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小島寛明の「規制とテクノロジー」 第208回

経産省:アップル、アマゾン、グーグルへの「強制力」強化も視野?

2022年12月05日 09時00分更新

文● 小島寛明

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 GAFAをはじめとした、デジタルプラットフォームの運営をめぐって、経済産業省が意見を募集している。

 この意見公募は、「特定デジタルプラットフォームの透明性及び公正性の向上に関する法律(以下「透明化法」)」に基づく手続きだ。

 経産省は、以下のプラットフォーム5社について、透明・公正に運営されているかを評価する「モニタリング会合」を開いてきた。

  • アマゾン・ジャパン
  • 楽天グループ
  • YAHOO!
  • アップル
  • グーグル

 この会合を経て起案された「評価案」について広く意見を公募するのが、今回の手続きの目的だ。

 10ページの評価案を読んで、まず目につくのは、文書の最後にある以下の記述だ。

 「透明化法の枠組みや既存法令での対応が難しいものについては、強制力ある介入方策について検討していくことが考えられる」

 経産省は、プラットフォームに対してどのような問題意識を持ち、どんな「強制力」の強化を意識しているのだろうか。

「アップル税」はなぜ30%なのか

 評価案は、透明性・公正性の観点から、プラットフォーム5社それぞれに対して、望ましい取組と改善を求める点を示した。

 たとえば、アップルとグーグルが運営するスマートフォンのアプリストアの手数料に関する取組を取り上げている。

アップルの場合、アプリ内購入には30%の手数料を徴収していて、アプリを開発する事業者からは「アップル税」とも呼ばれている。

 アップルは2020年末には、売上規模の小さな事業者の手数料を15%にする「軽減措置」も打ち出している。

 アップルとグーグルが課す手数料について、評価案は次のように指摘する。

 「手数料の支払いの有無により利用事業者とApple との間で公正な競争が歪められないか、15%ないし30%の手数料が課されるアプリと手数料が課されないアプリとの区別は合理的なのかといった疑問も指摘されているような中で、利用事業者の理解と納得を得られる状況に至っているとはいえない」

 そのうえで、「相互理解に向けて継続的に取り組んでいくことを期待する」と、事業者や事業者の団体に対して「なぜ30%なのか」を詳しく説明し、協議を続けていくよう促している。

「期待する」連発の評価案

 プラットフォーマーに対しては、常に「自社や関連会社の商品を優遇していないのか」という疑問がつきまとう。

 つまり、アマゾンである商品を検索するとアマゾンのプライベートブランドが上位に表示されたり、アプリストアのランキングでアップルのアプリが不当に上位になっていたりしないのかという疑問だ。

 こうした疑問については、ヤフーは会合の中で、自社グループの企業のストアが優遇される場合があることを公表した。そのうえで自社優遇についての管理方針を自主的に策定・公表した。

 こうした対応について、評価案は「高く評価できる」とした。

 一方で、プラットフォーム各社に対して評価案は「自社及び関係会社の優遇の有無、自社優遇がある場合はその正当性について、客観的に検証できるようなかたちで情報開示や体制整備を進め、その内容を説明していくことを期待する」とした。

 評価案を読んでいて気づくのは、この「期待する」や「求められる」という言い回しが多用されている点だ。

 一読した限りでは、法律をつくってモニタリングを始めたが、対応については「期待する」と述べるばかりで、対応をプラットフォーム側に丸投げしているようにも見える。

 ただ、不完全燃焼感の残る言い回しに終始しているのは、法律の建付けに理由がある。

 評価案の中にも明記されているが、透明化法は、行政が一方的に規制をするのではなく、ある程度プラットフォーム側の自主的な取組に委ねる「共同規制」により透明化と公平性の向上を目指している。

 この法律の建付けから、「こうしなさい」というよりも「期待しています」的な言い回しが必然的に多くなってしまうのだろう。

「強制力」で何を目指すのか

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