青い日記帳の推し丸アート 第5回

「ほぼ実寸の曜変天目ぬいぐるみ」が話題沸騰! 丸の内のアート人に聞く! ~静嘉堂文庫美術館 安村館長編~

文●中村剛士

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静嘉堂文庫美術館ホワイエ

静嘉堂文庫美術館ホワイエ 撮影:木奥惠三

 丸の内界隈のアート情報をお届けしている「青い日記帳の推し丸アート」に新たに、丸の内にある美術館にお勤めの方に館の魅力や近隣の美味しいお店情報をお聞きするシリーズ「丸の内のアート人に聞く!」を立ち上げました!

 記念すべき第一回目は、静嘉堂文庫美術館(静嘉堂@丸の内)の館長(インタビュー実施時は副館長)を務める安村敏信氏にお話を伺ってきました。美術館の中の人が日々どんなことを考え取り組んでいるのか、またお気に入りのランチスポットなども含め、肩の力を抜いて読んで下さいませ。

静嘉堂文庫美術館ホワイエ 安村館長

今回お話を伺った安村館長(インタビュー実施時は副館長)

中村:2022年10月1日、東京・丸の内の重要文化財「明治生命館」の1階に移転・開館した静嘉堂文庫美術館。展示スペースもこれまでと比べ約2倍となり、より多くの名品を都心で観られるようになりました。丸の内移転後に取り組んだことなどをお聞かせ下さい。

安村館長:世田谷の岡本という緑豊かな場所にあったころの静嘉堂文庫美術館は、所蔵するコレクションで、ある程度美術の知識がある人、関心のある人向けに、オーソドックスで、真面目な展覧会を行っていました。

 丸の内へ移転してからは、そうした方たちだけでなく、近隣にお勤めの人や、ショッピングに訪れた若い人たちに、静嘉堂文庫美術館に来てもらえるよう「改革」をいくつか行いました。

 その中のひとつとして、丸の内仲通りをふらりと通った、美術好きでない方でも静嘉堂に立ち寄ってもらえる確率を上げられるよう、美術館とミュージアムショップを分けました。美術館に入館しなくてもショップに入ってもらって、静嘉堂所蔵の作品を知ってもらい、少しでも展示してあるものに関心を持ってもらえるようにしたのです。

 そのために、館の一番の人気作品である国宝「曜変天目」のグッズを色々と作りました。中でも、「ほぼ実寸の曜変天目ぬいぐるみ」は予想をはるかに上回る反響で、新聞やテレビ、ネットなど多くのメディアで取り上げられ、大きな話題となりました。

【参考】
ほぼ実寸の曜変天目ぬいぐるみ
http://bluediary2.jugem.jp/?eid=6741

ほぼ実寸の曜変天目ぬいぐるみ
ほぼ実寸の曜変天目ぬいぐるみ

SNSでも話題、大人気となった「ほぼ実寸の曜変天目ぬいぐるみ」

 直近では、私の提案で「曜変天目アロハ」を作りショップに置きました。すぐに自分でも購入し、夏ごろからこれを着て出勤するつもりです。値段は張りますが、総シルクで京都の老舗染色屋さんとタイアップして作りましたので着心地は抜群です!

曜変天目アロハ

安村館長発案の「曜変天目アロハ」

 「ぬいぐるみ」や「アロハ」となった国宝「曜変天目」は、丸の内に移転してから常設のように毎回展覧会に出していますので、グッズで興味を持たれたら是非本物を観て頂きたいです。興味を持ったものからちょっと楽しみながら鑑賞してもらえたら、嬉しい限りです。

中村:静嘉堂文庫美術館には数えきれないほどの名品が所蔵されていますが、その中で「これは!」と思われる一推しの作品を教えて下さい。

安村館長:江戸時代の絵師、英一蝶が描いた「朝暾曳馬図」です。静嘉堂には重要文化財、国宝指定を受けた作品も多くありますが、一点だけ選ぶとするとこの一蝶の小品となります。水辺で馬を曳きながら歩く子どもの姿が描かれています。注目すべきは、水面に少年や馬の影が表現されている点です。西洋絵画では当たり前の影の表現も、日本画ではまず目にすることがありません。江戸時代前期に影のある絵画を残した一蝶の先進性が垣間見られる、日本美術史上稀有な傑作だと思います。

朝暾曳馬図

英一蝶「朝暾曳馬図」江戸時代・元禄元~10年(1688~89)頃 紙本着色

中村:普段よくランチにお使いのお店で、お勧めのお店があったら教えて下さい。

安村館長:僕はお洒落なお店には行かずに、美味しくてリーズナブルで近くにある店ばかり行っています。その中でもよくランチ利用しているのはブリックスクエア地下1階にある「あきら」と「TAMA」です。

焼鶏あきら 丸の内店
03-6269-9226
https://maps.app.goo.gl/xYma6CW9FntJ7Po39?g_st=ic

Ryukyu Chinese Dining TAMA MARUNOUCHI
03-3213-2277
https://maps.app.goo.gl/8hDPdFEadumWuiSB9?g_st=ic

中村:最後に丸の内LOVE Walkerの読者の皆さんにひと言お願いします。

安村館長:丸の内界隈には、三菱一号館美術館や東京ステーションギャラリー、JPタワー学術文化総合ミュージアム インターメディアテクなどがあり、そこに静嘉堂が移転してきました。

 さらに今年の秋には三の丸尚蔵館の一部リニューアルオープンが控えています。各館と連携を密にしながら、魅力ある展覧会を今後も開催していきたいと思っています。丸の内にお越しの際は是非、静嘉堂文庫美術館やショップにお立ちより下さい。

プロフィール
安村 敏信(やすむら としのぶ)
1953年 富山県生まれ 萬美術屋
東北大学大学院博士課程前期修了。1979年より板橋区立美術館学芸員として、江戸文化シリーズと銘打ち、江戸時代美術史のユニークな展覧会を開催し、注目を集める。2005年より2013年まで同館館長を務め、以後、萬美術屋として日本美術の普及活動をフリーの立場で展開。現在、北斎館館長、静嘉堂文庫美術館館長、国際浮世絵学会常任理事。
編書・著書に『美術館商売』(勉誠出版)『もっと知りたい狩野派 探幽と江戸狩野派』(東京美術)『日本の幽霊名画集』(人類文化社)『江戸の絵師「暮らしと稼ぎ」』(小学館)『狩野一信五百羅漢』(小学館)『江戸絵画の非常識』(敬文舎)『日本美術全集・第13巻「宗達・光琳と桂離宮」』(小学館)『線で読み解く日本の名画』(幻戯書房)『若冲BOX・FIVEーCOLORS』(講談社)『ゆるかわ妖怪絵』(講談社)『くらべてわかる若冲応挙』(敬文舎)など多数。

【静嘉堂文庫美術館(静嘉堂@丸の内)】
開館時間:午前10時〜午後5時(金曜は午後6時まで)※入館は閉館の30分前まで。
休館日:月曜日(祝休日は開館し翌平日休館)、展示替期間、年末年始など
〒100-0005 東京都千代田区丸の内2-1-1 明治生命館1F
※美術館入口は、丸の内MY PLAZA1階
https://www.seikado.or.jp/
twitter:@seikadomuseum

【静嘉堂@丸の内 ミュージアムショップ情報】
住所:〒100-0005 東京都千代田区丸の内2-1-1 明治生命館1階
営業時間:午前10時〜午後5時(金曜は午後6時まで)
休業日:每週月曜日、美術館展示替期間等 ※静嘉堂文庫美術館の休館日に準じます。
商品・販売についての問合せ:TEL 050-5541-8600(ハローダイヤル)

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