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自然に高品質の音源が聞きたくなる素直な高音質と、極めて自然な空間オーディオ

【AirPods Maxレビュー】iPhoneやiPadで最高の音響体験を求めるなら迷わず買い!

2021年03月10日 12時00分更新

文● 柴田文彦 編集●飯島恵里子/ASCII

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控えめなようで効果的な空間オーディオ

 AirPods Maxを実際に使ってみて、もっとも効果的だと感じられる機能は、やはり「空間オーディオ」だ。これが本機の最大の特長であるのは間違いない。部分的には、同様の機能を実現するサラウンドヘッドフォンも珍しくないが、併せてダイナミックトラッキング機能を装備していることや、まったく不自然に感じられない絶妙な効果の効き具体を考えると、本機の右に出る製品はまずないだろう。

 AirPods Maxの空間オーディオには、大きく2種類の効果が盛り込まれている。1つは、一般的なサラウンドヘッドフォンと同様の立体的な音像を実現する効果。これにより、音が自分の周辺の360度、あらゆる方向から聞こえるようになる。もう1つは、上で触れたダイナミックトラッキング機能だ。これは自分の頭を動かしても、再生音が常に一定の方向から聞こえてくるようにする効果。AirPods Max自身が内蔵するジャイロスコープと加速度センサーによって実現されている。これによって、自分の周囲にある仮想的な音場の中に自身が飛び込んだような感覚が味わえる。いわば音のVR機能だ。

 空間オーディオを味わうには、対応する音源と対応するデバイスが必要となる。もっとも確実なのは、Apple TV+で配信されている映画のうち、音声が「Dolby Atmos」に対応している作品を、iPadまたはiPhoneを使って鑑賞することだ。Apple TV+をサブスクしていない人でも、予告編で十分に効果は味わえる。ちょっと驚くのは、AirPods Maxを装着した自分の動きだけでなく、映像を再生中のiPadやiPhoneの動きにも追従すること。

 例えば、iPadを自分が座っているテーブルの真正面ではなく、左側に移動したとしよう。すると映像の中心は、当然ながら正面から左側に移動する。その際に正面を向いていれば、音の中心は画面の位置に追従して左側に移動するのだ。もちろんそのまま左に頭を向けて画面を見れば、自分の顔の正面に音と映像が定位することになる。

 Macは、macOS 11.1以降であれば、AirPods Maxとペアリングして音声の再生は可能だが、空間オーディオには対応していない。同じApple TV+でDolby Atmos対応のソースを再生しても、今のところmacOSでは空間オーディオが有効にならない。現状で空間オーディオをサポートするのは、iPhone 7以降、第3世代以降のiPad Pro 12.9インチ、iPad Pro 11インチ、第3世代以降のiPad Air、第6世代以降のiPad、第5世代以降のiPad miniだけだ。デバイス内蔵の機能の制限かもしれないが、空間オーディオがもっとも有効と思われる大画面での映像再生が可能なApple TVやMacがサポートしていないのは、残念というほかない。

 いったん空間オーディオに慣れると、対応していない2チャンネルのソースでは、音像が頭の中に定位するのが、かなり不自然に感じられるようになる。一般的なステレオの音源を、擬似的に頭の周囲に定位させるようなモードがあれば、ソースの違いによる違和感を緩和できるはずだ。このあたりも、今後のアップデートに期待したい。

 AirPods Maxにとって本質的なことではないが、Apple Storeで購入すれば、iPadやiPod touch同様、無料の刻印サービスが利用できる。しかも、AirPods Maxで刻印に使用できる文字には絵文字も含まれていて、これまで以上に強烈なパーソナライズが可能となっている。

 AirPods Maxは人気が高過ぎるのか、まだ生産量が少ないのか、現状では需要が供給を明らかに上回っている。注文してから配送されるまでの期間はかなり長めとなっている。その期間は、選択した色や、刻印の有無によっても異なる。3月初旬の段階で、刻印なしの場合、スペースグレー、シルバー、ピンクは約2週間、グリーンは1ヵ月、スカイブルーは1ヵ月半も待たなければならない。刻印を加える場合には、最短でも1ヵ月待ちになるようだ。

 それでも欲しいと思った人は、できるだけ早く注文すべきだろう。いくら納期が長くても、早く注文するほど早く入手できるのは間違いないのだから。

 

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