親なら知っておきたい人気スマホアプリの裏側と安全設定 第59回
自宅にWi-Fi環境がない若者は少なくない
ギガ不足で欠席続出!? 大学のオンライン授業は日本でも可能?
2020年04月07日 09時00分更新
世界で続く学校のオンライン授業化
新型コロナウイルス感染拡大防止のため、春からの講義をオンライン化する大学は多い。たとえば世界的に見てもハーバード大学やマサチューセッツ工科大学などがオンライン化。日本でも、東京大学が「対面での講義は最小限とし、オンライン化を奨励し推奨する」と発表している。
アメリカでは3月上旬から多くの小中高校が休校となったが、3月23日からはオンライン授業が本格化。公立校でも、算数や作文などの教科だけでなく、音楽、体育、美術の授業などもオンラインで受けられる。課題もオンラインで提出、先生にメッセージを送ってリアルタイムで返事をもらうこともできるのだ。
ただし課題もある。家庭にパソコンやタブレット端末、Wi-Fi環境がない子どももおり、そのような子どもたちは教育を受けることができない。
アメリカでは日頃から学校と保護者の間でオンラインコミュニケーションが行なわれており、子どもたちも日頃から教科内でパソコンなどを利用しているため、移行がスムーズだったと考えられる。
家にWi-Fi環境がない大学生は多い
日本でオンライン化を言及しているのは、大学と一部の私学などに限られている。実はこのオンライン化には問題が山積みのようだ。大学側もオンライン講義を配信するインフラが整っておらず、教員たちが慣れていない上、教材の著作権問題をクリアしなければならない。
問題はそれだけに留まらない。家にWi-Fi環境がない大学生が少なくないという実情もある。ある大学生は、普段から大学やフリーWi-Fiスポットで動画などを見るようにしていた。ところが休校となり、ネット環境に苦慮しているようだ。「ギガが減るのが怖い。大学に行けないから、動画を見る場所どころかSNSとかも見られなくなりそう」。
オンラインで講義を受けるためには、ネット環境を整える必要がある。一般的には、光回線などを引く、モバイルルーターを契約する、スマホで大容量プランで契約、フリーWi-Fiスポットを利用する、といった選択肢が考えられるだろう。
ところが、すべてオンライン授業に移行された場合、たとえ大容量プランでもかなり厳しい上、フリーWi-Fiスポットでは密集、感染のリスクが高まってしまうのだ。これからは、一人暮らしの大学生も、光回線を引いたり、モバイルルーターの契約などが必要だろう。
最近では会議や飲み会までZoom経由で行なわれるなど、あらゆるコミュニケーションがオンライン化しつつある。ネット接続端末を持ち、Wi-Fi環境を整えることは、基本インフラとして必要なことだろう。
著者紹介:高橋暁子
ITジャーナリスト。書籍、雑誌、Webメディアなどの記事の執筆、監修、講演などを 手がける。SNSや情報リテラシー教育に詳しい。『ソーシャルメディア中毒』(幻冬舎)、『Twitter広告運用ガイド』(翔泳社)、『できるゼロからはじめるLINE超入門』(インプレス)など著作多数。テレビ、ラジオ、新聞、雑誌などメディア出演も多い。公式サイトはhttp://akiakatsuki.com/、Twitterアカウントは@akiakatsuki
この連載の記事
-
第288回
デジタル
アメリカ人の4割がTikTokを検索エンジンとして利用している -
第287回
デジタル
若者がないと困るのは財布よりスマホ。忘れたら「取りに帰る」 -
第286回
デジタル
LINEに溜まる大量のメッセージをまとめて既読にする方法 -
第285回
デジタル
日本では約4人に1人が「スマホ利用時間が長くなった」「テレビ視聴時間は短くなった」と回答 -
第284回
デジタル
中学生の親の4割は、我が子がオンラインでつながっている相手を把握できていない -
第283回
デジタル
「LINEに届いた写真がいつの間にか消えちゃった!」を防止するLINEアルバムの使い方 -
第282回
デジタル
タイパ重視の若者はショート動画に長時間群がる -
第281回
デジタル
10代の77%が「YouTubeはSNS」と答えた理由はおそらく…… -
第280回
デジタル
【最新】LINEで友だちの連絡先を教える方法を解説 -
第279回
デジタル
日米中韓の高校生にSNSの使い方を聞いてわかったこと。日本は4ヵ国で一番平和 -
第278回
デジタル
グルーミングの性的被害、若者の10人に1人が経験あり。場所はX、LINE、インスタ多し - この連載の一覧へ