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医療、製造、建築業のけん引を期待したい次世代スタートアップ

2022年度千葉市アクセラレーションプログラム(C-CAP)デモデイレポート

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元気なスタートアップを生み出す環境づくり

 シリコンバレーが現在のようにスタートアップを続々と輩出する地域に育ったのは、尖った技術を持つ「オタク」とそれを面白いと思ってお金を出してくれる「お金持ち=投資家」の両方が揃っていたから、という説がある。デトロイトにはオタクはいたけどお金持ちがいなかった(少なかった)。マイアミにはお金持ちはたくさんいたけどオタクはいなかった。バランスの取れたオタクとお金持ちの存在が、スタートアップを生み出す土壌となると木村氏は考えている。

「起業家と投資家が近くにいるという環境を作ることが非常に大事。対面やZoom越しで面談をしても、いざ投資をするとなったら東京においでよと言い出すのが東京のVC。でもDeepTech系の会社は東京にはスペースがないから行けませんとか、地元の大学病院と連携しているから行けませんとなることもある。そうすると遠隔ではサポートも難しいから話がつぶれてしまう。

  我々VCももっと地方に出ていかなくてはいけない。マイアミもシリコンバレーから10人くらいVCが移住しただけで、スタートアップへの投資が大きく伸びた。サポートしてくれる投資家がいろんな地域に普通にいる状態を作ることが、日本でスタートアップを増やすために必要だと思う」(木村氏)

千葉は東京の衛星都市なのか?

 千葉や横浜など東京からほど近い地域であれば、VCはサポートができるのではないか。そういう合田氏からの質問に対し、木村氏はプレシードから投資を行っているVCならではの知見を示した。

株式会社ゼロワンブースター 代表取締役 合田ジョージ氏

「投資ステージがアーリーであればあるほど、投資の決定は属人的になります。つまり一言で言うと『ご縁』になる。その起業家が頑張っていることを知っているからこそ投資の意思決定ができる。

 逆に起業家の側から相談したいと思っても、(近くにいないと)誰に相談していいかわからないということもある。私は横浜で『もくもく会』という起業家や投資家を集めたカジュアルなギャザリングを開催しているし、VCの飲み会なども定期的にやっている。そういうところが見えるようになってくると、千葉のスタートアップエコシステムも良くなってくる」(木村氏)

 千葉は地理的に東京にも十分近く、東京のオフィスに千葉から通っているキャピタリストも大勢いると思われる。そういう方々への道筋が見えてくると、東京都心と千葉の郊外の両方が見える千葉市の良さが発揮できる環境が構築できるかもしれない。

千葉発世界レベルのスタートアップの可能性について

 最後に、千葉から世界に通用するスタートアップを創出する可能性について、木村氏からエールをもらった。

「論文発表件数など、千葉の大学における研究環境は素晴らしい。そういう中で育まれたサービスはグローバルなものがあると思っている。むしろ東京の都心で生まれたサービスは、上海と東京とニューヨークでしか通用しない。東京の常識は世界の非常識と言っても良い。

 人口が東京より少ないということは意外とアドバンテージになります。だからみなさんが普段過ごされている環境こそが実は一番グローバルだったりする。千葉の人をハッピーにできれば世界中の人をハッピーにできる。そのことを信じて欲しい」(木村氏)

 千葉市のGDPは4兆円程度であり、これはカンボジアのGDPに匹敵する。つまり千葉市で通用するサービスであれば、1つの国で通用するサービスになる可能性があるということになる。東京を経由せず直接千葉から海外に成長を求めるスタートアップがどんどん生まれることを期待したい。

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