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アスキー・ジャンク部リターンズ 第295回

チゲ、焼肉、玉子という組み合わせは悪くないが……:

松屋「チゲ牛カルビ焼肉膳」が“ONE TEAM”になれない理由

2019年11月06日 11時15分更新

文● モーダル小嶋 編集●ASCII

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カルビも、玉子も、活きてこない

牛カルビはいつものやつです

 カルビ自体は、カルビ焼肉定食のそれなので、悪かろうはずがない。だからといって特別なものがあるわけではなく、辛くしょっぱいキムチチゲと相性がよいとも悪いとも言えません。チゲに旨味が不足しているのが問題なのであって、特別なマリアージュがなく、1+1=2、それだけという感じです。お盆の上に並列して存在しているのみ。NGな組み合わせではないのに、取り立ててよいともいえないのが残念。

カルビとキムチチゲ、相性は悪くないはずなのに……

 禁断のオフロードパス、牛カルビをキムチチゲに浸してみればよいのではないか、という結論にたどり着く人もいるかもしれません。しかし、それは味のコラプシングに等しい。

 なぜかといえば、スープが辛味は強くても旨味が薄いので、カルビを沈めてもそんなに味がつくわけではないからです。それ以前に、その方法が通用するスープなら、キムチチゲに最初から入っている牛肉がとてもおいしくなっているはず。そこまでではないことから、推して知るべしでしょう。

玉子をどう使うか。ごはんにかけるのが正解な気がします

 トッピングに生玉子か半熟玉子が付きます。これ自体はうれしいのですが、キムチチゲに投入するのはあまりよくありません。ノックオンです。辛味を抑える目的だけならよいのですが、コクがない欠点は緩和されないので、食べ終わるころには飽きてしまいます。ごはんにかけるか、タレと絡めて焼肉をかきこむのに使うのが良策でしょう。

QOJ(Quality Of Jjigae)の向上を要求したい

 とにかく、キムチチゲが物足りない。辛すぎて食べられないとか、味が薄すぎるとか、そこまで悪くはないのですが、水っぽい辛さで(こんな表現、見たことも聞いたこともありませんが)、あえて、カルビと一緒に食べようという気にならない。

 公式では“松屋のチゲは「QOLが上がる」との声も”などとありますが、その前に、まずQOJ(Quality Of Jjigae)を向上させるべきでしょう。これは喫緊の課題であります。

チゲにコクと旨味があれば、カルビが付いてくることも、玉子があることも活きてくるのに

 キムチチゲとはちょっと違いますが、10月に発売された吉野家の「麻辣牛鍋膳」が辛さと旨味を両立させた傑作だっただけに、あれと比べると、どうしても劣った印象を受けてしまう。松屋はカルビ焼肉を付けることでボリューム感に舵を取ったと考えられなくもありませんが、もったいない気がします。

 基本的に味が濃い目になりやすい松屋のメニューにあっても、この単調な辛さはやはり惜しい。キムチチゲがよくできていれば、730円とはいえ、カルビとチゲがセットで玉子も付いてくるメニューとして、一人はみんなのために、みんなは一人のために的な総合力のある定食として、「牛丼チェーン界の“ONE TEAM”や〜」などと大いに推せたのですが。

 上司がラガーマンで、最近は「チーム一丸、スクラムを組んで!」などといたずらにラグビーの比喩を聞かされまくり、もうラグビー要素は飽き飽きだよ……という人もいるかもしれません。そのような人には、ラグビーに無理くりかこつけた記事になってしまい申し訳ありませんが、とにかく、あの日本代表のような一体感は、ここにはない。一丸となって個々が持てる力以上のものを発揮する定食には、なっていない。筆者の結論が出たところで、ノーサイドです。


モーダル小嶋

1986年生まれ。担当分野は「なるべく広く」のオールドルーキー。編集部では若手ともベテランともいえない微妙な位置。

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