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デジタルツインを遊ぶ「すPLATEAU~ん?」が優勝。Unity×Web GISで拓く新たな可能性

「PLATEAU Hack Challenge 2022 in ヒーローズ・リーグ」レポート

特集
Project PLATEAU by MLIT

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都市伝説APIや水害対策、宇宙人侵略や首都防衛など多彩な3D都市モデル活用

 そのほか、惜しくも受賞は逃したが、意欲的な作品が成果物としてラインナップされた。

<PLATEAU都市伝説2022夏>チーム「異世界おじさんズ」
https://protopedia.net/prototype/3209

 Unity上に構築した都市に各地のさまざまな噂をマッピングすることで都市のストーリーを浮き上がらせようというもの。Unityアプリ側から緯度経度を送ると、「都市伝説API」から地名、噂、向き、距離が返ってくるという仕組みになっている。構想としては、自動追尾・自動運転のロボット上に乗せてアプリを走らせ、街自体にコンテンツを展開する部分も考えられている。会場でのデモでは実際にレーザーを発するマシンも登場した。

<避難経路シミュレータ(水害)>チーム「下山者」
https://protopedia.net/prototype/3207

 大雨、洪水など水の大災害が増えている昨今、特に障害者や高齢者の退避行動をいかにアシストできるかは社会課題となっている。そうした状況を踏まえ、水害リスク発生時の避難経路をシミュレートしようというもの。Unity上に実際の地形データ(高さも含め)を取り込み、水害時の避難経路を作成。また、obnizを使って避難者の行動をモニタリングし避難経路を外れた際にブザーで通知する。

 伊藤氏は「防災3D都市モデルにおいて高さという情報が非常に重要だということもあり、この作品がよいユースケースを示すことができているのではないか、またobnizと連携することで現実との紐付けが考えられた取り組みだ」と評価した。

<ブーメランパンツを履いた宇宙人の侵略 ~ リアルな世界とバーチャル世界でかくれんぼ ~>チーム「ブーメランパンツ」
https://protopedia.net/prototype/3210

 UFOに乗った宇宙人と戦うゲーム。プレイヤーは二人で、「宇宙人」役はコントローラとしてのtoioでUFOを操作し、VR空間内の地球人を吸い込んだら勝ち。「地球人」役はキーボードで操作し、VR空間内の3つの「エネルギータワー」を破壊(タッチ)すれば勝ちというもの。竹内氏からは、UFOから逃げるというところで現実の空間に合わせたゲームにするともっとおもしろいいのではないかとコメントがあった。

<仮想戦場~首都防衛~>チーム「机上防衛隊」
https://protopedia.net/prototype/3208

 「机上の空論で国を守る」をミッションとする”机防隊”が街に現れるゾンビと戦うというFPSゲーム。視点は現場指揮官と隊員視点の2つ。PLATEAUのデータを用いることで、現実世界と同じ状況でシミュレーションできるというところがメリット。今回唯一のメンバー1名のボッチソンチームであり、これが初のUnityで作り上げた作品だという。今後、敵が攻めてきた際の、事前の部隊配置というところの評価もできるのではないかと検討しているという。

PLATEAUに技術をつなぎ合わせて新しいソリューションを

 今回特徴的だったのは、Oobniz、toioといったデバイスと組み合わせ、現実世界との連携が多くの作品で検討されていたことだろう。いかに現実に紐付けるか、そんな体験を目指すゲームやサービス、さまざまなプロダクトの種が生まれたのではないか。

 PLATEAUならではの属性データの活用について、やはりまだまだ使いどころがあると指摘するのはメンターとして参加した於保氏だ。「CityGMLデータを直接使っていく、属性データ系を本気で使い切った作品がまだあまり出ていません。モノとして地味なものになるかもしれませんが、今後そういうものが出てきたら面白いでしょうね」と、期待を込めた。

 また、同じくメンターの茂手木氏はより高いレベルに成果物を押し上げるために、「実際にユーザーが体験したときに本当におもしろいのかという点と、『とりあえずデモが動く』手前のところで一旦立ち止まって考えるとよいのではないでしょうか」とコメント。ハッカソンの2日間、限られた時間の中で一気に進めなければならない状況だとしても、むしろハッカソンだからこそ、開発のプロセスとして全体を俯瞰するステップを入れてはどうか、という視点を示した。

 審査員総評の最後、内山氏はグランプリの「すPLATEAU~ん?」を挙げ、「PLATEAUをベースに、Web GIS、ゲームエンジン、XRといったさまざまな技術をつなぎ合わせて新しいソリューションを生み出している。実は、これは我々PLATEAUプロジェクトとしてやりたいことでもある。こうした作品を通して、PLATEAUの使い方という意味でもどんどん可能性が広がって、これまでできなかったことができるようになったり、いろいろな技術分野の人がPLATEAUを切り口に開発に参加していただけるのではないか」と語った。

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