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小島寛明の「規制とテクノロジー」 第109回

トランプ大統領、中国巨大ITに圧力 実効性には疑問符も

2021年01月11日 09時00分更新

文● 小島寛明

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 年明けから、中国の巨大Tech企業をめぐり、大きなニュースが続いている。

 2021年1月5日には、トランプ大統領が、中国のスマホ決済アプリ「Alipay」「WeChat Pay」などに関連する取引を禁止する大統領令に署名した。

 翌6日には、ニューヨーク証券取引所が、中国の通信大手3社の上場を1月11日に廃止すると発表した。

 20日にバイデン新大統領への政権移行が決まっているが、トランプ大統領が任期の最後に中国への圧力を強め、政権移行後も同様の政策を継続させる狙いがあるとみられている。

 一方で12月末ごろから、アリババやアントグループを率いるジャック・マー氏が公の場に姿を見せていないとの報道も続く。

 中国の巨大Tech企業に対する米政府の圧力が強まる中、中国政府による巨大Tech企業への圧力も強まっている。

●中国系8つのアプリ関連の取引を禁止

 まず、米政府による中国アプリの禁止だ。1月5日付のニューヨーク・タイムズによれば、大統領令は以下の8つのアプリを「開発・管理する者との一切の取引」を禁じる内容だ。

● Alipay
● CamScanner
● QQ Wallet
● SHAREit
● Tencent QQ
● VMate
● WeChat Pay
● WPS Office

 日本国内で知られているのは、Alipay、WeChat Payに加えて、ワープロや表計算といったOffice系アプリの低価格版「WPS Office」だろうか。

 大統領令は、これらのアプリを通じて、中国政府や中国共産党が広範な米国人の個人情報にアクセスできると主張している。

 今回の大統領令については、実効性を疑問視する見方も出ている。

 たとえばAlipayの場合、中国国内の銀行の口座を保有するなど、アプリの利用に制限があることから、米国内での利用はあまり広がっていない。米国内でのAlipayの利用者の多くは、中国からの旅行客と考えられている。

 命令が効力を生じるのもトランプ大統領の任期後にあたる「45日後」とされ、1月20日に就任するバイデン新大統領の対応が注目される。

●ニューヨーク証取、通信大手3社の上場廃止

 1月6日には、ニューヨーク証券取引所が中国の通信大手3社の上場を廃止すると発表した。廃止は11日付の予定だ。次の3社の上場が廃止される。

● 中国電信(China Telecom)
● 中国移動通信(China Mobile)
● 中国聯通(China Unicom)

 今回の上場廃止も、11月のトランプ大統領の大統領に基づく措置だ。大統領令は、通信3社が、中国人民解放軍に対して技術支援を行なっているなどと主張している。

 この措置に対しても、3社のニューヨーク証券取引所での取引規模が限られているとして、実効性を疑問視する見方がある。

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