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Azureクラウド上のバーチャル会場でオンライン開催、8トラック/100以上のセッションや展示ブース

今年は1.4万人超が参加登録、日本MS「de:code 2020」が開幕

2020年06月17日 07時00分更新

文● 大河原克行 編集● 大塚/TECH.ASCII.jp

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FIXERがAzure上で開発したイベントサービスを採用、大規模イベントにも対応

 今回のde:code 2020は、FIXERがAzure上で開発、運用するバーチャルイベントサービス、cloud.config Virtual Event Service(ccVES)を使って開催される。FIXERは、Azureマネージドサービスパートナー(MSP)として最高位の認定資格である「Azure Expert MSP」を取得しており、金融分野などのAzure活用案件で高い実績を持つ。

 説明会に出席したFIXER 代表取締役社長の松岡清一氏は、「わたし自身も毎年de:codeで多くの人に出会えるのを楽しみにしてきた。そうした有意義な機会を、バーチャルでも実現したいと思って開発したサービス」だと述べ、より多くの参加者に3D空間で出会ってもらいたいと語る。

 「ccVESは数十人規模でアジャイル開発を行った。de:code 2020には予想以上の参加登録があり、現在、クラウドを活用して設備の拡張を行っており、コンテンツの安定運用に向けた準備をしている。そこが苦労した部分」(松岡氏)

FIXER 代表取締役社長の松岡清一氏

 ccVESが実現するバーチャルイベント空間は、基本的に「ラウンジ」「EXPO」「セッション」の各会場で構成される。

 サインインした参加者が3Dアバターを選択すると、まずはイベントの起点となるラウンジに入ることができる。ここは“参加者をもてなす場”と位置づけられており、セッション一覧や出展企業一覧、さらにイベントに関するツイートなど、イベントのブランディングを行うための柔軟なデザインが可能になっている。なお、他の3Dアバターも表示して視覚的なにぎわいを演出するが、数千人、数万人規模になるとアバターが“混雑”してしまうため、表示は数十人規模に抑えているという。

 EXPOはブースが立ち並び、出展企業のコンテンツ視聴や資料ダウンロードを提供するエリアだ。バーチャル空間のため、展示会場の面積に縛られず出展ブース数を拡大できるメリットがある。同社 Azureビジネス本部 部長の田中啓之氏は「de:code 2020での展示方法は出展各社でさまざま。用意したコンテンツを視聴してもらったり、ミニセミナーを開催したり、Teamsでの直接のコミュニケーションを前提としているブースもある」と説明する。

 セッション会場も会場の広さに縛られることがなく、Azureインフラの活用で数万人規模での同時視聴にも対応できる。バーチャル空間内を移動してスクリーンを好きな角度から見たり、近づいて聞くことも可能。また、参加者側には聴講したいセッションが同時間帯にあっても後から聴講することができるメリットが、講演側にとってはセッション終了後のアンケート集計が迅速にでき、生の声を収集できるメリットがある。

ccVESの主要機能一覧

 なおccVESの認証基盤には「Azure Active Directory B2C」を採用。また、イベント主催者は、個人情報を保護しながらユーザーや出展社、セッション別の行動ログを取得することができるため、人気コンテンツ分析などのデータ活用も期待できるという。

 なお、ccVESはB2B向けサービスとして開発されている。業務PCやスマートフォンなど、必ずしも3Dビューを快適に利用できる業務デバイス環境ばかりではないことから、通常のWebサイト(2Dビュー)経由でも同じようにイベント参加できるよう設計されている。

3Dビューの推奨PCスペック。ただし通常のWebサイト閲覧モード(2Dビュー)も用意している

 ccVESの今後の展開について、FIXERの松岡氏は、今年下半期には常設ワールド(ショールーム)機能を追加してパッケージ化したうえで、2021年1月以降には物販/決済機能、常設空間への広告表示機能などを追加していく計画だと説明した。すでに、年内に開催される複数のエンタープライズデジタルイベントで採用が見込まれているという。利用価格は、今回のような数万人規模のイベントの場合、Azureのプラットフォーム使用料とソフトウェア提供料を合わせて数千万円から提供する予定だという。

ccVESのロードマップ。de:codeでのローンチ後、さらに継続的な機能強化を図っていく

 今回、既存のデジタルイベントサービスではなく新規開発したものを採用した理由について、田中氏は「国内外のさまざまなものを検討したが、B2Bに特化したイベントプラットフォームが見当たらず、さらにウェビナーを超えるようなサービスを提供できるものもなかった」と説明した。複数のAzureパートナーに声をかけた結果、FIXERが提案したccVESが今回のニーズにマッチしており、さらに発展性も期待できると考えたという。

 なお日本マイクロソフトでは、今年9月までのイベントについてはすべてオンライン開催することを決定している。それ以後については、社会情勢や新型コロナウイルスの感染収束状況などを見て決定するとしている。

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