年9月、第2世代iPod nanoなどの発表と同時に開発が明らかにされた『iTV』(仮称)

2つめと3つめは『iLife '07』と『iWork '07』──製品名に年号がついているからには、このExpoで発表せざるをえない。iLifeは、現在、6つのアプリケーションが含まれている。『iTunes』や『iPhoto』といったコンテンツ管理系ソフトと、『iMovie』『iDVD』『GarageBand』『iWeb』といったコンテンツ作成系ソフト4本だ。

ただし、このうちiTunesは、元々、音楽ソフトとして誕生したが、昨年からその役割は大きく代わり、次第に動画などを扱う率も増えてきた。スティーブ・ジョブズ氏が、わかりやすいシンプルなネーミングを好むことを考えると、そろそろiTunesの名前が変わってもおかしくないかも知れない。

新しいiWorkについては、表計算の機能が追加されるとまことしやかに噂されている。いずれにしても、iLifeはアップルのデジタルライフスタイル戦略の“かなめ”になるだろう。

iLifeとセットで使うと便利なのが、アップルのインターネットサービス“.mac”だが、こちらにも新しいサービスや機能が追加される可能性は十分にある。

特に昨年、米グーグル(Google)社のCEO、エリック・シュミット氏がアップルの社外取締役に参加したことで、どのような変化が現れるかは注目が集まるところ。アップルとグーグルは、いくつか競合する技術を提供している。

例えばiPhotoと.macを使った写真共有サービスは、GoogleのPicasa Web Albumと、iCalの予定表機能とGoogle Calendarはデータの互換性はあるが、競合していることには変わりない。

また、アップルは独自のウェブブラウザー『Safari』を提供しているが、グーグルはオープンソースウェブブラウザー『Firefox』の普及に努めている。

アップルがSafariの代わりにFirefoxを採用する可能性もあるが、その一方でSafariをマルチプラットフォームのブラウザとして広める可能性もある。実際、Safariはすでにフィンランドのノキア(Nokia)社の携帯電話機に(オープンソースプロジェクトを通して)移植されており、Windows版が開発中という噂もある。

Webkit 12月末に日本でも発売されたSIMロックフリー携帯電話機『Nokia E61』。この電話機が採用するウェブブラウザーのフレームワークには、Safariと同じ“Webkit”が採用されている

期待が高まる新OS“Leopard”

今回のExpoで発表されるソフトの中で、最も重要なのが、今年前半にリリース予定の新OS、Mac OS X “Leopard (レパード)”だ。

この新OSは2006年8月、WWDCの基調講演にて発表されたが、その際、スティーブ・ジョブズCEOは、いくつかの機能は「しばらく秘密に止める」とした。秘密にする最大の理由は、ライバルOSの『Windows Vista』で、アップルはWindows Vistaが、Macの現行OSであるMac OS X 10.4“Tiger”に酷似した機能を備えていると主張している。

Leopard ジョブズ氏はLeopardを発表する前に、いくつかの機能はしばらく秘密に止めると断った

既にWindows Vistaが出荷準備に入っている今なら、そうした機能を発表しても影響は少ない。来週のMacworld Expoは間違いなくLeopardの大々的デビューの場となる。

Leopardについては、未公開の新機能にしてもそうだが、OSのリリース方法や販売価格、対応機種などについても変更が発表されるかもしれない。

いずれにしても、2007年の今、MacはWindows VistaとMac OS Xの両方を動かすことができるという大きな強みを備え、これまでになくWindowsユーザーのMacに対する関心が高まっている。アップルとしても、みすみすこのチャンスを逃すことはないだろう。


新種ハードの登場に期待!

ハードウェアはどうだろう。現在、唯一、32bitプロセッサーのCore Duoを搭載している『Mac mini』については何か変化がありそうだ。ただし、Mac miniの位置づけは新製品のiTVと被るところもあるため、製品そのものの見直しを計る可能性も高い。

最近、アップルはiPodで成功した戦略を、Macで再現することも多いので、もしかしたら“Mac nano登場”と言うこともあるかも知れない。

アップルは、iPod miniで使われることがなかった8GBの1インチHDDを大量に抱えているという噂もある。タッチパネル液晶を搭載した携帯型MacやiPodの噂も後を断たない。アップルは、これらの製品を開発するのに必要な関連特許を広く抑えており、製品が開発される可能性は十分ありそうだ。


MacでもiPodでもない第3のハードウェアが登場する可能性も十分考えられる。

iPodは2006年に誕生5年目を迎えており、そろそろアップルが次のステップに踏み出す時期だ。アップルは初代iPodの発表時、「iLifeに歩調を合わせた、デジタルライフスタイルのハードをわれわれ自身でつくってみたかった」、「とりあえずは最も利用者が多い『音楽』用の機器を選んだ」と語っていたが、iMovieで始まったiLifeスイーツが、その後、どんどん広がっていったように、デジタルライフスタイル用ハードウェアも、そろそろ広がりを見せていい頃だ。

アップルの株主達の間では、iPod機能を融合した携帯電話の登場を期待する声が強い。

ただし、製品名になると思われていた“iPhone”の商標は実は米シスコシステムズ(Cisco Systems)社が所有しており、年末になってこの名前の製品がタイミングよく発表されたことで、気をそがれた人も多い。

もっとも、iPhoneという名前が米シスコの製品で使われたからといって、アップル携帯電話登場の可能性が消えたわけではなく、相変わらず期待は高い。いずれにしても、すべては1週間後には明らかになる。

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