「大丸有SDGs映画祭2023」にミュージシャンSUGIZOさんらが登場! 映画を通じて戦争や紛争について考えるトークイベントのコメントが素敵すぎた

文●オシミリン(LOVEWalker編集部)

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 9月4日~9月21日に開催され、大盛況のうちに幕を閉じた「大丸有SDGs映画祭2023」。SDGsに通じるテーマの映画作品9本が上映され、訪れた人々に社会課題に触れるきっかけを提供しました。

 最終日となる9月21日、参加してきましたので、レポートしちゃいます!

2人の宗教指導者による、喜びをテーマにした“お茶目な”歴史的対談

 開催4年目となる今年、クロージング作品に選ばれたのは、戦争や紛争が耐えない世界の今に関心を持てるよう、その状況を変えていくための大切なヒントをくれる作品『ミッション・ジョイ ~困難な時に幸せを見出す方法~』です。この作品はノーベル平和賞受賞者のチベット仏教最高指導者ダライ・ラマ14世と、南アフリカのアパルトヘイト撤廃に尽力したデズモンド・ツツ大主教のメッセージが詰まったドキュメンタリー映画で、来年1月12日(金)ヒューマントラストシネマ渋谷での公開に先駆けた特別先行上映となりました。

『ミッション・ジョイ ~困難な時に幸せを見出す方法~』

 本作は、インド北部ダラムサラのダライ・ラマ法王邸で撮影された、ダライ・ラマ14世とデズモンド・ツツ大主教の対談映像を中心に構成されています。

 中国のチベット侵攻によりインドに亡命したダライ・ラマと、アパルトヘイト撤廃運動の中心にいたデズモンド・ツツ。あまりにも困難な状況に直面してきた2人が、どうすれば困難な時にも喜びや幸せを見出せるのか? という問いについて、お互いの考えを語り合い、共感し合います。

 ……これだけ聞くと、なんだか固くて難しそうな映画だな、と思われたかもしれません。しかし、お互いを“お茶目な魂の兄弟”と認め合う深い友情で結ばれた二人は、ユーモアを交えながら、時に大きな声で笑い、笑顔を絶やさずに壮大な問いに答えます。想像を絶する苦難を経験してきたとは思えないくらい明るく楽しそうに語り合う二人の様子には、こちらも笑顔になり、時には声を出して笑ってしまうほどでした!

 また、仏教とキリスト教という宗教の違いがありながらも、お互いを尊敬しあい、友情を育む二人の姿にも、感動させられるものがあります。

上映後のトークイベントにはミュージシャンのSUGIZOさんも登場!

 上映後には、トークイベントも開催。日本を代表するロックバンドLUNA SEA、X JAPAN、THE LAST ROCKSTARSのメンバーとして活動するミュージシャンのSUGIZOさん、朝日新聞国際報道部記者の牛尾梓さん、世界の課題解決を目的に映画の買い付けや配給事業などを行うユナイテッドピープル株式会社 代表取締役の関根健次さんが登場しました。

左から大丸有SDGs映画祭2023 アンバサダーで司会進行を務めたアーヤ藍さん、牛尾梓さん、SUGIZOさん、関根健次さん

 最初に映画の感想を聞かれたSUGIZOさんは、「苦しく困難な状況でも見方を変えればチャンスに繋がるという、僕自身がいつも思っていることを伝えてくれる映画でした。また、シリアスな内容だけど、2人の笑い声が頭の中に残り続ける幸せな映画でもある」と話しました。

 その後、それぞれの活動や体験、戦争・難民についての思いを語った3人。

 牛尾さんは、今年の2~3月にウクライナへ取材に行っていた際の経験をお話しされました。キーウでは、想像していたよりも日常的な生活が行われていたそう。街で暮らす人の「日常を保ち続けることがロシアに対抗する術」という話がとても印象に残ったそうです。しかし一方で、停電など、戦争の影響も確実に身近にあるとのことです。

 また、牛尾さんは東日本大震災が発生した当時、岩手に赴任しており、震災も経験しています。その経験から、被災者とウクライナ市民の苦難に立ち向かうメンタリティが似ていると感じているとのこと。実際に「日本はどう復興したのか、復興の仕方を教えてほしい」とウクライナの方に聞かれることもあったのだとか。「ウクライナの人々がどのように苦境を乗り越えようとしているのか、思いを馳せてほしい」と牛尾さんは語りました。

 今回上映された『ミッション・ジョイ ~困難な時に幸せを見出す方法~』の配給会社でもあるユナイテッドピープルの代表取締役の関根健次さんは、起業のきっかけは学生時代にパレスチナへ旅行したことだと語りました。

 旅行中、パレスチナで人々のやさしさに触れた関根さん。しかし、子供たちとサッカーをして遊んだ時に、その中の子供が「将来はできる限りのユダヤ人を虐殺したい」と話したことに衝撃を受けます。その子供は親戚をユダヤ人兵士に殺されており、報復の連鎖がまさに起きようとしていることを、関根さんは実感したそうです。最初は自分には何もできないと思った関根さん。しかし、何かやってみよう、と考え、子供たちが憎しみを持つ原因である戦争のない平和な世界を作りたいと考えて起業に至ったそうです。「戦争は決して遠くの出来事ではなく、身近なところに難民がいる、この実感を持ってほしい」と関根さんは話しました。

 長きに渡り難民支援活動を行い、各地の難民キャンプへ慰問演奏で訪れるSUGIZOさん。「生まれたころから当たり前に憎しみがある紛争地域の子供たちに、できれば武器ではなく楽器を持ってほしい」という想いを語りました。実際に難民キャンプで演奏すると、子供たちはとても興味を示し、喜んでくれるそう。「負の要素を喜びにシフトする、それがアーティストにはできるのではないかと考えている」と話しました。

難民キャンプでの活動をスクリーンに映して紹介するSUGIZOさん

 SUGIZOさんは最後に映画について、「繋がりのツールとしてこの映画が盛り上がったら最高だと思う。ぜひ周りの人達にも紹介し、紛争や難民について考えるきっかけとなってほしい」と語りました。

 SUGIZOさんが語ったように、私自身もぜひ周りに紹介し、一緒に戦争や難民について考えてみたいと思う映画でした。『ミッション・ジョイ ~困難な時に幸せを見出す方法~』は来年1月に公開予定。皆さんもぜひ劇場へ足を運び、ダライ・ラマ14世とデズモンド・ツツ大主教の語り合いに触れ、世界の現状に目を向けるきっかけとしてみてください!

大丸有SDGs映画祭2023
会場:大丸有エリア内の全5か所のスペース
会期:2023年9月4日~9月21日
主催:大丸有SDGs ACT5実行委員会
協力:ユナイテッドピープル株式会社
後援:国連難民高等弁務官(UNHCR)駐日事務所、特定非営利活動法人 国連UNHCR協会 大丸有SDGs映画祭2023総合プロデューサー:井上 成(大丸有SDGs ACT5実行委員会 運営委員長、三菱地所株式会社エリアマネジメント企画部担当部長)
大丸有SDGs映画祭2023アンバサダー:アーヤ 藍 (映画キュレーター)