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モーダル小嶋のTOKYO男子めし 第15回

人生は選択の連続である:

松屋の回鍋肉定食で選ぶべきは半熟玉子かキムチか、それが問題だ

2020年06月24日 16時20分更新

文● モーダル小嶋 編集●ASCII

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「お肉たっぷり回鍋肉定食」
松屋
680円
https://www.matsuyafoods.co.jp/matsuya/news_lp/200623.html

君の学問では思いも及ばぬことが松屋にはたくさんある

 「To be, or not to be, that is the question」といえばシェイクスピアの『ハムレット』のあまりにも有名なセリフで、劇の流れからすれば主人公のハムレットが「復讐をするべきか」と考えていると取れますが、「生きるべきか、死ぬべきか」という訳も有名ですよね。

 劇の最後、ハムレットはすべてを語り伝えてくれるように親友ホレイショーに伝えて事切れるのですが、筆者はホレイショーではなくホイコーローに関して伝えないといけないことがあります。

 半熟玉子かキムチか。それが問題です。

 牛めしなどを販売する「松屋」は、選べる小鉢の「お肉たっぷり回鍋肉定食」(以下、回鍋肉定食)を6月23日から発売しています。松屋創業記念第3弾。昨年に登場した回鍋肉と比べてお肉の量が33%増量されたとのこと。

 豚肉とキャベツ、にんじん、たまねぎを鉄板で炒め、コクと甘みが感じられるピリ辛味噌ダレをからめた、ごはんとの相性抜群というメニュー。まろやかな半熟玉子、またはピリッと辛めのキムチのいずれかから小鉢を選べます。店内飲食にはみそ汁が付きます。

 ちなみに「お肉たっぷり回鍋肉丼」も新登場。こちらも店内飲食にはみそ汁付き。630円。また、お肉たっぷり回鍋肉の単品も480円で販売されます。発売を記念して「お肉たっぷり回鍋肉定食」「お肉たっぷり回鍋肉丼」は7月7日10時までライス大盛への変更が無料です。

シンプルイズベストな外見の定食です

 さて、回鍋肉定食の悩みどころは、選べる小鉢を半熟玉子にするか、キムチにするかです。メインじゃないところで悩むのかと言われそうですが、今がその時ではないとしても、将来必ずその時が来ます。大事なのは心構えです。

 まあ、見出しでネタバレもいいところですが、筆者の答えは半熟玉子です。

検証用にサイドメニューのキムチを頼みました

いかに味が濃いかを知るも、付け合せがいかになるかを知らず

回鍋肉の味がポイントなのです

 なぜ、半熟玉子なのか。回鍋肉の味が濃いからです。

 いや、松屋の定食メニューは味が濃いというのは、多くの人が理解しているはず。ごはんが進む味付けを狙っているとは思うんです。「定食のおかずなんだから味が濃いのは当たり前だろ、薄味の回鍋肉なんか食べたいか?」とお思いの方、ちょっと落ち着いていただいて。誰の言葉にも耳を傾けよ、口は誰のためにも開くなといったところ。

 この回鍋肉、とにかく濃い。マジで、しっかりタレの味がついている。「ピリ辛」といっても、それほど辛いわけではない。濃さがすごいのです。人によっては塩辛すぎると感じるかもしれない。それぐらいのレベル。

とにかく濃いんですよね

 そこに合わせるなら、やはり半熟玉子。これを絡めることで、カドのある雰囲気も、だいぶマイルドになります。それでも、まだ、濃いんじゃないかという気はしますが。いずれにしても、回鍋肉の味を「変える」楽しみなら、半熟玉子に軍配が上がるわけです。

半熟玉子は味がまろやかになる

 いや、キムチを悪者にするつもりはありません。キムチは好きです。焼肉を食べるときはかならず注文しますし、豚キムチは得意料理ですし、ときどき納豆に入れますし。星が自らの軌道を離れないように、自分の命と魂にはキムチは必要なのです。

 ただ、松屋の回鍋肉に、キムチ。やっぱり、味が濃すぎるのではないか……という気はします。塩辛すぎるというか。

 キムチと回鍋肉を無理に合わせることはない、という意見もありましょう。キムチはあくまで漬物、箸休めであると。しかし、それにしては、キムチは味がしっかりしてごはんのおとも過ぎる。味が濃き者よ、汝の名はキムチ。よって、キムチを食べればごはんが進み、味が濃い回鍋肉でまた進み……バランス的に、白米の量が足りなくなってしまうのです。

味が濃いキムチと回鍋肉の相性は疑問符が付きます

 選べる小鉢をキムチにしてしまうと、味が濃いものが2つもあって配分に困る。半熟玉子なら、回鍋肉の味をちょっと変えられる。そういうわけで、自分は回鍋肉定食には半熟玉子がよいと考えているのです。

 それにしても、ピリ辛味噌ダレがやみつきになるといっても、この回鍋肉はいささか主張が強すぎる気もします。ごはんは(食べられるなら)大盛りにしておくといいのではないでしょうか。それぐらい、しっかり濃いので。

 記事にするためとはいえ、この回鍋肉に、半熟玉子とキムチの両方を合わせるのは、なんともバランスが悪く、オーバースペックの感さえあるものです。松屋の回鍋肉は短剣のようにこの舌に突き刺さる。食べきったものの、口の中には濃い味が残ったまま、ミレーが描いたオフィーリアの絵のように、ぼうっとした顔で松屋をあとにしました。

 ホイコーロー、もうだめだ。せめて、お前でも、生きて、伝えてくれ、事の次第を、なにも知らぬ人たちにも、納得のいくように、ありのままを……現場からは以上です。


モーダル小嶋

 

1986年生まれ。担当分野は「なるべく広く」のオールドルーキー。編集部では若手ともベテランともいえない微妙な位置。一人めし連載「モーダル小嶋のTOKYO男子めし」もよろしくお願い申し上げます。

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