メッセージは短くチャット状態に
バイドゥの「10代女子が選ぶ 流行りの若者言葉・略語TOP10」(2019年8月)によると(https://www.baidu.jp/info/753/)、1位は「り」。了解の意味で、「りょ」とも略されていたことがある。4位は「とりま」(「とりあえずまあ」の意味)、5位は「あね」(「あーなるほどね」の意味)など、本来の言葉が極端に短縮されているのが特徴だ。今どき10代のメッセージ実態はどのようになっているのだろうか。
10代のLINEでのやり取りを見ると、大人世代とは大きく異なっていることにすぐに気づく。まず、LINEの吹き出しの見た目からまったく違うのだ。
即座に本題に言及できるのが利点とされるLINEでも、大人世代は文章の形で送る人がほとんどだろう。そのため大人世代のLINEメッセージは見た目が黒っぽく長くなる傾向があるのだ。
ところが10代の子たちは、単語で送ることが多い。「り」「それな」など、短い文章でチャット状態にやり取りが進んでいく。「文章を入力するのは面倒くさいし、相手を待たせるから」という。
メールや手紙は書かないし書けない子どもたち
今年の全国学力テストの中学校国語で、手紙の書き方を尋ねた問題が出た。右隅に住所、真ん中に敬称をつけた宛名を書くのが正解だが、正答率は何と57.4%にとどまった。手紙の書き方を尋ねる問題は平成24年度の調査でも出されたが、その時の正答率74.2%から約17ポイントも下がったことになる。
手紙には一定のルールとマナーがある。冒頭で挨拶を述べ、本文、結びの文が必要だ。メールも同様で、冒頭で相手の所属と敬称をつけた宛名、挨拶に続いて名乗り、本文、結びの文、署名などが必要となる。
ところが、ほとんどスマホ、中でもSNSでやり取りすることばかりとなっている学生たちは、手紙やメールの経験が非常に乏しく、このようなルールやマナーを知らないことが多いのだ。特に目上の人とやり取りをした経験はほとんどないようだ。
しかし実際は、大学生などになると目上の人や志望企業などとメールなどをする機会が増えてくる。このようなときにルールとマナーを知らないと失礼ととらえられるなど、損につながることになる。周囲の大人は、機会を見て子どもたちにルールとマナーを教えてあげてほしい。
著者紹介:高橋暁子
ITジャーナリスト。書籍、雑誌、Webメディアなどの記事の執筆、監修、講演などを 手がける。SNSや情報リテラシー教育に詳しい。『ソーシャルメディア中毒』(幻冬舎)、『Twitter広告運用ガイド』(翔泳社)、『できるゼロからはじめるLINE超入門』(インプレス)など著作多数。テレビ、ラジオ、新聞、雑誌などメディア出演も多い。公式サイトはhttp://akiakatsuki.com/、Twitterアカウントは@akiakatsuki
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