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IoT通信に必要な要素をいま改めて考えてみる

ソラコムの2人に聞いた そもそもIoTの通信ってなに?

大谷イビサ 編集●ASCII 写真●曽根田元

提供: ソラコム

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 IoT(Internet of Things)という用語が登場して久しいが、ではIoTってなに?という問いにきちんと答えられる読者はいるだろうか? そこで本連載では、IoTプラットフォームを展開しているソラコムのtakuyaこと桶谷拓也氏、Maxこと松下享平氏に「IoTとはなんぞ?」というテーマで対談に挑んでみようと思う。今回のテーマは「IoTの通信」。さて、どんな答えが飛び出してくるだろうか?(以下、敬称略 モデレーター ASCII編集部 大谷イビサ)

ITとIoTの違いは通信の主体?

大谷:まず「IoTってなんですか?」というちょっと哲学的な話からいきましょうか。

桶谷:はい。実は先日Maxが話していてすごく腑に落ちたスライドがあったので紹介します。ITやICTってスマホやPCなど人が操作するデバイス同士がやりとりしているんだけど、IoTって人が操作しないデバイスでもつながるという説明です。

ITとICTの延長上にあるIoT

松下:まずパソコンの登場によって個人の生産力が飛躍的に向上しました。そしてインターネットという通信インフラによってコラボレーションが容易となり、ビジネス全体の可能性が広がったと紹介しています。僕らの世代だと電子メールがいい例かと思います。

大谷:あとはやっぱりExcelですかね。

松下:そうですね。ITと呼ばれるところのキラーアプリがExcelで、ICTと呼ばれるところが電子メールです。IoTのキラーアプリは、まさにこれからだと思いますが、僕らからするとITやICTの延長線上にあるのは間違いないと。

桶谷:単純にこのスライドで工場にあるデバイスを人が操作していれば、たぶんICTなんです。人がいないのにつながっているという感覚があるのがIoT。その違いかなと思います。

松下:このスライドを使うときの意図って、普段からスマホをポチポチいじっている人からすれば、「IoTって全然難しくないよ」「もうやっているよ」ということをお伝えすることです。トータルで見ると、人やコンピューターがモノを用意すれば、モノ同士が勝手に通信できるインフラが整ったよということを説明したかったんです。

Maxことソラコムの松下享平氏

大谷:なるほど。ソラコムのサービス開始って、2015年だからすでに7年経っていますが、その当時からこういう考えでしたか? もしくは最近、腑に落ちた感じ?

松下:もともと思っていたことではあります。ただ、ソラコムにいたからこそ情報が整理され、これが作れたという感じですね。

桶谷:僕は正直、最初はあまり実感がなかったですね。前職でもIoTの案件に携わっていた時は、IoTは単にモノをつなぐ、という認識でした。

takuyaことソラコムの桶谷拓也氏

大谷:このスライドの趣深いところって、モノって言っても、なんだかんだ人が作ったプログラムが動いているじゃないですか。そして、人が直接操作しなくても、最近はAIがある。たとえば、AI搭載の監視カメラの場合、怪しい人を撮影するプログラムは人間が作りますが、実際に怪しいかどうかはエッジやクラウドのAIが判断する。つまり、コンピューティングや通信の主体が人である必要がなくなっているとも考えられるんですよね。

松下:情報処理の先にある労働力として、本当の意味でコンピューターを働かせられるようになったと言えるかもしれません。

AI系のセミナーでクラウドを含めた活用方法を紹介する時には、人間の目や耳にあたるのがカメラやマイクといったデバイスで、脳みそがクラウド、神経がネットワークと分類をします。この構成でいいソリューションを作ろうとしたら、クラウドの上手な利用が重要。でも現状は、神経にあたる通信を湯水のように使うには技術や費用面での課題があり、そういう意味では工夫のしがいがあると感じています。

大谷:よく言われますよね。IoTって総合格闘技だと。

松下:僕はハードウェアやネットワークを出自とするエンジニアですが、その点IoTってアーキテクチャ的なところが難しいと思っています。デバイスやクラウドで、どれに何をやらせるかという役割分担ですね。

桶谷:ただ、そこはIoTやっていると、知見がたまってきて、ある程度パターン化できるようになってきました。

たとえば、「双方向通信をしたい」という要望があったときに、デバイスの処理能力やデータ送受信の頻度、他には電力供給の状況などを踏まえて、こういう仕組みなら、ここまで実現可能、運用はこういう感じです、代替手段はこういうやり方があります、といった話です。最近は、ユーザーもこのあたりの知識を求めていらっしゃって、私もセミナーや商談でアーキテクチャパターンをご紹介する機会も増えてきました。

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