中小企業のIT化を支援してきた老舗が描く3つの観点

ユーザックシステム小ノ島社長が語るパッケージシフト、パートナー戦略、そしてDX

文●大谷イビサ 編集●ASCII

提供: ユーザックシステム

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マーケティングまで、まるまるパートナーを支援できるように

大谷:既存のSIビジネスに関しては、どのように展開していくのですか?

小ノ島:Autoジョブ名人のようなRPAは開発があまりないので、カスタマーサクセスチームといっしょにお客さまをサポートできるのですが、「EOS名人」を中心とするEDIや「伝発名人」のような帳票系のシステムは、小売、物流、検品など基幹システムとの連携や周辺業務の開発もあわせて受けています。そういう業務は今後パートナーに任せた協業を考えています。

SIビジネスとしてのやりがいはもちろんあるのですが、これからはパッケージベンダーとして、お客様の業務を「いかにラクに・標準化していくか」を考え抜いた製品を提供します。そして、パートナーとのアライアンスを強化し、より多くの企業に名人シリーズ製品をご活用いただけるようにしたい。今期はこれを特に考えました。

大谷:パートナー施策についても教えてください。

小ノ島:今までは別組織だった直接販売と間接販売の営業を統合し、今期からは全員がパートナー営業になる気持ちでがんばっています。特に昨秋は「名人パートナーフォーラム」というパートナー向けイベントをやりました。そこで当社の戦略や製品を紹介し、ユーザックシステムがこれから進む方向をパートナーの幹部に共有しました。

大谷:ITベンダーってどこもパートナー重視と言うのですが、もともと自分たちでやっていたことをパートナーに一部委託するということもあるわけで、個人的には心の中では「そんなにうまく行かないだろう」と思っています(笑)。実際、ユーザックシステムではパートナー施策はどのように進めるのでしょうか?

小ノ島:弊社でもそこに対する戦略策定に苦労していますよ(笑)。われわれのソリューションは、業務の自動化とか、電帳法対応とか、お客さまにとってわかりやすいという特徴があります。これは昔からパートナーからご評価してもらっています。わかりやすいソリューションはお客さまの関心を引きやすく、パートナーの営業にとっても売りやすい。パートナーにとって弊社は組みやすいと思います。

特に基幹システムを売りたいパートナーから見れば、基幹システムのアドオンを手がけてしまったがために工数と納期がかかったり、品質が安定しないというリスクを、われわれのパッケージの組み合わせることで、回避できます。

大谷:パートナーに対してはどのような施策を打っていくのですか?

小ノ島:今まで、販売に関してはパートナーにお任せすることも多かったのですが、弊社は販促の点で支援ができるのではと考えました。マーケティング機能自体をお持ちじゃないパートナーも少なくないのです。弊社の営業がパートナーと話していたら、「たまたま名人シリーズがはまりそうだから、提案してみた」といったどちらかというと受け身な販売形態もあったようです。

そこで、昨年の名人パートナーフォーラムでは、パートナーのマーケティング施策まで支援するプログラムを発表しました。今までセミナーやイベントはユーザックシステムやパートナーがそれぞれ独自にやっていたのですが、たとえば、セミナーの企画を弊社が行い、パートナーはそれに相乗りするかたちで集客とフォローにだけ集中していただいたり、弊社が製作しているさまざまなアセットをご利用いただいたりと、マーケティング施策に関してご支援するというものです。

大谷:そこまでやってもらえたら、パートナーも助かりますね。

小ノ島:弊社のセミナーに相乗りしてもらうだけでなく、パートナーと共同でセミナーやイベントを企画するという方法もあります。当社のインサイドセールスを活用してもらえば、さまざまな情報提供もできます。単に「売ってください」だけじゃなく、売り方の提案まで踏み込んでいくのが、今年のパートナー施策ですね。

大谷:今年はパートナーとの共同セミナーや出展が増えていきそうですね。

クラウド型の「PixisCloud」でロボットの労務管理もできる

大谷:次にRPA製品について聞きたいのですが、改めてAutoジョブ名人の強みを聞かせてください。

小ノ島:RPAは弊社のようなデスクトップ型に加え、サーバー型、クラウド型などさまざまな種類があります。サーバー型は高機能ですが、概して価格も高いですし、構築や運用には手間とコストがかかります。情報システム部門がRPAの管理を請け負っている、大手企業に導入事例が多いのではないでしょうか。

その点、日本の企業の97.5%を占める中小企業は、Autoジョブ名人のようなデスクトップ型が向いています。導入コストも抑えられますし、エンジニア以外の方でも少し勉強してもらえば使いこなせます。大手企業の部門での導入が多いのは、そういった理由です 。全社導入で導入されたRPAの開発を順番待ちするのではなく、目の前にある業務を迅速に自動化したいというニーズに応えてきました。

大谷:去年はクラウド型のRPA管理というソリューションが出てきましたね(関連記事:ユーザックシステム、開発したスクリプトをクラウド上で一元管理できる新サービス「PixisCloud」の開発に着手)。

小ノ島:自動化できる業務が増えていくと、ありがたいことに横展開したいという企業が増えてきました。RPAの台数が増えると当然、管理するための工数も増えます。管理が大変ならば、サーバー型のRPAに置き換えるかというと、それもなかなかハードルが高い。今のAutoジョブ名人をそのまま使いたいけど、管理の工数は増やしたくない。

もちろん、お客さまも今まで運用の工夫はしていたのですが、やはり限界もありますし、管理がこなれてくるまで時間がかかることもあるので、やはり当社が管理をサービスとして提供すべきだと考えていました。こうした要望に応えたのが、開発したスクリプトやスケジュールをクラウド上で一元管理できる「PixisCloud(ピクシスクラウド)」になります。

大谷:PixisCloudを導入すると、どのようなメリットがありますか?

小ノ島:社内でRPAプロジェクトを横展開しようと思うと、実際どれくらい稼働しているのか?というデータが必要になります。PixisCloudがあれば、こうした複数のRPAがどれくらい稼働しているか見ることができるので、業務改善の効果を見られるデータとして利用できるようになります。

PixisCloudによるRPAの管理

大谷:なるほど。人間と同じく、ロボットも労務管理が必要というわけですね。

小ノ島:どのロボットが、どれくらいの時間をかけて、どんな仕事をやったかという意味では、確かに勤務表みたいなものかもしれません(笑)。しかも、正常に作業が終了したのか、エラーで動かなくなっているのかも、瞬時に把握できます。

大谷:すでに既存ユーザーには案内しているとのことですが、反応はどうですか?

小ノ島:Autoジョブ名人を複数台お使いいただいているお客さまにご案内したところ、さっそく導入したいという声もいただいています。PixisCloudの活用事例を、早く紹介したいですね。

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