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松村太郎の「アップル時評」ニュース解説・戦略分析 第131回

心電図対応のApple Watch、データの預け先としての魅力

2021年02月10日 09時00分更新

文● 松村太郎 編集● ASCII

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●誰にデータを預けるか?

 Apple Watchが健康機能を強化する一方で、機能面では必ずしも最先端を走っているわけではないという批判があります。

 血中酸素濃度や心電図などはApple Watchが初めて対応する機能ではありませんし、Apple Watch SEより安い価格で、これらのセンサーを搭載するモデルも発売されています。

 単純にデバイスとして比較すれば、そこまで強い魅力を放っているわけではない、といえます。では、Apple Watchの選びどころはどこになるのか?

 それは、自分の健康データを誰に預けるか? という選択だと思います。

 アップルはプライバシーをブランド価値として掲げ、できるだけデータを送信せずデバイス内で処理すること、外部にデータを持ち出す際には必ず許可をユーザーに求めることなどが、iOSの仕組みとして取り入れられています。

 もちろん他のメーカーも健康データを厳重に扱うという配慮がありますし、中国メーカーだからと言って個人データをぞんざいに扱うとは限りません。しかし健康データが集まれば集まるほど、その管理の厳重さや安全性に注目が向けられます。

 アップルは、人々が健康データを預けるに値する信頼を得る努力を続けています。Facebookの姿勢に対して噛みつくのも、その信頼を裏切らないための行動と見ることができます。

 

筆者紹介――松村太郎

 1980年生まれ。ジャーナリスト・著者。慶應義塾大学SFC研究所上席所員(訪問)。またビジネス・ブレークスルー大学で教鞭を執る。モバイル・ソーシャルのテクノロジーとライフスタイルについて取材活動をする傍ら、キャスタリア株式会社で、「ソーシャルラーニング」のプラットフォーム開発を行なっている。

公式ブログ TAROSITE.NET
Twitterアカウント @taromatsumura

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