暗号資産を含む事業戦略について話す、マネックスグループの松本大会長兼社長 筆者撮影
暗号資産の交換所を運営するコインチェックが、正式な仮想通貨(暗号資産)交換業者として登録されることになった。金融庁が登録の可否を審査していたが、登録の要件を満たす水準まで同社の態勢が整ったと判断した。
業界内では、コインチェックの登録が決まれば、低迷する業界の起爆剤になりうるとの期待感もあったが、いまのところ、それほど大きな上昇要因にはなっていないようだ。同社の登録に至る手続ではっきりしたのは、むしろ、登録へのハードルが極めて高くなったことだ。ハードルの高さは、新規参入を目指す企業や、登録済みの業者にも影響しそうだ。
なお本稿では、金融庁が仮想通貨の呼称を暗号資産に変更する方針を固めたため、組織の名称など一部を除き、暗号資産の呼称を使用する。
●4種類の企業が影響受ける
2017年9月以降、16社が正式な交換業者として登録されたが、コインチェックは登録の要件を満たせず「みなし業者」として運営を続けてきた。コインチェックは4月にマネックスグループに入ったことで、人材、資金、システムの面で、金融庁が設けた高いハードルをクリアできた面がある。
一方、コインチェック事件で登録へのハードルが上がったことで、他の業者にも影響が及びそうな状況が生じている。
とくに影響を受けそうなのは以下の4種類の企業だ。
・業務改善命令を受けた登録業者
・サービス開始に至っていない登録業者
・新規参入業者
・他のみなし業者
まず資金決済法に基づく登録業者は15社ある。これまで16社が登録されたが、約70億円相当の暗号資産が流出したテックビューロが2018年11月にフィスコ仮想通貨取引所に事業譲渡されたため、1社減った。
16社あった登録業者のうち、コインチェック事件後の立入検査で内部管理態勢などの問題が浮上したため、7社が業務改善命令などの処分を受けた。
業務改善命令を受けた業者は金融庁に改善計画を提出し、計画どおり改善を進めているかどうか定期的に報告する。その過程で、コインチェックと同様のハードルを設定されているとみられる。
具体的には、少なくとも40〜50人の人員の確保や、大手金融機関でコンプライアンスなどの経験のある人材の確保だ。
残る9社の中には、交換業としての本格的なサービス開始に至っていない企業が複数ある。こうした企業についても、同様のハードルが設定されている模様だ。
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