ソニーはCES 2014以降、日常体験をさまざま面で可視化し、ユーザーに届ける体験ベースの「スマートウェア商品群」と、それに付随するライフログアプリケーションを発表してきた。たとえばテニスラケットに取り付け、プレイのログを取得する「Smart Tennis Sensor」などが挙げられる。そして今回新たに、スマートウェア商品に位置付けられるデバイスが登場した。
ヘッドフォン一体型のランナー向けスポーツデバイス「Smart B-Trainer」だ。
Smart B-Trainerは音楽を聴きながら、消費カロリーや心拍数、ラップタイムなどのランニングデータを取得でき、さらに音声でアドバイスを受けられるデバイス。詳細については既報の通り。ここでは発表会の様子を中心にお届けしたい。
音へのこだわりが、他のウェアラブル製品と違う
発表の場で、ソニーマーケティングの植松 孝文氏は「より楽しく、より効率的なトレーニングをサポートするデバイス」と述べた。その根拠となるのが、心拍数に合わせてSmart B-Trainer内蔵の曲を自動で選択し、再生するトレーニング機能だろう。
たとえばランニング中に心拍数が上がってきたら、スピードを落とし、心拍数を安定させようとデバイスが判断する。そこでテンポの遅い楽曲を再生し、スローペースなランニングをするよう促していく。逆に心拍数が低かったら、テンポの速い曲を再生し、ランニングのスピードを上げるよう誘導してくれる。
効率的なトレーニングをサポートできる理由としてもうひとつ挙げられるのは、豊富なランニングメニューだ。
デバイス発売に合わせて、スマホアプリ「Smart B-Trainer for running」をリリースする。体力づくりやダイエットなど、目的に合わせてメニューを設定すれば、ランニングプランを提供してくれ、「ベーシックトレーニングメニュー」と「プレミアムトレーニングメニュー」の2つを用意している。
プレミアムのメニューはランニングコーチとして知られる金 哲彦氏が監修。「経験ゼロ→30分走れるようになりたい」から「フルマラソンを完走したい」など、より本格的な目標に沿ったメニューを提供する。また、トレーニング中に音声でコーチングもしてくれる。
さらに、アシックスのランニングトレーニングプログラム「MY ASICS」と連動。MY ASICSは性別/年齢/トレーニング頻度といった必要事項を入力すれば、「スピード養成期」「走りこみ期」など6つの期間が設定され、コーチングが受けられるサービス。これをSmart B-Trainerから音声でアナウンスされる。
このように音声や音楽を製品にうまく組み合わせることで、トレーニングをサポート。そして別のメリットも生まれる。複数のデバイスをトレーニング中に持つ必要がなくなるのだ。スマホでトレーニング状況を確認せずに済み、音楽も再生できる。
他メーカーからランニング向けアプリやアクティビティトラッカーが出ている中、植松氏は「音に特化させたデバイスなので、差別化が図れると思う。またランナー向けにしたのもポイント」と自信をのぞかせる。
今後の展開としては、スマートウォッチやスマートウェア商品との連携、またサービス内で課金やトレーニングメニューの追加を検討しているという。ただし、具体的な時期については未定とした。