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ついに日本上陸!Apple Watch「心電図アプリ」の正しい使い方

2021年01月28日 09時00分更新

文● 山本 敦 編集●飯島恵里子/ASCII

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誰でも手軽に使えて健康の自己管理意識が高まる

 筆者は数年に一度、健康診断を受けているが、心電図に不整脈の疑いがあるという通知をもらうことがある。これまでに精密検査として、携帯サイズの小型モニターを24時間身に着けて心電図を記録する「ホルター心電図検査」も何度か経験した。幸い再検査の検査に特別な異常は見られなかったのだが、今後はよほどのことが起きなければ終日かかるホルター検査を何度も受けることは身体的にキツいし、都度の費用負担も気になって定期チェックは遠ざかっていた。

 Apple Watchの心電図アプリとIRN機能は、心房細動の兆候検知に特化しているが、日常的に身に着けられるウェアラブルデバイスで心疾患の兆候を手軽に、しかも「毎日」計測できるソリューションを形にしたことに大きな意義があると思う。心房細動については、従来であれば見落とされがちだった兆候が発見される確率が飛躍的に高まるだろうし、多くの人々を健康リスクから守れるだろう。仮に不規則な心拍の通知が全く届かなくても、ユーザーが健康の自己管理の大切さを意識するきっかけになる。

 IRN機能は寝ている間にもバックグラウンドで時々実行されるので、Apple Watchを就寝時間中も身に着けるユーザーがこれから増えそうだ。watchOS 7/iOS 14から追加された「睡眠記録」に続いて、寝ている間にApple Watchを身に着ける“理由”がもう一つ増えるので、バッテリーの減りに影響が出ないのか気になるところだ。

 筆者が取材した限りでは、アップルが公式に伝えているApple Watchの1日のバッテリー駆動時間に影響を及ぼすものにはならないようだが、長期間使い続けても変化が現れないのかなどさらに使い続けて様子をみてみたい。

普及の鍵を握る医師・病院の対応

 心電図のデータはアプリに記録される。当然ながら普通の人は心電図を見てもその意味するところを詳しく把握することはできないので、アプリに表示される所見と「心房細動の兆候の有無」に関する結果を信頼するほかない。

 記録されたデータをPDFファイルとして出力・共有もできるので、ひとつ手段としてはかかりつけの医師の元を訪れる際に、診断の材料にしてもらうため定時したり、健康相談を切り出すきっかけとして使うことはできそうだ。

ヘルスケアアプリから心電図の記録をPDFに出力・共有することもできる。データを携えて医師に相談したり、これから活用方法が色々と模索されることになるだろう

 このデータをより一歩進んだ治療に活かせるように、医師や病院の側もApple Watchの新機能を知り、対応できる体制を整えてほしいと思う。例えば「Apple Watchの心電図受付中」であることをWebサイト等の看板に掲げている医師・病院の元に、筆者もいちApple Watchユーザーとして訪問してみたいと思うし、サービスを上手に活用できている医師がいれば信頼感も湧いてくると思う。

 心電図のPDFファイルはiPhoneからメールやLINEを使って簡単に共有できる。コロナ渦で遠隔医療に関わる技術やサービスが注目される中で、医師と患者の接触機会を可能な限り減らして安全に、的確な診断を行うための導入としてもApple Watchによる心電図アプリは活用できるのではないだろうか。ユーザーと医療現場の双方で、今後心電図アプリが上手に活用される事例があればまた注目してみたい。

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