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アプリのランキング操作に1000万円!?

2014年03月26日 07時00分更新

文● 澁野義一(Giichi Shibuno)/アスキークラウド編集部

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 ウェブの窓口は、グーグルやヤフーなどからの「検索」だ。例えばネットでモノを買うとき、検索窓に欲しい商品を入力し、リンクを踏んでECサイトまでたどり着く。検索結果で上位のサイトは人が集まりやすく、ウェブ広告などの媒体価値も生まれる。ウェブの世界では「いかに検索結果の上位に自社サイトを出すか」が肝心要。そのためにSEO(Search Engine Optimization=検索エンジン最適化)が発展してきた。

 ところが、スマホは少し事情が異なる。ネット広告代理店の関係者は「あくまで体感値だが、スマホ利用者のウェブ検索回数はパソコンからに比べ、10分の1以下になったと感じる」と話す。その代わりに利用が伸びているのがアプリだ。「ECを中心に利用者はアプリへ移っている」(ネット広告代理店の関係者)という。

 ただしアプリには大きなハードルがある。ダウンロードさせるまでのハードルが高いのだ。現在、iPhoneでもAndroidでも100万本以上のアプリがリリースされている。アプリを見つけるだけでも一苦労だ。

グーグルのアプリストア「グーグルプレー」(左)と、アップルのアプリストア「アップストア」(右)

 そのため、ウェブ時代のSEOに代わるASO(App Store Optimization=アプリストア最適化)と呼ばれる手法が注目されている。ネットマーケティング会社バレットグループ代表取締役の小方 厚氏は、ASOを「ストア内のアプリ紹介ページに掲載される解説文やスクリーンショットを工夫し、アプリを見つけやすくしてランキングを上げる手法」と解説する。アプリがストア内のランキングに入れば、利用者も見つけやすくなる。

 アプリのランキング操作には、リワード広告を使った「ブースト」もある。例えばゲームのアイテムといったインセンティブを付け、特定のアプリをダウンロードしてもらう。「ブーストは(ランキングを意図的に操作するので)アップルやグーグルからは嫌われる手法だが、大手のEC企業やポータルサイト運営会社などは力を入れている」(小方氏)という。

 ブーストで1位をとるのに、どれくらいの金額がかかるのか。業界関係者は「2、3年前までは1000万以上かかっていた」と話す。価格高騰の理由は、中国のbot業者によるダウンロード数のインフレが起きていたから。「すごい時には、1日に20万ダウンロードしないと1位がとれない。1ダウンロード100円でも、2000万円かかる計算だ」(業界関係者)。

 現在はアップルやグーグルが対策を施し、1位をとるのに5~6万程度のダウンロード数に収まっているという。ただ、それでも1回で500〜600万程度の出費だ。ところが、小方氏は「ブーストだけではアプリのビジネスを軌道に乗せられない」と話す。

「今までは予算が500万、1000万あるからブーストしようよ、という荒っぽい手法が多かった。だが、インセンティブをつけてアプリをダウンロードしたユーザーはそのアプリが欲しかったわけではないので、アクティブ率が低い」(小方氏)

 では、どうすればアプリをスマホの「ホーム画面」に残してもらえるのか。発売中の「アスキークラウド5月号」では、その成功のポイントを探る。


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