前々回、前回と2回にわたって、企業で進行するレンタルサーバーへの移行について紹介してきた。
いまレンタルサーバーの高機能化と低価格化が、企業ウェブサイトのアウトソーシング化をさらに加速させている。高度なセキュリティの確保、スパムやウイルス対策、OSアップデートの手間、システムダウンのない運用管理など、サイト運営に求められるこれらの管理コストを考えると、むしろレンタルサーバーこそ企業にとって“最善の選択”となってきたのだ。
これまで紹介してきたのは中小企業を対象としたレンタルサーバーの動向だったが、レンタルサーバーがターゲットとするビジネス領域はそこだけにはとどまらない。SOHOから金融やメディア企業を対象とした大規模事業まで、ビジネスの全領域をあまねくカバーすべく、さまざまなサービスが提供されている。ここでは、業界最大手といえるNTTPCコミュニケーションズが運営するWebARENAシリーズを例に、レンタルサーバーの幅広いラインナップをチェックしたい。
専用サーバー並みの自由度と拡張性を持つ“SuitePRO”
前回に紹介したSuite2は、個人やSOHO、中小企業を対象としたもっとも手軽なサービスだ。ウェブとメールに加えてブログやECショップ運営にも対応。必要十分な基本機能を備えたサービスとなっている。
SuitePROは、専用サーバー並みの自由度と拡張性を月額8820円の低価格で実現する、いわゆるVPS(仮想専用サーバー)サービスとなる。OSはLinux、バーチャルドメインや独自アプリケーションの利用も可能で、複数ドメインを低価格で運用したい中小企業向けサービスである。NTTPCコミュニケーションズの岸康浩氏によれば、SuitePROはこの7月から新サービスを提供開始するという。
ネットワーク事業部データセンタ営業部 営業推進担当主査、岸 康浩氏 | ネットワーク事業部データセンタ営業部 営業推進担当、三好博輝氏 |
「新サービスではディスク容量を6GBから20GB(最大50GB)へと拡張。リソースの増強と適切な配分を実施し、SANを採用するなどシステム全般の信頼性と拡張性を強化した」とのこと。その理由について岸氏は「今後はリセールやOEMを積極的に展開していきたい。ウェブやメール利用のプラットフォームはもちろん、レンタルサーバーやASP、SaaSなどを展開する事業者向けのプラットフォームとしてもSuitePROを提供していきたい」という。
SuitePROの上位に位置するSoloは専用サーバー。サーバー専有型だから他のユーザーの影響は皆無だ。よりミッションクリティカルな業務に対応するサービスである。社内イントラからのVPN接続も可能となるなど、カスタマイズの自由度も高い。ゲームのダウンロードサーバーや、本格的なECサイトとして利用されているという。
レンタルサーバーではないが、Symphonyというデータセンターも提供されており、これは、大手ISPや大規模なコンテンツ配信業者への対応で実績あるサービスだ。こうして見てくると、レンタルサーバーは日本のウェブビジネスの全階層を呑み込みつつあるように思える。レンタルサーバー先進国アメリカの高い利用率を考えれば、この先もレンタルサーバーへの移行はますます加速するに違いない。
WebARENA、4つのサービス |
*提供/NTTPCコミュニケーションズ