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独自CPU「M1」で処理性能&バッテリー駆動時間が大幅向上 新Mac特集 第18回

インテルCore i3搭載の旧MacBook Airに対して、ほぼ4倍の性能×2倍のバッテリー持続時間

安心して使える相棒的なマシン「M1版MacBook Air」レビュー

2021年01月04日 10時00分更新

文● 柴田文彦 編集●飯島恵里子/ASCII

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MacBook Airならではの微妙なキーボードレイアウト変更

 ディスプレーを閉じた状態では、新旧のMacBook Airを区別するのは、ほぼ不可能だ。上のスペック表で見た通り、サイズも重量も変わらなければ、デザインもまったく同一だ。新旧2台のモデルを重ねて、どの方向から見ても、違いをみつけることはできないだろう。

 さらにカラーバリエーションが、ゴールド/シルバー/スペースグレーの3種類というのも、新旧モデルで変わらない。もしカラバリに変更があったのなら、少なくとも共通しない色については識別の手がかりになったはずだが、それもない。

 ただし、ディスプレーを開けば、新旧モデルの違いが明らかになる。その違いはキーボードにある。とはいえ、約1mmのストロークを確保した、バックライト付きのMagic Keyboard自体は基本的に変わらない。明らかな違いは、キーボード最上段のファンクションキーのF4、F5、F6に割り振られた機能にある。

新MacBook Air

 新MacBook Airでは、これが「Spotlight検索」、「音声入力のオンオフ」、「おやすみモードの設定」といった機能に割り振られている。ちなみに、これまでのMacBook Airでは、「Launchpadの起動」、「キーボードバックライトの減光」、「同増光」のような機能を発揮するものだった。

旧MacBook Air

 今回のM1搭載機でも、MacBook ProのTouch Barの同じ位置のボタンに割り振られた機能は、旧MacBook Airを含む、これまでのMacの標準的な配置と同じになっている。つまり、今のところ新MacBook Airに見られるF4、F5、F6キーの機能は、MacBook Airだけのものということになる。

MacBook Pro

 こうした違いは、MacBook AirとMacBook Proの性格の違い、ひいてはアップルが想定する主な対象ユーザーの違いを反映したものと考えられる。簡単に、そしてちょっと極端に言えば、MacBook Airはユーザーが日常生活で使える領域をサポートするための機能を重視したのだろう。検索機能の起動はともかくとして、通信機能としての音声のオンオフ、そしておやすみモードによる通知のオフなどは、自宅でも職場でも、常にユーザーが携帯してそばに置いておくマシンにとって便利な機能だと考えられるからだ。

 こうした機能のキーへの割り当ては、Touch Barならソフトウェアの変更だけで可能だ。もしBig Surとして実験的に実装するのであれば、MacBook Proの方がはるかに簡単だ。それをキーボードのキートップだけとはいえ、ハードウェアの変更が必要なMacBook Airでのみ実施したのは、MacBook Airはそうあるべきという確信をアップルが抱いていたに違いないと感じさせる。

 キーから直接呼び出せなくなった機能のうち、Launchpadの起動はDockのアイコンをクリックするだけなので問題ない。もともとそうしていた人も多いだろう。ただ、キーボードのバックライト調整はどうするのかと心配になるかもしれない。システム環境設定の「キーボード」では調整できないからだ。

 これは、まずメニューバーをクリックしてBig Surの「コントロールセンター」を開き、その中にある「キーボードの輝度」ボタンをクリックすることで、スライダーによる調整が可能となる。複数のステップが必要だが、それほど頻繁に調整するものでもないので、さほどの不便はないだろう。

ほぼ4倍の性能×2倍のバッテリー持続時間

 これまでに掲載してきたベンチマークテストの結果を改めて確認しておこう。まず、専用のベンチマークテストプログラムを使ったテストでは、M1搭載の新MacBook Airは、インテルCore i3搭載の旧MacBook Airに対して、CPUで実質的に3.3〜3.9倍、GPUでは2.6〜2.8倍となっている。また、実用的なアプリを使ったテストでも1.7〜4.2倍の速度を示している。大まかに表現すれば、「ものにもよるが最大約4倍の速度」と言っていいだろう。

 一方、フルHD/フルスクリーンのビデオの連続再生でバッテリーの持続時間をテストしたところ、バッテリーのコンディションに違いがある可能性は否定できないものの、新MacBook Airは旧MacBook Airに対して2倍以上の持続時間を示した。

 もちろん、こうした性能差が、あらゆる状況の下、あらゆるアプリで得られるわけではない。しかしそれと同時に、こうした性能差は特殊な状況でだけ発揮されるものでもない。日常的に体感できる速さやバッテリーの持ちとも一致している。

 これまでのMacBook Airでも、特に処理速度に不満を感じていたというユーザーは、それほど多くなかったと思われる。そして、より高速な処理を必要とするユーザーには、MacBook Proという選択肢が用意されていた。もしユーザーがMacBook Airに不満を感じたとしても、上位のラインアップによって対応できた。

 しかし、今回のMacBook Airは、容易に持ち運び可能なこのクラスのノートブックとして、メーカー、OSを問わず、間違いなく最高クラスの性能を発揮するものとなっている。今のところ、ユーザーに不満を抱かせる余地は、ほとんど残されていないと言ってもよいほどだ。1つ困ったことがあるとすれば、もしこのMacBook Airの性能に不満を抱くユーザーがあったとしても、それを現状のMacBook Proで解消するのが難しいこと。これまでに示したベンチマークテスト結果からも分かるように、両者のパフォーマンスは拮抗している。

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