最新パーツ性能チェック 第354回
「Ryzen 7 5700G」「Ryzen 5 5600G」を“安いRyzen”として使うのはアリ? dGPU使用時のパフォーマンスを検証
2021年09月08日 11時00分更新
組み合わせるGPUのパフォーマンスが
カギになる「Rainbow Six Siege」
今回は実ゲームベースだけで検証を進める。最初に試すのは「Rainbow Six Siege」だが、APIにVulkanを選択し、解像度はフルHDのみとした(解像度を上げるとCPUの差が見えにくくなるため)。RX 5600 XTは画質“低”と“最高”+レンダースケール100%設定で、RX 6800 XTは“最高”+レンダースケール100%設定のみで検証している。内蔵ベンチマーク機能を利用してフレームレートを計測した。
まず、画質“低”設定では、Ryzen 5000GシリーズにRX 5600 XTを追加すると、平均フレームレートが4倍近くまで跳ね上がる。そして同時にRyzen 5000シリーズのX付きモデル(Ryzen 5 5600Gに対する5600X、Ryzen 7 5700Gに対する5800X)との比較では、極めて軽微な差にとどまっている。
RX 5600 XTを使う限り、画質を目一杯上げてもその傾向は変わらない(2番目のグラフ)。若干L3キャッシュの少ないRyzen 5000Gシリーズの方がフレームレートが下がっている程度の印象だ。
しかし、RX 5600 XTよりもはるかにパワーのあるRX 6800 XTを組み合わせると様相が異なる(3番目のグラフ)。Ryzen 5000Gシリーズの方が、それぞれ対応するX付きモデルよりも、平均フレームレートが12〜13%低くなった。明らかにRyzen 5000GシリーズがハイパワーGPU(RX 6800 XT)の足を引っ張っている。
CPUのTDPや動作クロック、L3キャッシュの搭載量やビデオカード用PCI Expressのバス幅(Ryzen 5000Gシリーズは帯域が半分)等が考えられるが、TDP65Wでクロックも微妙に下のRyzen 5 5600Xが5800Xと同等の性能を出していることから、Ryzen 5000GシリーズのL3キャッシュ搭載量がボトルネックの原因として浮かび上がる。逆に言えば、RX 5600 XTのようなエントリー寄りミドルクラスGPUを使うのであれば、Ryzen 5000Gシリーズの方がコストパフォーマンスは良いのだ。
「Apex Legends」では僅差にとどまる
続いては「Apex Legends」でも同様の検証を行なう。RX 5600 XT環境では画質は最低および最高画質設定、RX 6800 XTでは最高画質設定のみで検証する。射撃訓練場における一定の動作をした時のフレームレートを「CapFrameX」で計測した。144fpsキャップを外す設定(+fps_max unlimited)も追加している。
Apex LegendsでもRainbow Six Siegeと同様の結果が出た。Ryzen 5000Gシリーズ内蔵GPUだけでは最低画質設定でも満足なプレイは期待できないが、ビデオカードを追加すればフレームレートは一気に上昇し、Ryzen 5000シリーズのX付きモデルと遜色ない性能が期待できる。
ただ、RX 6800 XTクラスのハイエンドGPUの性能をフルに引き出すという観点ではRyzen 5000シリーズのX付きモデルには微妙に及ばない。RX 6800 XT環境におけるRainbow Six Siegeでは平均フレームレートで12〜13%の差がついていたのに、Apex Legendsでは誤差程度の差にとどまっているのは、Apex Legendsは300fpsでフレームレートが頭打ちになってしまうためである。
この連載の記事
-
第442回
デジタル
ローエンドビデオカードの選択肢のひとつとなるか!? Radeon RX 6500 XTに8GB版が追加 -
第442回
自作PC
内蔵GPUを削除したRyzen 7 8700FとRyzen 5 8400Fに存在価値はあるのか? -
第441回
自作PC
いまどきのゲーミングPCでマザー側の映像出力に繋ぐのはあり/なし?古の禁忌に踏み込む -
第440回
自作PC
インテルCPUを安全に使える設定?「Intel Baseline Profile」のパフォーマンスを検証【暫定版】 -
第439回
自作PC
暴れ馬すぎる「Core i9-14900KS」、今すぐ使いたい人向けの設定を検証! -
第438回
デジタル
中国向け「Radeon RX 7900 GRE」が突如一般販売開始。その性能はWQHDゲーミングに新たな境地を拓く? -
第437回
自作PC
GeForce RTX 4080 SUPERは高負荷でこそ輝く?最新GeForce&Radeon15モデルとまとめて比較 -
第436回
デジタル
環境によってはGTX 1650に匹敵!?Ryzen 7 8700G&Ryzen 5 8600Gの実力は脅威 -
第435回
デジタル
VRAM 16GB実装でパワーアップできたか?Radeon RX 7600 XT 16GBの実力検証 -
第434回
自作PC
GeForce RTX 4070 Ti SUPERの実力を検証!RTX 4070 Tiと比べてどう変わる? -
第433回
自作PC
GeForce RTX 4070 SUPERの実力は?RTX 4070やRX 7800 XT等とゲームで比較 - この連載の一覧へ