開放型にバランスド・アーマチュアを突っ込んでみた
音質と価格のバランスのよい製品で定評のある台湾のDUNU-TOPSOUNDが昨年末にリリースしたイヤフォン「DUNU ALPHA 1」(以下ALPHA 1)を、ハイレゾ音源を聴きながらレビューする。ALPHA 1の特徴は、なんとってもハイブリッドドライバーで開放タイプ(インイヤー型)という異色の構成だ。
ハイブリッド型イヤフォンでは、ダイナミック型とバランスド・アーマチュア(BA)型という異なる仕組みのドライバーを組み合わせ、ダイナミック型の特徴である“パワフルさ”と、BA型ならではの“解像感の高さ”“情報量の豊富さ”の両立を狙っている。「DN-1000」といったDUNU-TOPSOUNDの既存モデルもこの方式で、同社得意の技術と言える。
実売価格はおよそ2万1000円前後で、TITIAN 1よりワンランク上の価格帯だ。同価格帯にはShure「SE315」やオーディオテクニカ「ATH-CKR9」、Klipsch「X11」など、各メーカーの思想がこめられた音質の製品が多数存在する。DUNU-TOPSOUND自身もDN-1000という傑作モデルを持っているだけに、際立った個性やキャラクターが要求される。ハイブリッド型のオープンイヤーは、果たしてどれくらい「キャラが立っている」のだろうか。
快適な装着には試行錯誤が必要
まずは外観と付属品を見てみよう。外装はステンレスとプラスチックを組み合わせたつくりになっている。通常の開放型イヤフォンには見られない「四角い出っ張り」が外観上の特徴で、ここにBA型ドライバーが収められている。構造としてはダイナミック型ドライバーの上部にBA型ドライバーが乗っかる形だ。出っ張りの先端には小さなサウンドホール(通気孔)が開いており、ここからBAドライバーの発する音が出る。BAが受け持つ帯域は指向性の強い高音部なので、装着する向きによって音の聞こえ方は大きく変化する。
フィッティングを安定させるために、ALPHA 1には多彩なイヤーピースが付いている。BOSEを思い出させるフィン型が3サイズ、ラバータイプのリング型が厚手と薄手の2サイズ、そしてスポンジタイプのリング型が1サイズである。ここで自分に合ったものを選択することが、このイヤフォンを快適に使う上で最も重要な事と言えるだろう。イヤーピースは簡単に交換できるようになっているのだが、外れやすいために紛失には注意が必要である。
ケーブルはビニール被覆を使った柔らかめのものだ。より低価格のTITAN 1が高級感あるファブリック素材だったため、少し残念である。ほかにセミハードタイプのキャリングケースと、3.5-6.3mmの変換アダプターが付いてくる。
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