横浜18区の人とまちがつながる TSUBAKI食堂 18区丼ものがたり 第1回

【連載】横浜18区 月替わり丼はじめました! 

文●椿 直樹

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 皆さん、はじめまして! 横浜市役所内商業施設ラクシス フロントで、横浜野菜や地産地消の魅力が体験できる和風創作料理のお店「TSUBAKI食堂」オーナーシェフの椿 直樹です。

 私は店舗の運営をはじめ、愛する地元横浜を地産地消の代表都市にするため!20年以上活動してきました。

 横浜は他県に比べ、消費者の居住地から農地がより近いということで、新鮮な農畜産物がいい状態ですぐに入手できるという魅力を感じることができます。横浜に住む市民の皆さんにもその魅力をもっともっと感じていただき、野菜などの鮮度やフードマイレージという「物」「数値」だけでなく、それを感じることにより、地域の人同士がつながりを強くし、結果として優しく温かい町、横浜であり続けてほしいと願っています。

 そんな願いを込めて、「TSUBAKI食堂」で今年の3月から始めたのが「横浜18区丼」です。 横浜市にある18区に対して、1ヵ月に1区をフォーカスし、月の前半と後半に分けて、それぞれの区で採れた食材を「丼」に仕立てて提供しています。

 この先、2022年8月まで、下のマップのような順番で提供を予定しています。

 すでに提供したもので例を挙げると、2021年3月の旭区では「二宮園」の二宮大輔さんのイチゴを使用した「いちご丼」ならぬ「いちごパフェ」。いきなりの変化球になってしまいましたが、想定以上に反響があり、1日の限定数を20食とさせていただいたほどの人気でした。

 また4月の磯子区でスポットを当てたのは、江戸時代に梅の名所として親しまれた横浜・杉田で、一度は姿を消し、幻と言われた「杉田梅」。25年前から接ぎ木などによる再生に力を入れ、歴史を紡いでおられる市原由貴子さんの「杉田梅」を使った「杉田梅のビフカツ丼」。

 同じく磯子区の「成井生花店」さんより桜やバラといった季節のお花を彩りで添えさせていただき、希望されるお客様にはお持ち帰りいただきました。

 つまり、横浜市の18区で採れた野菜はもちろん、人、商店、建造物、歴史などにもスポットを当てた「丼」をデザインし、「TSUBAKI食堂」という、ひとつの飲食店で感じることができる。それが「横浜18区丼」の魅力なのです。

 今後は各月にちなんだイベントの開催も予定しています。内容として、18区丼に使用した生産者さんにいらしていただきトークショーを開催したり、野菜の直売、地域商店街の店舗の出店他を企画したりすることで、“横浜LOVE”な皆さんにイベントを通してその区を実際に感じてもらえたらと思っています。

 最後に「横浜18区丼」を通した私の夢の話を聴いてください。

 今の会社を設立する少し前、有志6人で「株式会社ヨコハマ村」設立という話がありました。まるで学生のようなノリで集まった6人。 そこで毎晩集まって語っていた夢の形が「ヨコハマ村(自給自足ができるテーマパーク)」。横浜の地産地消を、みなとみらいというシンボリックな場で表現するチャレンジでした。

 当時は、周囲の方々とのつながりや信頼関係が少なく、夢を語るだけで何も形にできないまま空中分解してしまいました。だけど今はたくさんの仲間に囲まれていて、15年越しの夢がかなう直前までたどり着いている事がまさに夢のようです。勢いと想いだけの当時から、この目標がブレていないことにちょっとビックリします。

 横浜18区丼が1周した時には、各区とのつながりが今まで以上に出来ているはず。

 そのなかで得た知識、経験、人脈を最大限に活用することで、「ヨコハマ村」=地産地消のテーマパーク作りに挑んでいく。これは前述の各月のイベントとは異なり、短期間中に横浜市内の各所で同時多発的に開催する地産地消体現イベントの形を考えています。

 18区丼→飲食店での食事→地域・町の魅力を再発見して町づくりに興味を持ち、つながりができる。この流れが「ヨコハマ村」には重要だと私は思っています。

 「ヨコハマ村」が実現可能になり開催されると、「横浜を地産地消の代表都市にする」に大きく近付くはずです。

 「横浜18区丼」は私の中では「ヨコハマ村」への大事な一歩なのです。

 次回からはこれから提供していく18区丼の内容はもちろん、そこにかけた想いをお話していきます。お楽しみに!

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文/椿 直樹  

1967年生まれ。横浜野菜の魅力を広く伝えるため2003年「横浜野菜推進委員会」を設立。その取り組みが評価され2009年、神奈川県で初めて農林水産省「地産地消の仕事人」に認定される。好きな野菜は白菜、苦手な野菜はたくさん(笑)