初期設定が済んだら、アルゴリズムを選ぶだけでいろいろできる!

ソラコムの「S+ Camera(サープラスカメラ)」で店内の滞在人数をカウントしてみた

柳谷智宣 編集●MOVIEW 清水

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 監視カメラを利用すれば簡単に映像を録画することはできる。しかし、その映像を解析して、活用するのはなかなか難しい。業界によっては、交通量や駐車場に止っている車の台数をカウントしたり、映像内の人数を数えたり、滞在時間を計測したいといった様々なニーズがあるだろう。そんな特に活躍するのがソラコムのエッジAIカメラ「S+ Camera(サープラスカメラ)」だ。

 「S+ Camera Design」はLinuxベースのコンピューターを搭載したAIカメラで、通信機能としてLTEを備えている。単に映像を記録するだけでなく、アルゴリズムをインストールすることで、滞在人数カウントや滞在時間計測、顧客属性判定、表情分類、物体検知など様々な分析が可能になる。

 今回実機をお借りしていろいろと試してみたので、そのレポートを紹介しよう。

「S+ Camera Design」。価格は4万9800円(税込)

AIアルゴリズムを購入することでいろいろなソリューションを利用できる。画面は「Package20」

「S+ Camera」はセッティングも簡単

 まずは、同梱されているIoT SIMをSORACOMユーザーコンソールに登録する。筆者の場合はお借りしたので、IMSIやパスコードを入力したのだが、ソラコムのショッピングサイトで購入した場合は、「注文から登録」で「受取り確認」をクリックするだけで登録できる。ちなみに、登録しなくても、出荷日から4日が経過すると自動登録されるそう(日本カバレッジの場合)。

IoT SIMをコンソールに登録する

 この後、SIMグループを作って、「メタデータサービス」をオンに設定し、「SORACOM Harvest Data」や「SORACOM Harvest Files」を有効化する。このあたりの設定は最初だけなので、マニュアルを見て操作していけばいい。ただし、設定によっては利用料金が発生するので、きちんと確認しながら作業すること。

 準備ができたら「SORACOM Mosaic コンソール」から登録したデバイスIDをクリックすると、カメラの設定画面が開く。「S+ Camera Design」の電源が入っていれば、「カメラ」→「リロード」をクリックすることで、カメラの映像をプレビューできる。

マニュアルに従って、初期設定を行なう

「Mosaic コンソール」でカメラの設定を行なう。「リロード」でプレビューを表示できる

滞在人数をカウントすれば混雑度もすぐわかる

 続いて「アルゴリズム」で動作させたい機能をインストールする。無償でサンプルアルゴリズムが提供されており、画像を定期的にアップロードしたり、文字や数字を認識してOCRでテキスト化したデータを送信したりできる。カメラが人間の目線を検出すると顔の周りを切り出して送信する「顔検出」やその際に目線にモザイクをかける「顔検出(プライバシ)」といったアルゴリズムもある。ソースコードを公開しているので、自分で改良することも可能だ。

 今回は「滞在人数カウント」アルゴリズムを利用する。これは、「S+ AIマーケット」で発売されている有償の「Package20」(AI Dynamics Japan)に含まれている。「ヘルメット検知」や「段ボール検知」など20種類のAIアルゴリズムをまとめて利用でき、価格は9800円(税込)となる。

「アルゴリズム」タブで動作させたい機能を選ぶ

「AI Market」でアルゴリズムを購入できる

購入したアルゴリズムをインストールする

 設定が完了すれば、自動的にアルゴリズムが動作する。

人間だけでなく、犬検知や猫検知といったアルゴリズムも用意されている

 一定エリア内でカメラに写った人数をカウントするAIアルゴリズムで、範囲は約5m。初期設定では15秒間隔で映像を撮影し、1~2秒で推論、人数データを「Harvest Data」、AI処理した画像を「Harvest Files」にアップロードする。撮影間隔は、「SORACOM_ENV_WAIT」に秒数を入力することで変更できる。設定が完了すれば、自動的に撮影と分析、データの保存が行なわれる。

 今回は、筆者が経営するバーで、カウンターに座っているお客さまの人数をカウントしてみた。カウンターだけの満空状況を知りたいことがあるが、スタッフの手を煩わせるのも避けたい。そんな時、AIカメラでカウンターの空き状況をチェックできれば手間が省ける。もし、カウンターの空き状況をSNSに自動的に流せるようにできれば、効率的な集客につながり売上アップも期待できる。

 まずはカウンターを一望できるところに「S+ Camera Design」を設置する。付属の汎用型マグネットマウントは金属製の壁に手軽に設置できる。マウント部分は脱着可能で、アクションカメラ「Go Pro」のマウントを流用することも可能だ。

分析した人数は「Harvest Data」で確認できる

人数検知処理済みの画像は「Harvest Files」にアップロードされている

「Go Pro」のマウントを使うこともできる。写真は「Go Pro」用の「3-Way 2.0」に装着したところ

 物体検知アラートでは、スマホやヘルメット、段ボールを検知することも可能。他にも猫検知や犬検知といった面白いアルゴリズムも用意されていた。試しに犬検知アルゴリズムをインストールしてみたところ、きちんと認識していた。進入禁止エリアに犬が入っていないかなどをチェックするのに役立つかもしれない。

「Dog Alert」をインストールする

写っている犬の数に変化があると撮影してくれる

 AIを使って人数をリアルタイムに分析するシステムを構築するというと難しく聞こえるが、「S+ Camera Design」を買って、アルゴリズムをインストールするだけで実現するのはとても手軽だ。直感的に使えるというほど簡単ではないが、マニュアルを見ながら操作すればすぐに使えるのがすごい。

 飲食店や会議室などの滞在時間を検知したり、倉庫に積んである段ボールの数を数えたり、メーターの数値をOCRでデータ化したい、などと映像をAIで分析するニーズがあるなら、「S+ Camera」の導入を検討してみてはいかがだろうか。

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