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商品を紹介するキャッチコピーのつくり方(5)――編集の方程式1・文字数は少なく

2008年04月17日 09時00分更新

文●朝日奈 ゆか/株式会社ユンブル 代表取締役

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キャッチコピーが短いほうがいい理由とは?!

 キャッチコピーは短く書こう――これはよく言われることですね。文章は短く、メールは短く、スピーチは短く、話は短く。人に何かを伝える方法はたいてい、「短く」を要求されます。
 実際に、テレビや雑誌で見聞きする広告のキャッチコピーはすべて短いものです。前回に紹介したトヨタやホンダ、お茶の広告にしても、ことばも絵もかなり短く完結させて、それを連呼しています。

 なぜ、短い文のほうがいいのでしょうか。編集作業を行なうにあたって、知っておきたいキャッチコピー制作の原則を説明しましょう。

1. 記憶してほしいから。
 人は、長いキャッチコピーや文章を簡単に覚えることができません。広告の場合、ことばも写真も絵も、見た瞬間に記憶してもらえることをめざしてつくります。そのために、人気タレントを起用した写真やインパクトのある映像を多用して、キャッチコピーやボディコピーを強調していきます。

 ここで大切なのは、人は、「写真や映像はよほどショッキングでない限り、怒涛のように見ては怒涛のごとく忘れていく。しかし、一度覚えた文章はなかなか忘れない」という事実です。
 時折、外資系ブランドのCMなどが、ショッキングと評価される映像をつくっては注目をあびて、物議をかもしていますが、みなさんが自作のWebサイトにそのような広告をアップするのは現実的にはまず無理でしょう。

 売れるWebサイト編集術の根本として、「消費者の心の奥底に訴えることができる情報とは、画像ではなく文章(キャッチコピー)を通してである」ということを肝に命じてください。
 だから、消費者に覚えてもらうためには「短いキャッチコピー」が有効なのです。

短いほうが口コミで広がりやすい

2. 口コミで広がってほしいから。
 そもそも広告とは、消費者に歓迎されるものではありません。情報を伝える手段として、マスコミのなかでももっともうさんくさいもの、としてとらえられています。
 消費者からすれば、広告はテレビや新聞、雑誌に自動的にくっついてくるものにすぎません。消費者は、広告そのものになんら興味はありません。子どもがマンガやアニメを自分で選び、自分で買って読むのとはわけが違います。
 Webサイトで何かを購入しようと商品を探している人の心理も同じです。興味がない広告を大量に見せられて楽しいはずはありません。消費者の心理は、常にこの感覚です。

 買いたい商品が先にあって、検索であなたのサイトを訪れてくれた消費者の立場、キモチを考えましょう。欲しい商品にたどりつけたとしても、そのサイトのキャッチコピーがどーんと長い場合、妙な威圧を感じてしまうでしょう。1で説明したように、覚えてもらうこともできません。

 でもちょっと待って。これら消費者の心理を逆にとらえてみてください。歓迎されない、うさんくさいものという認識のなかで逆に注目されると、その広告は大成功をとげます。いつしか、巨大な力をもつ媒体に化けていきます。当然、消費者の目にはその商品が魅力的にうつり、注目し、購入を検討し、購入する。
 そして、広告で大切なのはその次の行動です。そう、「口コミで家族や親しい友人にすすめてくれる」という行動。誰かにすすめるにあたり、人はたいてい、その商品のキャッチコピーを記憶しています。
 よって、消費者に短い文章で記憶してもらって、口コミで広げてもらう。そのために、キャッチコピーは短いに限るのです。

 編集技術にはそれぞれ、「なぜそうするのか」の理由があります。その理由のすべてが、相手=消費者の立場に立って考えられた技術です。ここを無視して自分がつくりたいものをつくっても、間違った方向に行くだけです。売れないWebサイトの原因の多くは、方向性の勘違いに気付いてないことによるものです。

 次回につづきます。

著者プロフィール

名前 朝日奈 ゆか info_email_01[アットマーク]yumble.com
※著者に直接問い合わせをする際は、お名前、会社名、サイトURLなどを明記してください。
会社 株式会社ユンブル
サイト http://www.yumble.com/

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