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細部までしっかり作られたコダワリのゲーミングPC<Lenovo Legion T770i>の内部を分解チェック!

文●宮里圭介 編集●村野晃一(ASCII)

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自作PCとは違う!? ビデオカードとオンボード機能

 最近のビデオカードはGPUからの発熱だけでなく、メモリーからも発熱が大きくなっているため、ヒートシンクが大型化してきている。そのため重量がかなり増えており、スロットとブラケットのネジだけでは支えるのが厳しい。

 自作PCなどでは、下からビデオカードを支えるステイやホルダーが使われることが多いが、これは外から丸見えで、見た目にあまりいいものではなかった。

 <Legion T770i>では、ケースが専用設計という利を生かし、専用の金具を用意。ブラケット側は4スロットぶんを使って押さえるようにしてあるほか、逆の端も、L字金具を付けてしっかりと支えられるようになっていた。

4スロット横断する固定用の金具が用意され、面で押さえるように工夫。振動でも動かないようになっている

ブラケットと逆の端は、専用のL字金具を用意。これを3本のネジで止めることで、ビデオカードの自重で抜けたり、スロットがもげたりすることを防いでいる

 とくに怖いのは、ビデオカードの自重でスロットに負荷がかかり、長期間使っていると不具合の原因となってしまうこと。ひどいとスロットの根元が割れてしまうことまで考えられるため、これを未然に防げる設計になっているのは安心感がある。

 もちろん、移動や輸送時の振動にも耐えられるという意味合いもあるだろう。

 マザーボードの中央右にはLEGIONのマークが施されているなど、見えない部分にもこだわりがある。また、M.2スロットが3つ用意されており、高速なSSDを増設できるというのもいいところだ。1つは使用済みとなっているので、あと2つ増設可能だ。

LEGIONのマークが刻印されている専用マザーボード。少し見づらいが、M.2スロットはマザーボード中央、ビデオカード用スロットの下(ヒートシンク付きで使用済み)、そしてその更に下と、3ヶ所にある

 もうひとつ、オンボード機能で注目したいのがWi-Fi機能の搭載。「タワー型のゲーミングPCでWi-Fi?」と思う人もいるかと思うが、遅延の影響が大きいFPSなどでなければ、Wi-Fi接続でも十分遊ぶことができるゲームは多い。もちろん有線LAN接続の方がいいのは確かだが、自室までケーブルを引き回すのが大変だったり、見た目の悪さから、家族に反対されてしまうという人にとって、Wi-Fiでも接続できるのはありがたい。

 このWi-Fiは当然ながらWi-Fi 6に対応し、高速接続が可能。ルーターもWi-Fi 6対応であれば、有線LANを越える1Gbps以上の実速度で通信を行えることもある。

Wi-Fiモジュールは、Intel AX201NGWを採用。2×2対応のWi-Fi 6モジュールで、最大2.4Gbpsで接続可能だ

 ここで疑問なのが、PCの周囲をぐるっと見回してもアンテナが見当たらないこと。デスクトップPCの場合、外付けアンテナが用意されていることが多いのだが、ぱっと見ではアンテナ端子が見当たらない。

 そこで、Wi-Fiモジュールからアンテナケーブルをたどってみたところ、なんと、フロントパネルの内側と、背面の黒いボックス内にアンテナがあることが確認できた。別途アンテナを装着する必要がなく、通信しやすい場所に最初から配置されているというのはありがたい。

フロントパネルの内側に隠されているWi-Fiアンテナ。正面からは全く見えないが、電波はフロントパネルを通過できるため、しっかりと通信可能だ

背面のアンテナは、下部にある小さな黒いボックス内で発見。この前後2つのアンテナで、高速なWi-Fi接続を実現している

拡張性もしっかり確保! HDDの増設もしやすいケーブリングの妙

 こだわりの組み立てとして見て欲しいのが、裏側の配線だ。ライトアップが多用されているPCは、とくに配線が多くなりがちだ。そのため、空きスペースに不要なケーブルが突っ込まれていたり、行き場のないケーブルがブラブラしていたりするのだが、<Legion T770i>はほとんどのケーブルが結束バンドでまとめられており、キレイに配線されていた。

 言葉で説明するよりも、見てもらう方が早いだろう。

裏配線の様子。ファン、CPUの電源、マザーボードの電源、フロントパネルのUSBなど、数多くのケーブルがあるが、そのほとんどがしっかりまとめられていた

 無造作に束ねられているようにも見えるが、よく見ると、電源やUSBといったように、用途別に分かれており、配線し直す必要に迫られた時でも、追いやすくなっている。

 この配線を見ていて感心したのが、3.5インチベイの部分。HDDの増設に使われるもので、既に2TBのHDDが装着されているのだが、その上、空き部分に注目して欲しい。なんと、空き部分にも電源とSATAケーブルが予め用意されているのだ。

自分で後から増設しやすいよう、最初からSATAと電源ケーブルが用意されている。もう1台HDDを追加したくなった時でも安心だ

 また、この裏側には2.5インチベイも用意されているので、SATA接続のSSDを増設したい、といった時でも大丈夫。タワー型らしい、しっかりとしたストレージ拡張性がある。

裏面に貼り付けるような形で装着する2.5インチベイを用意。SATA接続のSSDも増設可能だ

スペックだけでなく、完成度の高さで選ぶ人に、自信をもっておすすめできる<Legion T770i>

 排気口となる天面は、ホコリやゴミ、ネジなどが入り込まないよう、金属メッシュを採用。そこそこ強度も高いので、ちょっとした小物……USBメモリーやヘッドセットなどを置いても大丈夫だ。

 内部のホコリを掃除したいときは、ガラスのサイドパネルを外し、内側からツメを押してやれば、簡単に取り外せる。

金属メッシュなので、強度がありながら通気性も◎。目が細かいので、ネジなど大きなものはPC内に落ちない

 底面には、電源用の吸気口を装備。床近くに置く場合、どうしてもホコリを吸い込んでしまいがちだが、これを阻止するフィルターが装着されている。ネジ止めとなるため掃除するには少し大変だが、PCを動かした拍子にフィルターがずれていて、ホコリを大量に吸い込んでいた……といった失敗がないのがメリットだ。

フィルターはネジ止めされているが、簡単に取り外せる。ホコリを吸い込みやすいので、マメに掃除したい

 こういった、日々のメンテナンスも配慮されているというのは、長く使いたい人にとってうれしいポイントといえる。

 ライトアップを含めたデザイン、そして性能・静音性にもこだわった、完成度の高いゲーミングPCが<Legion T770i>。内部のしっかりした作りや工夫を見れば、長くPCを作り続けているトップメーカーの矜持すら感じられる。

 スペックだけではない、満足いくゲーミングPCが欲しいなら、購入候補のまず最初に挙げたい1台だ。きっと満足できるだろう。

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