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小島寛明の「規制とテクノロジー」 第234回

トラブル続きのマイナカード “人為的ミス”なぜ防げない

2023年06月05日 07時00分更新

文● 小島寛明

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 マイナンバーカードに銀行口座をひも付ける手続きをしたら、他人の口座が登録されていた。

 デジタル庁によれば、こうした「公金受取口座」の誤登録はこれまでに、14自治体で計20件が確認されている。

 マイナンバーカードに、他人の健康保険証の情報が登録されるミスも判明している。

 厚生労働省によれば、「マイナ保険証」に他人の情報を登録するミスが、2021年10月から2022年11月までに7312件発生したという。

 相次ぐトラブルに、「いったん制度の運用を停止しろ」という声も上がりはじめ、制度の根幹が揺らいでいる。

 河野太郎デジタル大臣は、2023年5月29日の参議院の委員会で「不安を払拭できるよう、しっかり対応していく」と述べている。

マイナカードのトラブルは4種類

 まず、マイナンバーカードを巡るトラブルは、これまでに4種類が判明している。

  1. 公金受取口座の誤登録
  2. 健康保険証の誤登録
  3. コンビニ交付で他人の証明書が出てきた
  4. 別の人のマイナポイントを登録

 4種類の問題の原因を、あらためて確認してみよう。

口座の誤登録は「人為的ミス」と説明

 まず、公金口座の誤登録だ。

 政府は、マイナンバーカードに他人の口座をひも付ける誤登録の原因を「人為的ミス」と説明している。

 デジタル庁がウェブサイトで公表した、問題の原因は次のような内容だ。

  1. 市区町村などの窓口にあるPCで、Aさんが口座の登録作業をする
  2. Aさんが、ログアウトをせずに作業を中断
  3. Bさんが同じ端末で登録作業を開始
  4. AさんのカードにBさんの口座番号が登録される

 誤って登録すると何が起きるか。Aさんのカードには、Bさんの口座情報が登録されているため、Aさんが受け取るはずの、還付金や給付金などがBさんの口座に送られることになる。

 ただ、いまのところ別の口座に公金が送られるという問題は確認されていない。

 こうしたミスは、東北から九州の14自治体で起きた。

 誤交付が確認された自治体のリストを確認すると、目立つのは福島市の4件だ。東京都豊島区、高松市、大分市で2件ずつ起きている。

口座とマイナポイントの誤登録は、「ログアウト忘れ」が原因

 「別の人のマイナポイントを登録」してしまった問題も、口座の誤登録と同じで、「ログアウト忘れ」が原因だとされている。

 マイナポイントの誤登録は、これまでに113件が確認されている。

 口座とマイナポイントの誤登録は合計すると133件が発生している。確かに、いずれの問題もログアウト忘れという「ヒューマンエラー」(河野大臣)が原因で起きている。

 しかし、システムを使った人に、同じミスが発生しやすいという事象はやはり、システムに問題があったものと考えるのが、妥当ではないだろうか。

 デジタル庁は、「ログアウト忘れ」が起きないよう、ログアウトをしなければ、登録ができないようシステムを改修した。

コンビニ交付はバグ

 コンビニ交付で住民票などを請求したところ、他人の証明書が出てきたという問題については、プログラムのバグが原因だ。

 ほぼ同じタイミングで、別々のコンビニでコンビニ交付の手続きをした場合、先に交付を請求したCさんのデータに、後から手続きをしたDさんのデータが上書きされてしまう。

 そうすると、2人とも、Dさんが請求した証明書を受け取ることになる。

 このバグについては、システム開発を担当した富士通Japanが、対象の自治体でシステムの運用をいったん停止して、点検や改修を進めている。

健康保険証の誤登録は最多

 最も多くの問題が確認されているのは、健康保険証の誤登録だ。これまでに、7312件が確認されている。

 この誤登録については、「マニュアルから逸脱した事務処理」が原因とされている。要するに、「人為的ミス」が原因ということだ。

 この処理は、全国の健康保険組合などが事務を担っている。

 同姓同名の人物を誤って登録するといったミスが原因として挙げられている。

 担当者は、氏名や生年月日などの情報を入力し、全国の情報が保存されているサーバーから、健康保険の情報を取得する。

 この情報を、マイナンバーカードとひも付けるのだが、この際、住所などの確認を十分にせず、同姓同名の他人の情報を登録してしまったという。

ミスを防ぐのもシステム

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