「恋です!〜ヤンキー君と白杖ガール〜」ロケ地・横浜市立盲特別支援学校より弱視あるある 第14回

「フロアバレーボール」って何だろう?

文●横浜市立盲特別支援学校専攻科/横浜LOVEWalker

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横浜市立盲特別支援学校

 日本テレビ系で2021年に放送された「恋です!~ヤンキー君と白杖ガール~」は、弱視の高校生が主人公のドラマです。その舞台となった横浜市立盲特別支援学校は、創立135年を迎えた歴史ある学校です。視覚に障害のある幼児児童生徒への教育活動を行っています。

 まったく見えない全盲の人と、見えにくいロービジョンといわれる弱視の人がいますが、本校では在学者の多くが弱視です。

 今回は、本校で行われている視覚障害者スポーツ「フロアバレーボール」に興味をもった、西寺尾小学校の児童との交流を本校公認キャラクター「しもん」と、弱視の職員で「みゆき」と「まちこ」の3人が紹介していきます。令和4年度の交流です。

 もしもお目めに合いましたら、読んでみてください。

しもんとバレーボールのイラスト

しもん:西寺尾小学校の5年生がフロアバレーボールのことを勉強したいって本当?

みゆき:本校が「フロアバレーボール発祥の地」であることを校長先生の話で知ったんだって。

まちこ:うちと西寺尾小学校はすぐそばだからね。

みゆき:実際にフロアバレーボールを体験できるといいなって。

しもん:小学生にフロアバレーボールができるのかなあ。

みゆき:きっとできるよ。

しもん:アイシェード(目隠し)をして見えない状態で動けるのかなあ。

まちこ:前衛3人はアイシェードするもんね。

みゆき:若いってことは耳もいいってことだよ。

まちこ:いやぁ~年齢は関係ないのでは?

しもん:動きながら見えない人に指示なんて出せるのかなあ。 

まちこ:後衛3人は見える人だもんね。 

みゆき:大人でも指示を出すのは難しいけどね。 

まちこ:「右に3歩動いて! 間違えた~左だったぁ!」とかね。 

しもん:どうやって勉強するの?

みゆき:西寺尾小学校の先生たちが、この学校に6人で来てフロアバレーボールを体験したんだ。

しもん:まずは先生たちが勉強だね。

みゆき:その動画を小学生が見て、いろいろな感想をもったんだって。

まちこ:感受性が豊かねぇ~。

しもん:どんなこと思ったんだろう?

みゆき:フロアバレーボールがどうやって作られたか。

しもん:作った「田中四郎先生」じゃないとわからないよ。

まちこ:私の恩師「露崎先生」の義理のお父様なんですよ! 96歳で今年亡くなられたんです。

みゆき:西寺尾小から話があったおかげで、田中四郎先生が亡くなる直前にフロアバレーボールについて話を聞くことができました。

まちこ:なんか運命を感じる!!

しもん:田中先生からタスキを渡された感じだね。

当時96歳だった故・田中四郎先生

みゆき:フロアバレーボール部顧問の中谷先生が田中四郎先生に代わってインタビューを受けました。

フロアバレーボール顧問 中谷先生

西寺尾小:「どうしてフロアバレーボールを作ったのですか?」

中谷先生:「その当時、男子は盲人野球(現グランドソフトボール)で遊んでいました。」

しもん:フットベースボールみたいに転がるボールをバットで打つんだよね。

中谷先生:「だけど、女子は向き合ってボールを手で打ち合って遊んでいたんです。」

しもん:女子のスポーツがなかったんだね。

中谷先生:「だからネットを張って打ち合いをしてみたら喜ぶかと思って考案しました。」

しもん:盲人バレーボール(現フロアバレーボール)の始まりだ!

西寺尾小:「どんな思いでフロアバレーボールを作ったんですか?」

中谷先生:「女子にもできるスポーツはないかと考えていたら。向き合ってボールを打ち合う姿を見て、バレーボールのネットを下げて、ボールがネットの下を通る方法を考えました。」

しもん:視覚障害者に楽しんでほしいという思いだね。

西寺尾小:「どんなスポーツを参考にして、どのように作ったのですか?」

中谷先生:「特に参考はないです。とにかく、向き合ってバンバン打ち合いながら、ルールを作っていきました。」

西寺尾小学校5年1組(令和4年度)

西寺尾小:「フロアバレーボールをするときに大切なことは何ですか?」

中谷先生:「ネットの前にいるアイシェイドをして見えない3人と、コートの後ろにいるボールが見える3人が、声を掛け合ってコミュニケーションを取ることです。」

しもん:見える人たちが、ボールが今どこにあるか声掛けで伝えないとわからないよね。

まちこ:指示が大切よ!

みゆき:アイシェイドをした3人も声を掛け合わないとぶつかっちゃうね。

まちこ:コミュニケーションが大切よ!

西寺尾小:「フロアバレーボールをするときにどんな思いでプレーしてほしいですか?」

中谷先生:「スポーツだから、相手チームに勝つことを考えてプレーしてほしい。」

しもん:真剣勝負だ!

中谷先生:「とにかく楽しんでほしい!」

みゆき:これは中谷先生の本音だね。

西寺尾小:「田中四郎先生はどんな先生ですか?」

中谷先生:「盲学校の子どもたちのために畑をたがやして、砂場やグラウンドを作ったり、遊具や鉄棒を手作りしたんだ。」

しもん:当時、盲学校には体育館は必要ないという考えだったらしいからね。みゆき:今ではフロアバレーボールは体育館で行う屋内スポーツだけど、昔はグラウンドで行う屋外スポーツだったんだね。

中谷先生:「とても情熱的な先生でした。」

西寺尾小:「今日は中谷先生のおかげで、フロアバレーボールのことを知ることができました。これからの学習に生かしていきたいです。ありがとうございました。」

西寺尾小学校の児童

みゆき:フロアバレーボールのこと、もっともっと知って欲しいな。

まちこ:これからも西寺尾小との交流は続きます。

しもん:ワクワク

 こうしてまだまだ3人、いやっ2人と1羽の話はつづきます。

 次回も読んでいただけたらうれしいです。

 もしも、お目めに合いましたら。

文/横浜市立盲特別支援学校専攻科
「みゆき」と「まちこ」のイラスト/関口
千秋「しもん」のイラスト/横浜市立盲特別支援学校・乾 ファビオラ

プロフィール
しもん:横浜市立盲特別支援学校、略して市盲が名前の由来。校章の幸福の青い鳥がご先祖様。公認キャラクター就任3年目。
まちこ:13歳で網膜色素変性症(色変)と診断。徐々に視野狭窄が進行。黒猫をめでながらお酒を飲むのが大好き。
みゆき:生まれつき弱視。右目は緑内障で13歳の時失明。ハンドミルでコーヒーを入れてその香りと共にチョコレートを楽しむのが習慣。