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どうなる、MySQL――サンが示す現状とこれから

2008年11月04日 03時30分更新

文●小橋川誠己/企画報道編集部

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 ブログやCMSをはじめ、Webアプリケーションに欠かせないオープンソースのデータベースとして幅広い支持を集める「MySQL」。そのMySQLの買収をサン・マイクロシステムズが発表したのは今年1月のことだった。MySQLは今後どうなるのか? 10月30~31日に都内で開催された「MySQL ユーザーカンファレンス 2008」に合わせてプレス向け説明会が開かれた。


サンのリソースはMySQLにとってメリット

 「MySQLは非常にいいデータベース製品。だが、これまで十分な人材と資金を投じられたか、というと難しかった」。サン・マイクロシステムズ MySQLビジネス統括本部統括本部長の矢崎博雅氏はこう語る。サンのグローバルな拠点網といった“リソースの活用”の面から、サンとの統合はMySQLの成長にとって大きなメリットがある、という。

MySQL

統合のメリットを説明するサン・マイクロシステムズの矢崎博雅氏

 だが、オープンソース版のMySQLを利用する多くのWeb開発者にとって気になるのは、むしろMySQLがこれまで持っていた魅力が、サンの買収によってどのように変化するのか? という点だろう。

 今年4月には、一部メディアで「今後の機能追加はEnterprise版のみの方針」といった報道がなされ、不安が広がった。また、直近でもMySQLの共同創業者であるデビッド・アックスマーク氏がサンを退社するなど、人材の流出を懸念する声もある。

 米サン・マイクロシステムズ シニアプロダクトマーケティングマネージャーのジミー・ゲレロ氏は、機能追加をEnterpriseに絞る、との方針について「“噂”はあるかもしれないが、少なくとも現時点ではそうした方針は公式にない」と話す。「これまでのMySQLの方針を継続する」というのが公式の見解という。

 人材については、「一部の古くからのメンバーが退社している事実はある」と認めながらも、「そうしたケースは意外に少ないなと感じている」(矢崎氏)という。 「フリーダムなMySQLの社風と比べるとサンは大きな組織でルールもしっかりある。当然、“合わない”というケースもあるだろう。ただ、その場合も、サンの中にちゃんと血が引き継がれている。バックアップする体制ができているので安心してほしい」(矢崎氏)。


開発が進む次期バージョン

 では、これからのMySQLはどのように進化するのだろうか。今後の製品のロードマップについて、ゲレロ氏が説明した。

 12月にもリリースされる予定の新版「MySQL 5.1」は、テーブルを分割してスケールアップできるようにする「パーティショニング」と、「レプリケーション」が目玉。「従来のステートメントベースとROW(行)ベースから選べるようになり、さらに安全なレプリケーションが実現する」(ゲレロ氏)。

MySQL

12月リリースとされる「MySQL 5.1」

 一方では次期バージョンとなる6.0の準備も着々と進められている。MySQLは標準の「MyISAM」のほか、「InnoDB」などの複数のストレージエンジンをテーブル単位で選べるのが特徴だが、6.0では新たにトランザクションをサポートするストレージエンジン「Falcon」が追加される。また、標準でオンラインバックアップ機能も搭載される予定だ。

MySQL

「MySQL 6.0」の概要

 6.0のGA(Generally Available)版は、現時点では2009年の第4四半期にリリースされる計画だ。「正式なスケジュールについては固まり次第、改めてアナウンスしたい」(サン・マイクロシステムズ 広報)。

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