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もはやSMB向けネットワーク機器だけじゃない!

好調ネットギアがシャーシ型スイッチを出す理由

2011年05月06日 06時00分更新

文● 大谷イビサ/TECH.ASCII.jp

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SMB(Small Medium Business)向けの低廉なネットワーク機器やNAS製品というイメージが強いネットギアだが、最近ではエンタープライズやデータセンター向け製品も多い。最新動向や新製品について、日本法人社長の杉田 哲也氏に聞いた。

「SMB向けのネットワーク機器」1本でやってきた強み

 ネットギアは2002年のノーテルネットワークスからのスピンアウト以降、おもにSMB向けのネットワーク機器にフォーカスしたビジネスを展開してきた。低価格なギガビットEthernetスイッチをいち早く投入したのも同社だし、最近はルーティングやVLANなどを部分的に取りこんだL2スイッチやSNMPに非対応ながら、ネットワーク管理機能を使えるスイッチなど、目の付けどころの鋭い製品を低廉な価格で提供している。「アンマネージスイッチより値段は10~15%程度高いが、VLAN機能が追加されている「ProSafe Plus」ブランド製品を強化している。これによりアンマネージPlusという新ジャンルを創出し、認知度を高めていきたい」(杉田氏)とのこと。スイッチ製品への自信を示す「ライフタイム保証」も用意されており、手堅いブランドとして認知されている。

ネットギア日本法人社長の杉田 哲也氏

 コストに厳しい昨今の経済状況もあり、低廉なコモディティな製品を数多く揃えるネットギアの業績はきわめて好調だという。昨年度、ワールドワイドの売り上げは1Billion(10億ドル)を突破した。この背景として、杉田氏は「(シスコによる)リンクシスの買収などもあり、いわゆるSMBのマーケットに特化して生き残りをかけて戦ってきたのは、もはやネットギアくらいしかありません」と、専業ベンダーの強みを挙げる。

 今後は好調な業績を受け、2015年までに売り上げを倍増させる計画となっているという。これを実現するために、同社はビジネスユニット(BU)制をひき、いままでのSMBにあたるCBU(Commercial BU)、小売向けのRBU(Retail BU)、そしてサービスプロバイダーをターゲットにするSPBU(Service Provider BU)の大きく3つに組織を再編、採算も独立で見るようになった。特にCBUは強化対象で、「小売向けはすでに米国でトップシェアになったため、今後はよりCBUに注力していく。日本でもエンジニアや営業を増員している」(杉田氏)という。

シャーシ型スイッチ投入で「より上」も目指す

 こうした施策にともない、昨年からはデータセンター向けの高密度スイッチやラック型のNASなどの製品を続々リリースしている。特に10GbEに対しては積極的で、市場で競合する国産の周辺機器ベンダーと大きな差別化ポイントとなっている。そして、きわめつけはまもなく登場するシャーシ型スイッチだ。杉田氏は「エクストリームネットワークスのOEMですが、中国などからのニーズも強く、販売代理店の利ざやも稼げる製品となっています」と話している。

同社初のシャーシ型スイッチ「XCM8810」

 また、昨今伸びているのが、ReadyNASブランドのNASだ。現在はいわゆるSMB向けのProシリーズ、プロシューマー向けのUltraシリーズで展開しており、自動的にRAIDレベルを設定してくれる「X-RAID」を大きな売りとしている。米国の5000ドル以下のNAS市場では、バッファローやアイオメガ(EMC)を抑えて、すでにシェア1位になっている。日本では、「現状、エンドユーザーからの直接の引き合いが多いのですが、現在は販売網を構築している」ところ。10GbEスイッチと組み合わせた仮想化ソリューションや、PoEカメラとレコーダーのようなソリューションとしての販売を模索しているという。

 日本では「サポートできない製品は売らないというポリシー」(杉田氏)だが、米国ではすでにUTMのようなセキュリティ機器も扱っている。今後、国内でもこうした製品の投入を検討しているという。

ProSafe Plusスイッチに関する記述を一部変更しました。本文は訂正済みです。(2011年5月6日)

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